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イ・ジェミョン京畿道知事「ロシア製ワクチンも選択肢の一つとして導入を議論すべき」

登録:2021-04-21 08:51 修正:2021-04-21 09:58
独自検討発言に続き、初めてワクチン名も言及 
まだ安全性が明確に検証されておらず 
防疫当局「見守る必要がある」留保の態度
イ・ジェミョン京畿道知事が今月20日、ソウル汝矣島国会グラッドホテルで開かれた清掃・警備労働者休憩施設改善国会討論会で、出席者らと話している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 イ・ジェミョン京畿道知事がロシアで開発した新型コロナワクチン「スプートニクV」の国内導入について、公開的に検証すべきだと明らかにした。安全性が確保され、購入の可能性が検証されれば、京畿道民を対象に接種を始める意向も示した。しかし、まだ安全性が明確に検証されていない上、政府防疫当局との協議が終わっていないため、混乱を招きかねないという指摘もある。

 イ知事は20日、本紙との電話インタビューで「これまで明らかになったことによると、(スプートニクVが)アストラゼネカ製ワクチンより免疫率(予防効果)が高い」とし、「安全性に対しては資料が不十分ではあるものの、まだ深刻な問題点が確認されていないため、検討の選択肢を広げて公開的に検証する論議をはじめなければならない」と述べた。イ知事は15日、「ほかの国々が開発し、接種しているワクチンを京畿道が独自にでも導入し、接種できる可能性を検討している」と明らかにしたが、具体的なワクチン名について言及したのは今回が初めて。

 イ知事が言及したロシアの「スプートニクV」は、アストラゼネカ製やジョンソン・エンド・ジョンソン製のワクチンのようにウイルスベクター方式で作られたものだ。スプートニクVの使用を承認した国は60カ国以上とされているが、安全性の敷居が高い欧州の主要国や米国・カナダといった北米国家で使用が承認された事例はまだない。韓国では2つのコンソーシアムがこのワクチンを委託生産するため、ロシアの政府系ファンドと技術移転契約を締結した。しかし、これは韓国国内での使用のためではなく、輸出を前提にしたものだ。これについてイ知事は「国内に生産コンソーシアムが作られているため、導入方針が決まったら、ワクチンの確保も非常に容易だ」と説明した。

 イ知事は、安全性が確保されたことを前提に、京畿道民を対象にワクチンの接種を始めるという意思を明らかにした。さらに「(安全性が)検証されているのに、世論や野党の保守メディアの攻撃のため(導入が)困難なら、希望する人を募集して(京畿道で)先に接種を始める案も考えられる」と述べた。

 イ知事はワクチンの品薄状態という最悪の場合に備え、議論の可能性を残しておくのが重要だと強調した。イ知事は「西側と社会主義圏がワクチンをめぐり一種の覇権争いを繰り広げている側面がある」とし、「しかし、陣営も政治も関係なく国民の安全と生命に関するものであるからこそ、すべての可能性を開いて客観的に検証してみなければならない」と述べた。さらに「検討過程自体がモデルナ製やファイザー製のワクチンを購入するうえでテコになる可能性がある」と付け加えた。ファイザー製ワクチンの確保が不透明な状況で、スプートニクVを利用してモデルナ製やファイザー製ワクチンの確保に対する交渉力を高められるという意味だ。

 現在、防疫当局はスプートニクVの導入を本格的に検討してはいないが、今後、臨床状況をチェックしながら見守る構えだ。中央事故収拾本部のソン・ヨンレ社会戦略班長は16日の定例ブリーフィングで「スプートニクVについては『ランセット』という有名な学術誌で有効性と安全性に対する評価が示された」とし、「各国の動向とここから出てくる後続データを確認し、十分に導入可能な領域なのかどうかをさらに見守る必要がある」と言及した。これは、スプートニクVの導入と関連して、韓国政府が以前よりは多少肯定的な態度に転じたことをうかがわせる発言だ。

 高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「論文で一定水準の効果と安全性が報告されたため、考えられるオプションだが、もし導入するなら承認過程でより詳しい検証が必要だ」と述べた。さらに「すでに契約されたワクチンに比べ、早く導入できるかどうかはまだ分からない。まずは契約を結んだワクチンの導入ができるだけ早く行われるよう、最大限努力しなければならない」と指摘した。

ソン・チェ・ギョンファ、ソ・ヘミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/991875.html韓国語原文入力:2021-04-21 06:54
訳H.J

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