25日、北朝鮮が東海上に弾道ミサイルと推定される飛翔体を発射したことで、ジョー・バイデン米大統領が就任2カ月で北朝鮮の挑戦に直面した。舞台に呼び出されたバイデン大統領が北朝鮮にいかなる対応を示すかによって、政権発足初期の朝米関係の行方が大きく影響されるものと見られる。
米政府は、現地時間で24日夜に伝えられた北朝鮮のミサイル発射に対し、具体的な反応は示さなかった。バイデン大統領やホワイトハウス、国務省からはいずれも公の言及がなかった。朝鮮半島を担当する米インド太平洋司令部が報道官論評で「北朝鮮が今日朝、東海上にミサイルを発射したと把握している」とし、「我々は状況を引き続き注視すると共に、同盟やパートナーと緊密に協議している」と明らかにしただけだ。同司令部は「今回の行為は北朝鮮の違法な武器プログラムが周辺諸国と国際社会に提起する脅威を浮き彫りにした」とし、「韓国と日本の防御に対する米国の約束は引き続き鉄のように硬い」と付け加えた。
バイデン大統領は前日、北朝鮮が21日に西海上に2発の巡航ミサイルを発射したことがワシントン・ポストを通じて公開された直後、たいしたことではないという反応を示した。バイデン大統領は、北朝鮮ミサイル発射が実際の挑発だと思うかという記者団の質問に「国防総省によると、それはいつもと変わらないこと」だとし、「彼らの行為によって新たに発生した問題はない」と答えた。米政府当局者も、「北朝鮮の巡航ミサイル発射は通常の活動の一つだ」とし、「これは国連安全保障理事会の決議に違反するものではない」と述べた。そして、北朝鮮との対話の意志を再確認した。北朝鮮政策が完成するまでは、北朝鮮との緊張の高まりを最大限避けることが重要だと、米政府関係者らは強調してきた。
しかし、その翌日、北朝鮮はこれ見よがしに弾道ミサイルと推定される飛翔体を東海上に発射した。米政府高官はNBC放送に、北朝鮮が発射したのは「短距離弾道ミサイル」である可能性が非常に高いと述べた。もし弾道ミサイルであれば、バイデン政権が黙って見過ごすのは難しいだろう。北朝鮮の弾道ミサイルの発射は国連安保理決議に反する。米国の政界と国際社会で国連安保理決議違反だとして、強力な対応を求める声が高まる可能性がある。ただし、北朝鮮の今回のミサイルが、日本の排他的経済水域の内側に落ちない短距離と判明すれば、米国も対応を調整する余地が生まれるものと見られる。
今回の発射に対するバイデン大統領の反応は、26日午前(ワシントン時間25日午後)に予定された記者会見で示される可能性が高い。北朝鮮とは関係なく、先週予告された就任後初の公式記者会見だが、北朝鮮に関する質疑応答も行われるものと見られる。バイデン大統領は昨年の大統領選挙当時、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長を「悪党」とし、露骨に非難したものの、就任後は金委員長や北朝鮮に対して刺激的な発言を控えてきた。彼がこれまで示してきた慎重さを貫くのか、それとも態度を転換するのかに関心が集まっている。
北朝鮮のミサイル発射が、バイデン政権がほぼ完成段階にあると明らかにした北朝鮮政策に及ぼす影響も注目される。ひとまず米国は、政権発足の初期に朝鮮が武力挑発する可能性を想定していた可能性が高いため、今回の発射だけでこれまで検討してきた北朝鮮政策の方向が大きく揺らぐことはないものと見られる。しかし、北朝鮮政策と関連し、来週ワシントンで開かれる韓米日安保室長協議で、3カ国の間に隔たりがある場合、政策が影響を受けたり、完成までさらなる時間を要する可能性もある。すでに日本の菅義偉首相は今回の発射について、「国連決議に反する」と強く反発した。