ベトナム戦争当時、韓国軍による民間人虐殺被害者が韓国政府を相手取って起こした国家賠償訴訟に、参戦軍人が証人として出席する。当時派兵された韓国軍がベトナム戦民間人虐殺に関連する裁判に出席するのは初めて。
ソウル中央地裁民事68単独のパク・ジンス部長判事は、14日に開かれた民間人虐殺被害者グエン・ティ・タンさんの国家賠償訴訟の3回目の裁判で、ベトナム戦争に派兵された青龍部隊1大隊1中隊に所属する軍人だったR氏を証人に採択すると明らかにした。原告側の証人申請を受け入れたのだ。
これに先立ち、R氏は2018年4月に開かれた「ベトナム戦争当時の韓国軍による民間人虐殺真相究明のための市民平和法廷」で、匿名の動画を通じて「フォンニィ・フォンニャット事件」に対する具体的な情況を明らかにした。「フォンニィ・フォンニャット事件」は1968年2月、韓国軍青龍部隊がベトナムのクアンナム省ディエンバン市(当時ディエンバン県)フォン二ィ村の住民70人余りを殺害した事件を指す。当時8歳だったグエン・ティ・タンさんは青龍部隊1大隊1中隊の軍人に左のわき腹を撃たれて重傷を負い、一命は取りとめたが、現在も後遺症に苦しんでいる。この事件で彼女の家族5人が命を失い、当時14才だった兄は大けがをした。
R氏は今年7月に国会で開かれた「ベトナム戦争時の韓国軍隊による民間人被害事件調査に関する特別法」制定のための懇談会で、顔と名前を公開し、「身を隠せなかった女性や高齢者を全員田んぼの中に集め、その過程で現場で射殺した民間人もいた」と打ち明けた。
グエン・ティ・タンさん側は、R氏のほかにも韓国軍の民間人虐殺事件に対する米軍の監察報告書原本を米国からコピーしたカン・ソンヒョン聖公会大学教授と、「ハンギョレ21」でベトナム戦参戦軍人をインタビューしたコ・ギョンテ、ファン・サンチョル記者も証人として申請した。
韓国政府側はR氏に対する証人申請は拒否しなかったが、記者らに対する証人申請には否定的な反応を示した。政府側は「あまりにも古い事件なので証人が高齢であり、その過程で記憶が歪曲されたり、軍隊単位で作戦していた場所で一人が見聞きできる範囲が限られているため、R氏の証言を補完できたり、他の要素を話すことができる部分があるか検討する」としながらも、「参戦軍人をインタビューした記者たちと在韓米軍監察報告書原本を確認したカン教授に対する証人尋問が客観化されるか疑問」だと述べた。
これにより、早ければ11月16日に開かれる裁判でR氏に対する証人尋問が行われる予定だ。