日帝強占領期(日本による植民地時代)の強制徴用被害者らが差し押さえた日本の戦犯企業の韓国内資産に対し、裁判所が売却するよう命令を下した。韓国の裁判所が日本の戦犯企業の韓国内資産の売却を決定したのは初めて。
大田(テジョン)地方裁判所のキム・ヨンチャン判事は27日、ヤン・クムドクさん(92)やキム・ソンジュさん(92)など、日帝強占期の強制徴用被害者側が日本の三菱重工業の韓国内商標権と特許権を売却し特別現金化するよう求めた訴訟で、売却命令を下した。
この決定によって、ヤン・クムドクさんら強制徴用被害者が要請すれば、日本の三菱重工業の韓国内資産である商標権と特許権を売却できるようになった。二人の徴用被害者は、当初の損害賠償請求額と遅延損害金を含め、1人当たり2億973万1276ウォン(約1970万円)の債権がある。商標権は2015年に国内に登録した商標2件(登録番号第0323955号、第0323956号)で、特許権は2012年に特許決定が下された1件(特許登録番号1183505号)と2015年に特許決定が下された1件(1521037)の2件だ。
ヤンさんら強制徴用被害者11人は、2012年など3回にわたり日本の戦犯企業を相手取って裁判所に損害賠償請求訴訟を起こし、2018年に最高裁(大法院)で勝訴が確定したが、戦犯企業は賠償の履行を拒否してきた。これに対してヤンさんらは、日本の戦犯企業である三菱重工業が韓国で所有した商標権2件と特許権6件に対して差し押さえ命令を提起した。大田地裁が2019年3月に差し押さえ命令を受け入れたことを受け、三菱重工業側が抗告したが敗訴し、最高裁も差し押さえ措置を正当とする判決を言い渡した。