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‘地域均衡発展’ 50年の悩み, 数ヶ月間で根こそぎ飛ばす

原文入力:2010-01-12午前09:26:55
[世宗市修正案 これが問題だ]①地域均衡発展 逆走行
来年には人口の半数が首都圏に暮らす
‘行政都市建設の根本趣旨’知らない

キム・ギョンウク記者

←政府の修正案発表で世宗市の未来が不透明になった11日午前、忠南燕岐郡行政中心複合都市(世宗市)‘初めての村アパート’建設現場に濃い霧が立ち込めている。 燕岐/パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr

世宗市修正を巡る世論分裂と葛藤がより一層深まっている。昨年9月、チョン・ウンチャン国務総理が世宗市問題を取りあげ、4月に世宗市民官合同委員会がスタートし、わずか2ヶ月で政府は世宗市修正案発表を強行した。この修正案では地域均衡発展と首都圏過密解消という原案の核心が消えた。大韓民国の未来像について地域均衡発展論と首都圏集中発展論とが正面から衝突している。世宗市修正案の核心問題点を3回にわたり探ってみる。

11日李明博政府が中央部署移転を白紙化し企業都市への転換を盛り込んだ世宗市(行政中心複合都市)修正案を最終確定し発表した。この修正案が実際に執行されれば、1960年代から歴代政府が推進してきた首都圏過密解消と地域均衡発展政策基調は初めて覆されることになる。首都圏と地方の両極化と地方の荒廃化もより一層深刻化すると憂慮される。

この日政府が発表した修正案の核心は、中央政府部署移転の代わりに三星,韓化,熊津,ロッテなどの大企業と国際科学ビジネスベルトの誘致だ。政府は企業を誘致し自足性を高めるとし、自足機能用地比率を6.7%から20.7%に3倍も高めた。また世宗市に入居する大企業に平均造成原価の6分の1ほどで土地を供給し税制・財政を支援し各種規制を緩和するなど破格的恩恵を与えることとした。

中央部署移転は白紙化された。当初中央部署が入る予定だった場所には基礎科学研究院をはじめとする国際科学ビジネスベルト用地として使われる。盧武鉉政府は9部2処2庁など13ヶの中央部署を含む36ヶ公共機関,16ヶ研究機関を世宗市に移転する予定だったが、李明博政府はこの内16ヶの研究機関だけを世宗市に移すと明らかにした。ピョン・チャンフム世宗大教授(行政学)は「世宗市原案が白紙化されれば180ヶ余りの公共機関を地方10都市に移転する革新都市建設も不透明になる」とし、「これは地域均衡発展政策全般に悪影響を及ぼすだろう」と話した。

政府の修正案は2012~2030年の間に忠清圏の生産規模は30兆9000億ウォン,付加価値は14兆4000億ウォン,雇用規模は27万7000人余り増えると予想している。世宗市が原案どおり建設される時に予想される178兆ウォン(財政経済部)~265兆ウォン(京畿開発研究院)の全国地域内総生産増加と170万(財政経済部)~200万人(京畿開発研究院)の首都圏人口分散規模に比べ、その効果は非常に小さい。

政府の今回の修正案には地域均衡発展と首都圏過密解消という世宗市原案の核心価値は抜け落ちている。なぜ朴正熙政府や盧武鉉政府で行政首都や行政都市を建設しようとしたのかに対する返答がない。首都圏過密を解消し全国の均衡発展を試みる方案が何なのかに対しても何の対策もない。チョ・ミョンレ檀国大教授(都市地域計画学科)は「これは原案を白紙化し忠清圏の反発を揉み消すために企業誘致だけに力を注いだ結果」と説明した。これに伴い地域発展効果も忠清圏だけに現れ、嶺南と湖南,江原,済州など他地域には役立たないと現れた。

首都圏過密を解消し地域均衡発展を試みる政策は、首都圏への人口集中が加速化した1960年代から一貫して推進されてきた。特に朴正熙大統領は1977年‘臨時行政首都建設’を発表し、1979年このために‘行政首都建設のための白紙計画’を用意した。この計画は朴大統領の他界で失敗に終わったが、首都圏集中を防ぐための首都移転政策はその後も続いた。1979~94年果川に第2政府庁舎を作り11部署を移転し、1998年には大田に第3政府庁舎を作り11ヶ庁を移転した事例が代表的だ。

だがこういう40年余り続いた政策にも関わらず首都圏集中は緩和されなかった。むしろ毎年首都圏で20万~30万人の人口が増えている。2007年統計庁の人口推計によれば、2011年には全国土の11.8%である首都圏に全体人口の50%が集まり住むことになる展望だ。それでもイ・ミョンバク政府は世宗市修正をゴリ押しすることにより、地域均衡発展を事実上あきらめると宣言した。
イ・ミョンバク政府の政策がそのまま実行されるならば、世宗市は単なる企業新都市に転落し、地域均衡発展と首都圏過密解消のための政策は抜け殻になる展望だ。これにより首都圏と地方の格差は一層広がる公算が大きい。クォン・ヨンウ誠信女子大教授(地理学科)は「今回の修正案で地域均衡発展と首都圏過密解消という価値が消え、これから首都圏と地方,地方と地方の競争と葛藤はより一層深化するだろう」と指摘した。

キム・ギョンウク記者dash@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/398375.html 訳J.S