原文入力:2010-01-13午前09:52:37
‘KBS受信料 引き上げ’反発拡散
大統領動静・業績 他の放送より大きく報道
社会葛藤に対しては政府に偏向的…批判の声は縮小
KBS "多様な階層の声を盛り込もうとと努力" 反論
イ・ムニョン記者,パク・チャンソプ記者
↑李明博政府になり<韓国放送>報道から権力監視機能が喪失され政権親和的なニュースが増加しているという指摘だ。李明博大統領が昨年11月11日、新型インフル ワクチン接種を始めた小学校を訪問し、生徒の額に手を当てている姿(左側から)。12月16日救世軍慈善鍋に寄付を入れる場面。世宗市修正に反対しイ・ワング忠南道知事が辞退意思を明らかにした昨年12月1日修正案に賛成する団体発足の便り(右側の上)。2008年8月31日政府の宗教偏向に抗議し開かれた仏教界の全国寺刹同時法会ニュースで僧侶たちが持っていた‘オ・チョンス退陣’手立て札が消された場面などが韓国放送ニュース電波に乗った。韓国放送画面撮影(※クリックすればさらに大きく見ることができます。)
視聴者の信頼を失ったニュース
1986年11月、韓国キリスト教教会協議会は‘<韓国放送>(KBS)受信料拒否キリスト教汎国民運動’に参加を訴える‘牧会書信’を発表した。"受信料で運営されるKBSが‘(全斗煥)政府の国民支配の道具’として利用されている" という理由だった。2010年1月6日、民主言論市民連合は「第2の受信料拒否運動を辞さない」と論評した。"KBSが公営放送のアイデンティティを失い‘李明博政権のラッパ吹奏者’に転落した" という理由だった。チェ・シジュン放送通信委員長は去る4日 "受信料5000~6000ウォン水準引き上げ" 発言で‘歴史の反復’を触発させた。その時も今も市民社会受信料拒否の動きの核心背景には‘韓国放送の報道が政権の広報ツールに変質している’という共通の批判に基づいている。
■大統領美化
イ・ビョンスン,キム・インギュ社長の就任後から韓国放送は地上波3社中でも李明博大統領美化および政府政策広報に最も積極的な反面、政府権力監視と批判意見伝達には最も消極的という指摘を受けている。中でもイ大統領の人間的な面を褒め称える動静報道は他社を圧倒する。韓国放送は昨年7月6日、イ大統領の財産寄付の便りに放送3社中最も多い4単位(<文化放送>と<SBS>は各々2単位)を割愛し、11月11日にはイ大統領が新型インフル ワクチン接種を始めた小学校を訪問し生徒の額に手を当てている場面を‘ニュース9’の8番目記事(‘生徒の健康よく管理してこそ’)に配置した。文化放送とSBSが短信記事で処理したこととは対照的だ。韓国放送記者協会が「露骨に大統領を限りなく親しく慈愛深い父母に偶像化した報道」と批判したほどだ。働き口創出対策を注文した12月16日にも、ソウル市庁前の救世軍慈善鍋に隣人同士の助け合い寄付を入れるイ大統領の姿(‘青年働き口創出’)が放送3社のニュース中で唯一電波に乗った。
■大統領業績広報
韓国放送は大統領業績浮上のためには生中継と特集プログラムも果敢に編成した。12月27日アラブ首長国連邦を直接連結する生中継で大統領の原子力発電所受注発表の広報効果を極大化し、記事も文化放送とSBSの2倍の8単位を放送した。チャン・ハンシク‘ニュース9’編集チーム長は<ハンギョレ>との通話で「国民が関心があるニュースで、生中継するに足る国家的懸案」だったと説明した。11月22日には李明博大統領が4大河川事業の一環として参加した‘栄山江再生希望宣言式’を生中継しプロサッカー中継時間を切ることもした。
■政府政策擁護
社会葛藤的イシューを扱う方式も政府偏向的だという指摘が多い。世宗市報道が代表的だ。昨年12月1日はハンナラ党所属のイ・ワング忠南道知事が世宗市建設計画修正に反発し道知事職辞退意思を明らかにし‘国会革新都市建設促進国会議員の集い’所属の与野党議員12人が政府の世宗市特恵中断を要求し声明を発表した日だ。だが韓国放送は‘頭をもたげる修正賛成’記事を通じ "世宗市修正論難の中で、修正に賛成する団体が大田で初めて発足した" として正反対世論に重きをのせた。反面、11月19日世宗市予定地を訪問した与党議員らが住民たちからタマゴ洗礼を受けた便りと、去る7日キム・ポムイル大邱市長などが世宗市特恵に強く反発して記者会見を行ったことは韓国放送メインニュースに登場しなかった。
■わい曲・脱落・縮小
政府にとって痛い声はわい曲・脱落・縮小という方式で避けた。2008年8月31日‘ニュース9’は僧侶たちが持っていたオ・チョンス当時警察庁長官退陣要求立て札から‘オ・チョンス退陣’という字句を消した画面を放送し、‘除夜の鐘’打鐘行事を生中継した同年12月31日には現場のろうそくデモの叫び声を拍手効果音に変え論議をかもした。‘道谷洞土地の実所有主がイ大統領’というアン・ウォング前国税庁局長の主張(昨年11月26日と30日),国際アムネスティ事務総長の龍山惨事解決要求(11月24日),パク・ウォンスン希望製作所常任理事の国家情報院民間査察疑惑提議(9月17日)等は、揃ってニュースから脱落させた。
