来週に予想される第3四半期のワクチン接種計画の発表を控え、韓国の政府省庁や地方自治体、政界などから、特定職群や地域民を新型コロナワクチンの優先接種対象にしてほしいという要求が殺到している。専門家らは、50代に優先的に接種するものの、希少難病患者のワクチン接種を優先的に考慮する案が必要だと提案した。
新型コロナ予防接種対応推進団のキム・ギナム接種企画班長は8日の定例記者会見で「第3四半期には基本的に年齢順で優先順位に従って接種する計画」だとし、「脆弱階層や必須階層の優先枠を別途に設けるかどうかは今後の検討過程で議論する予定」だと述べた。「希少疾患の患者や慢性疾患の患者、他の感染脆弱階層などが第3四半期の接種優先順位に該当するか」という質問に対してこのように答えた。
最近、社会の各界各層では、特定の対象を第3四半期のワクチン優先接種対象に指定してほしいという要請が相次いでいる。済州道議会は、観光客による感染の懸念などを理由に、道民に優先的にワクチン接種を行ってほしいと要請する政府建議案を、9日の本会議で取り上げる予定だ。教育部は大学生や教職員、塾関係者を、雇用労働部は宅配便・配達の運転手と環境美化員(清掃員)の優先接種を防疫当局に要請した。また共に民主党の新型コロナワクチン・治療薬特別委員会も小商工人と自営業者に対する優先接種の実施を政府に要請した。
このような現象について、専門家らは懸念を示している。どちらが重要なのか、特定地域と職群の中で優劣をつけるのは困難であるうえ、「高危険群の優先接種」という原則が崩れる恐れがあるという理由からだ。高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「そもそも優先接種対象者は、韓国社会でどんな職種とどんな人がより重要だという論理で決まったわけではなかった」とし、「重症化と死亡リスクの減少、保健医療体制への負担の緩和、感染拡大の遮断が優先目標だが、これに他の論理が介入することは望ましくない」と説明した。
ただし、専門家らは、上半期に高齢層の接種がかなり進んだため、第3四半期には希少疾患者などへの優先接種が必要だとみている。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「第3四半期にも年齢順で接種するが、免疫低下疾患など難病を患っている若い世代にも、まず接種の機会を与えることが必要だ」と話した。健康保険審査評価院の記録から算定特例支援を受けている重度疾患者と、希少・重症難病の患者を選別できるということだ。
嘉泉大学医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学)は「50代や糖尿などの慢性疾患者、希少疾患者に対する接種を行ってから、(重症化・死亡の危険が低い)若い成人人口集団は先着順で接種することも考えられる」と述べた。
同日基準で、全体の新型コロナの重症患者149人のうち各年代が占める割合は、40代が4.7%、30代が3.36%、20代が1.34%、10代は0.67%だ。同日までの累積死亡者を分析した致命率は、40代で0.07%、30代で0.04%、20代で0.01%、10代では0%だ。下半期以降に接種の対象となる年齢層は、重症化や死亡のリスクが相対的に低い集団であり、大きな差もない。
現在、韓国政府は第3四半期に約8000万回分のワクチンが確保され、物量に余裕があるという前提の下、優先順位対象者をあえて選ばない方向で方針を固めたものとみられる。「9月までに3600万人の1回目接種完了」という政府の目標通りなら、年齢順で接種を行っても9月内に20代まで1回目の接種を受けることができる。そのため、優先接種対象者を10万~20万人に絞るよりも、年齢順で早く効率的に接種を進めたい構えだ。チェ・ウォンソク教授は「(希少疾患者を)先に接種するのが正しいが、実際に行政的に(問題を)解決するには困難が伴うという点もあるだろう」とし、「10年前、5年前までの資料で優先順位を決めるのか、最近診断された人はどうするかという問題もある。複雑な基準を立てるのは容易ではない」と指摘した。