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「日本、韓国を飼い馴らそうと交渉拒否…“反日感情のせい”とは危険な診断」(2)

登録:2021-07-08 01:20 修正:2021-07-11 19:03
文大統領、五輪出席にこだわる理由ないが、ボイコットは逆効果 
初めて韓国を羨望する日本人が登場…堂々と歩み寄るべき
ソウル大学のナム・ギジョン教授が1日、ソウル大学日本研究所の研究室で韓日関係などについて語っている=イ・ジョングン先任記者//ハンギョレ新聞社

-23日に東京五輪が開幕する。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の東京五輪開会式への参加によって韓日関係改善のきっかけは作れるのか。一部では、東京オリンピック組織委員会が地図に独島を表記していることに対し、五輪をボイコットすべきだと主張しているが。

 韓国は中堅国の先頭として、北東アジアの範囲を超えて、より広い土俵で外交を展開しなければならない時代となった。大統領が開会式に出席して必ず首脳会談を行うべきだというのも、ある意味では両国関係と朝鮮半島問題で焦っているのではないかと思う。開会式に行くのは招待されればということであって、日本が招待しなければ特にこだわる必要もない。対日外交では自信を持てばいいと思う。総合的な国力で日本は限界に達している。我々が自信を持って長期的に日本を導いていくという考えを持って対応することが必要だ。即自的な対応で日本がこのように出てくれば韓国もこのように対抗する、というやり方ではなく、長期的に日本に対して、植民地支配を反省し、この問題を処理する模範国になることが日本にも役に立つということを粘り強く話していくべきだ。

-日本の外交戦略において韓国の重要性は低下しつつある。日本はもはや韓国ではなく台湾との協力やクアッド(日米豪印戦略対話)などを通じて中国の台頭に対応する方向へと戦略を根本的に変えたのか。

 日本の主流はかつてに比べて韓国の重要性を低く見ている。かつては日米同盟に韓国を入れた韓米日三角安保協力体制によってこの地域における日本の利益を確保するという戦略だったため、日米同盟の次は韓国だったのだが、安倍政権がインド太平洋構想へと接近したことで、日米同盟とともにASEAN、インド、オーストラリアを重視するようになった。ところが最近の日本ではアジア太平洋への関心が復活している。バイデン政権が韓米日協力を重視しているため、韓米日の三角関係も復活させなければならないからだ。だが冷戦時期の韓米日と現在の韓米日三角協力は異なる。昔のように米国が上にいて、日本や韓国に下りてくるという上下の安保協力ではなく、かなり水平的な安保協力へと向かっている。しかも過去には「朝中露北方三角形」を相手として、これを封鎖するかたちで韓米日南方三角形が作られていたが、現在の南方三角協力は朝鮮半島から北方へと開かれるかたちで復元されつつある。朝鮮半島平和プロセスを再稼働させるという目標が韓国にあったからこそ可能だったのであり、今後もこれを梃子として韓米日関係を韓国が管理・運営していく努力が必要だ。

-日本はG7(主要7カ国)を、韓国を含めたG10へと拡大することに反対していると知られているが、韓国はどのような戦略を取るべきか。

 G7に韓国が入り拡大されることに日本は反対するが、国際社会における韓国の役割は拡大し続けるだろう。初めて韓国が国際秩序の形成者として立つ機会が訪れている。その機会を逃さず、韓国のためになる分野で、多国間協力の秩序づくりに主導的な役割を果たすべきだ。

-韓日関係がきちんと管理できなかったことが、朝鮮半島平和プロセスが困難にぶつかった一因となっているとの分析が多く示されている。この問題について韓日はどのように意見の相違を縮め、協力しうるか。

 完全に認識を一致させるのは難しいが、日本が実際に抱いている安保に対する不安とは何なのか、韓国も理解する必要がある。米国は北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)さえなくせば済むが、日本は北朝鮮の中短距離ミサイルの射程内にあり、生物化学兵器も実質的な安保に対する脅威だと考えうる。このことを理解し、日本との対話の場を設けることが必要だ。拉致問題でも韓国は両者の間で役割を果たせる。朝鮮半島平和プロセスの核となるテーマについて、日本と真摯に対話するという目標を立てるべきだ。

-現在、東アジアは新冷戦に陥りつつある。韓米日軍事協力の強化をはじめ、東アジアミサイル防衛(MD)体制の構築など、ややもすれば軍事的緊張が急速に高まる危険性が強まっている。このような安保状況において韓国が守るべき原則とは何か。

 ミサイル防衛体制への参加は本当に慎重であるべきだ。下手をすれば朝鮮半島が新冷戦への入り口となりかねない。グローバルな次元では新冷戦の状況ではないというのが私の観測だ。我々が真っ先に新冷戦を引き寄せる愚を犯してはならない。冷戦形成期には日本の要因が大きかった。吉田内閣の当時の日本は連合国の占領下で、米国の利益に自国の利害を一致させることで日本の国益を確保しようとした。ちょうど始まった米ソ対立の渦中で日本は米国一辺倒を選択し、それによって北東アジアの冷戦が触発された。その後、朝鮮半島が戦争へと向かう際に、日本の意図はより明確に確認された。あのような過ちを繰り返してはならない。今も日本の右翼からは新冷戦シナリオが出てきている。我々はそれに便乗してはならない。当面は耐えなければならない損害があったとしても、長期的な国益を考えれば、韓国が直に中国との軍事対決の前衛に立つことは絶対に避けるべきだ。

-韓国は日本の「嫌韓」にどのように対処すれば、韓国文化に対する日本の関心という肯定的な側面を拡大していけるか。

 日本の大都市の50~60代男性と、地方の若い女性や青少年の韓国に対する認識は非常に差が大きい。日本国内では互いに融合しえない「2つの韓国」が競合している。嫌悪の韓国と羨望の韓国だ。日本において近代以来初めて、韓国を尊敬し、韓国の真似をしたいと考える日本人が登場している。困難な近現代史を乗り越えて作られた力が韓国文化の普遍的メッセージを作り出している。最近では嫌韓よりもこちらの方が著しい変化だ。嫌韓は長きにわたって続いてきたが、もはや拡張性が無く、退屈で面白くないと思われている。「この人たちの言っている通りなら、韓国は崩壊し、おかしな国になっているはずなのに、違うな」と首をかしげる人が増えている。このような状況を民間外交として活かすべきだ。五輪が開催されれば、堂々とした自信をもった姿勢で参加し、日本人の心を動かす外交で問題を解決すべきだ。

パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1002473.html韓国語原文入力:2021-07-07 04:59
訳D.K

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