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韓国海軍、軽空母導入の必要性を主張「力があれば使えるカードが増える」

登録:2021-04-22 06:18 修正:2021-04-22 08:59
2033年予定の軽空母導入を説明する記者懇談会で 
米のインド太平洋戦略に巻き込まれることへの懸念には「主権的な決定事項」
文在寅大統領は3月26日に開かれた第6回西海守護の日の記念演説で「2033年頃に姿を見せる3万トン級の軽空母は、世界最高水準の韓国の造船技術により建造される」と明らかにした=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 韓国海軍が、2033年に完成させるとみられる3万トン級の軽空母が米国のインド太平洋戦略に編入され中国けん制に活用されることになり得るという懸念に対し、実際に米国の対中戦略に参加するかはともかく「能力を持つことが重要だ。国家政策のレベルで海軍が有する力があれば政府の使えるカードが増える」と主張した。

 海軍は21日、国防部の記者団に対して軽空母導入に関する説明会を開き、この事業のこれまでの推移や経過と今後の計画を紹介した。海軍当局者は「防衛事業庁による事業推進基本戦略の樹立や、企画財政部による事業妥当性の調査などの準備過程を経て事業が着手されれば、12~13年間の設計と建造の段階を経ることになる」と述べた。同当局者は「軽空母は北朝鮮の挑発を抑制し、戦時には早期の戦争の勝利を導き、平時には海洋主権を守り国家の利益を保護するだろう」と強調した。

 海軍の最大に重点をおく事業である軽空母をめぐっては、2兆ウォン(約1900億円)にのぼる建造費と莫大な運用費など必要な予算が多く、“金食い虫”になるだろうという指摘が続いていた。海軍はこれについて「軽空母は建造に12~13年を要するので、予算は分散投入され、純粋な維持費は年間500億ウォン(約48億円)程度にとどまる」と述べた。軽空母のエンジンとして原子力推進方式も検討するのかという質問には「従来式の推進に決めた」と答えた。

 それよりさらに大きな問題は、韓国が軽空母を導入すれば、米国が望む韓米日三角同盟を活用した中国けん制に軍事的に動員されることになり得るという点だ。実際、海軍はこの日、軽空母が朝鮮半島から遠く離れた遠洋まで出て作戦に従事することを否定はしなかった。海軍がこの日公開した資料「軽空母―国家と国民のための時代的使命」には、米国と中国の間で悽絶な網引きが行われている南シナ海情勢に関する資料が含まれていた。

 韓国に先立ち2万トン級の軽空母を導入した日本は、米国との合同軍事演習などのために、軽空母の「いずも」と「かが」を南シナ海やインド洋などに派遣している。日本が米国の対中国戦略であるインド太平洋構想を軍事的に後押しするうえで、2隻の軽空母が中心的な役割を担っているのだ。このような懸念について海軍当局者は「戦力を運用するのはその国の主権的な決定事項」だとし、「米国の国家戦略に巻き込まれて空母が運用されるだろうというのは杞憂だと考える。そのような懸念は十分認識し、そうならないよう海軍から声を出す」と述べた。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/991968.html韓国語原文入力:2021-04-21 15:02
訳M.S

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