■報道の公正性回復が優先
韓国放送記者協会は去る一年間の自社ニュース報道を“名実共に李明博政府の国政哲学の代弁者,国政運営の助力者になり、政権の放送掌握企図に応じた”(2009年12月‘韓国放送記者協会報’)と酷評した。記者協会の評価は盧武鉉前大統領逝去当時に韓国放送記者らが取材現場から追い出されるという現実にも後押しされた。チョン・ヨンウ民間言論連共同代表は「‘受信料が惜しくない放送会社’という信頼を回復できない状態でKBSと政府が受信料引き上げを強行するならば汎国民的抵抗にぶつかるだろう」と話した。反面、カン・ソンギュ韓国放送広報チーム長は「KBS報道に否定的な見解もあるが肯定的な評価もある」とし「私たちは公営放送として多様な階層の多様な声を十分に表わそうと努力してきたし今後も視聴者が願う放送になるべく努力する」と明らかにした。
イ・ムニョン記者moon0@hani.co.kr
-----------------------------------------------
賛成“広告依存構造変えるべき”
反対“総合編成の稼ぎ創出が意図”
賛成-反対 核心主張は
参与政府末期の2007年に続き、受信料引き上げが再び社会的議題に浮び上がった。2007年には<韓国放送>がこの問題を提起した後、当時与党のヨルリンウリ党と一部市民言論団体らが賛成、野党のハンナラ党が反対したが今は放送通信委員会(放通委)と韓国放送が先頭に立って野党の民主党と相当数の市民言論団体が反対する局面だ。
キム・インギュ韓国放送社長は昨年11月就任式で受信料を今の2倍の5000ウォンに上げなければなければならないと主張した。引き上げ根拠は大きく3つだ。△売り上げに広告が占める比重が毎年増加(2009年末約60%)しており、公営放送の根幹が揺れていて△財源不足で公営的プログラムに投資を出来ずにいる状態で△2012年末までのデジタル転換にかかる費用を充当しなければならないということだ。
主務部署の放通委も受信料引き上げに積極的だ。チェ・シジュン放送通信委員長は去る4日受信料を5000~6000ウォンに引き上げるとし韓国放送を援護射撃した。ハンナラ党も受信料引き上げに賛成している。コ・フンギル国会文化体育観光放送通信委員長は12日<ハンギョレ>との通話で「党で具体的な議論はしてみるべきだが引き上げはしなければならない」と話した。
保守指向の言論団体,学者らも概して経営効率化などを前提に段階的引き上げを主張している。ソン・ドンギュ中央大教授は「ひとまず少し上げた後で、後から物価連動制などを適用しなければならないだろう」と提案した。チェ・ホンジェ公正言論市民連帯事務局長は「経営効率性に高い点数を与えにくい」とし「国民が受信料引き上げ分をみな負担しろと言ってはいけない」と話した。
反面、野党と進歩側市民言論団体,教授らは引き上げに反対する気流が強い。これらは韓国放送が権力から独立的でなく公共映像性と信頼度が下落していると指摘する。実際、参加政府時期に不同の信頼度1位だった韓国放送報道は現政権になりニュース軟性化,時事プログラム廃止などで公共映像性・信頼度の側面で高い点数を得られずにいる。
反対陣営は特に受信料引き上げが韓国放送の公共映像性強化のためでなく、新しくできる総合編成チャンネル支援のためのものという疑問を拭えずにいる。キム・ソジュン聖公会大教授は「チェ・シジュン委員長が受信料が引き上げられれば7000億~8000億ウォンが民間に行くと言ったが、この内2000億ウォン程度は地上波に、残り4000億~5000億ウォンは総合編成やニューメディア側に流れるだろう」と話した。
ただし進歩側の一部にも受信料問題は政派的に接近してはいけないという雰囲気もあり、まだ受信料引き上げ反対の単一隊伍を形成できていない。
チェ・ヨンムク聖公会大教授など一部学者らはこの際、ドイツの‘公営放送財政受け入れ調査委員会’(KEF)のような独立的な受信料論議機構を作らなければならないという提案も出している。
韓国放送は今月末あたり理事会に受信料引き上げを正式案件として上げドライブをかける計画だ。イ・サンハク放通委放送政策企画課長は「韓国放送理事会に正式に案件が上がってくればそれを見て判断する」と話した。これから受信料引き上げ議論は韓国放送の公共映像性・信頼度に対する国民的同意有無と今年下半期の総合編成チャンネル選定とかみ合わさって方向が決まるというのが大まかな観測だ。
パク・チャンソプ記者cool@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/media/398536.html 訳J.S