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インドから流入した変異ウイルス、ソウル、京畿、仁川で「静かな伝播」

登録:2021-06-02 03:42 修正:2021-06-02 10:18
ソウル、京畿道坡州市に次いで仁川でも確認 
仁川の家族、学校、塾で29人が集団感染 
最初の仁川空港検疫所関連の感染経路は明確 
首都圏の地域社会内の伝播では最初の感染源が不明 

英国保健相「新規感染の50~75%がデルタ株」
今年5月27日、インド・ムンバイの鉄道駅で、保健医療スタッフが長距離列車から降りてきた乗客を対象に発熱検査を行っている=ムンバイ/AFP・聯合ニュース

 5月中旬に始まった「仁川市南洞区(インチョンシ・ナムドング)の家族・学校集団感染」関連の29人の新型コロナウイルス感染者が、ワクチンの効果を下げる「デルタ株(インド変異株)」に感染していたことが確認された。すでにソウルと京畿道坡州(パジュ)でも家族や知人の間でデルタ株の感染が小規模で発生している。いずれのケースも、指標患者(最初の感染者)の感染経路が不明なため、デルタ株が首都圏で「静かな伝播」を開始したと分析されている。デルタ株は最近、英国で「アルファ株(英国変異株)」に取って代わるほどの強い伝播力を示しているため、懸念が強まっている。

 中央防疫対策本部(防対本)は1日、ここ1週間(5月23~29日)における韓国国内の地域社会での感染者の14.4%に当たる566人の検体について遺伝子分析を行ったところ202人から、世界保健機関(WHO)が「主な変異株(懸念すべき変異株)」に分類するアルファ株、ベータ株(南ア変異株)、ガンマ株(ブラジル変異株)、デルタ株が検出されたと明らかにした。今回の検出率は33.1%で、直前の週(5月16~21日)の36.1%より小幅に下がっているものの、2週連続で30%台を維持した。このことから、感染者の3人に1人が主な変異株に感染している可能性があるという推定がなされる。202人のうち4人はデルタ株の感染例だった。このうち3人は先月15日に最初の感染者が出た「仁川市南洞区の家族・学校集団感染」関連の感染者だ。残りの1人は、ソウルと京畿道坡州の関係者だ。防疫当局は、仁川市南洞区の集団感染者の3人からデルタ株を確認したことで、関係者29人全員が変異株の感染者であることを確認した。

 首都圏ではデルタ株の地域社会における感染例が少しずつ確認されているが、これらの事例同士のつながりは不明となっている。国内初のケースである「仁川国際空港検疫所集団感染」は4月末に最初の感染者が確認されたが、これは集団感染の発生経路が「国外からの流入者」であることが明らかだった。国外からの入国者に関連する業務を行う検疫所の職員、派遣軍人、看護師(9人)で多くの感染者が確認されたからだ。このケースでは検疫所の従事者の家族や知人(6人)への追加感染が発生したため、デルタ株の地域社会での伝播の火種になるのではないかとの懸念も示された。

 実際に、5月12日に感染が確認された京畿道坡州市の軍人がデルタ株に感染しており、この軍人を感染させた先行患者がソウルにいることが5月25~27日に確認されている。続いて仁川市南洞区の集団感染事例がこの日、デルタ株であることが確認された。防対本のパク・ヨンジュン疫学調査チーム長はこの日「(坡州の軍人の)感染経路を調査している中で、先行感染者だった知人と家族4人の感染がさらに確認された。2次感染者の知人1人がさらに追加されて、関連事例は計6人」と説明した。また「(仁川市南洞区の集団感染の)指標患者は、一家の祖父母と確認されている。5月初めの『父母の日』ごろに仁川で行われた家族会合を通じて家族間で感染が広がった。その後、会合に参加した家族が通っている学校や塾にさらに広がった」と付け加えた。

接種率トップの英国、デルタ株の流行で感染者が再び増加傾向

 デルタ株の地域社会での「静かな伝播」が本格化する前にワクチン接種率を高めるべきだという指摘が出ている。中央災害安全対策本部(中対本)が公開したカナダ保健省の分析結果によると、ファイザーのワクチンは初期流行ウイルスに対する予防効果は91.3%であるものの、デルタ株に対しては75%に低下する。アストラゼネカは81.5%から10.4%に、ノババックスは96.4%から55.4%に、ヤンセンファーマ(ジョンソン・エンド・ジョンソンの製薬部門)は72%から64%に下がる。

 デルタ株の「危険度」は、感染者数が再び急増している最近の英国の事例にもよく表れている。英国は世界でも予防接種がもっとも迅速に進められている国で、1次接種者数は人口の59%にのぼる。このことから、今月21日からは封鎖関連の全ての規制を解除しようとしていたところだった。しかし、5月1日には2148人だった1日の感染確認数は、5月28日には4182人にまで急増し、2カ月ぶりに再び4000人を超えた。マット・ハンコック保健相は5月27日(現地時間)に声明を発表し、「新規感染者の50~75%がインドで初めて確認された変異ウイルス(デルタ株)とみられる」と明らかにした。デルタ株は従来のウイルスより感染力が1.3倍も強いとされ、英国で優勢だった「アルファ株」より勢いを増している。これに対し、フランスは31日から、英国から入国するすべての人に48時間以内に発給された陰性確認書を提出させることを決めるなど、変異株の管理を強化している。

 いっぽう韓国では、アルファ株が勢いを増す一部地域でのワクチン接種率の向上に力を入れている。大邱(テグ)は、アルファ株が検出されている遊興店での集団感染関連の感染者が1日午前0時までに239人となるなど、さらに拡散する兆しを見せている。しかし、大邱の1次接種率(第2四半期までの接種対象者に占める割合)は42.6%で、全国17市・道(平均48.9%)で最下位のため、大邱市は接種者に商品券形態のインセンティブを付与することを検討してもいる。

チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/997623.html韓国語原文入力:2021-06-01 20:59
訳D.K

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