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韓国の裁判所、性行為中に同意なく避妊具を外す「ステルシング」に損害賠償判決

登録:2021-02-20 07:58 修正:2021-02-20 11:32
「ステルシング」を違法だと判断した初の判決 
国際社会では刑法上の犯罪に規定する傾向 
ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 性行為の途中で相手の同意を求めずに避妊具を外す、いわゆる「ステルシング(stealthing)」について、民事上の責任を認めた裁判所の判決が出た。国内でステルシング行為が性的自己決定権を侵害する違法行為だと裁判所に認められ、メディアに公開されるのは初めて。

 19日、ハンギョレの取材内容を総合すると、10日にソウル東部地裁民事17単独のイム・ボムソク部長判事は、A氏が自身にステルシング行為をした男性B氏に対し提起した2000万ウォン(約190万円)規模の損害賠償請求訴訟で、B氏がA氏に100万ウォン(約9万5000円)を支払うよう命じ、原告一部勝訴の判決を下した。

 A氏は昨年5月頃、当時恋人だったB氏が性行為中に自分の同意を得ずに避妊具(コンドーム)を外し、損害賠償請求訴訟を起こした。原告のA氏は「性行為中に同意なくコンドームなどの性的保護装置を外し、性行為を続けた」とし、「B氏が望まない妊娠および性病を予防し、安全な性行為を望んだA氏を欺き、性的自己決定権および人格権を侵害する不法行為を行った」と主張した。裁判部は原告の一部勝訴判決を下し、「原告が検査結果が出るまでに経験した憂うつや不安などの精神的被害を考慮した」とし、「実際に性病や望まない妊娠に至る被害までは発生しない点、被告がすぐに性病検査を受けるなどの被害復旧のために努力した点も同時に考慮した」と判示した。

 ステルシング行為は2014年にカナダで性犯罪に規定された後、国際社会では刑法上の処罰対象として定着しつつある。スイスやドイツ、英国などの国家でもステルシングを処罰しているが、米国ではまだ処罰した事例はない。米国カリフォルニア州議会で最近、処罰法案が発議され、立法過程にある。

 韓国でも処罰規定はなく、A氏が民事訴訟を代理する弁護士を探す過程で困難を経ることになった。A氏の法律代理人はハンギョレに「ステルシングは女性の性的自己決定権を侵害する違法行為だが、他の性犯罪とは異なり処罰規定がなく、刑事処分は難しかった」とし、「賠償金額は多くはないが、民事上の不法行為だと被害事実を認められて幸い」だと述べた。

イ・ジェホ、チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/983749.html韓国語原文入力:2021-02-19 18:19
訳M.S

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