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[ニュース分析]米国はいつから日本の肩を持ち始めたのか

登録:2021-02-16 01:34 修正:2021-02-16 08:12
政治BAR_キル・ユンヒョンのそこが知りたい 
 
「中国台頭」に対抗して日米同盟を強化していた 
オバマ-安倍の2014~2016年が決定的な転換点
2016年12月27日、米ハワイ・ホノルルの真珠湾を訪問した日本の安倍晋三首相が、バラク・オバマ米大統領が見守る中で演説している。後方右には、1941年12月に日本の奇襲攻撃で沈没した米戦艦アリゾナの上に設置された記念館が見える=ホノルル/ロイター・聯合ニュース
キル・ユンヒョンのそこが知りたい//ハンギョレ新聞社

 「同盟の修復」を中心的外交課題に掲げるジョー・バイデン大統領が政権について1カ月も経たないうちに、韓日関係の回復、韓米日の三国協力強化を叫ぶ米国内の声が本格化している。しかし米国のこうした動きは、韓国にとっては「公平な仲裁」ではなく、「日本の肩を持っている」と受け止められているのが実際のところだ。本当だろうか。そうだとしたら、このような流れはいつ始まったのだろうか。

 新任のチョン・ウィヨン外交部長官は旧正月当日の12日、アントニー・ブリンケン米国務長官と就任後初の電話会談を行った。韓米間の意思疎通をできるだけ急ごうとする韓国政府の焦りが読み取れる。外交部は会談の事実を伝える報道資料で「両長官はできるだけ早いうちに両国間の懸案を論議するための高官級協議を開催」することとし、「韓米日協力が続くことが重要だという共通認識を得た」と発表した。しかし、米国務省が発表した資料のニュアンスは微妙に違っていた。ブリンケン長官が「持続的な米韓日協力の重要性を強調」したという表現を使い、米国が韓国に「日本との関係回復を急ぐように」と説得するようなかたちを取ったからだ。

 ブリンケン長官と日本の茂木敏充外相の10日の電話会談を伝える資料を見ると、このような雰囲気をさらに感じることができる。米国務省は、両外相が「米日韓三国協力とQuad(クアッド)を含む地域協力を歓迎した」と発表したが、日本は「『自由で開かれたインド太平洋』の実現のため、同志国間で緊密に連携し、また、日米豪印の連携を着実に強化していくことで一致」したということを強調しただけで、韓米日三国協力については一切言及していない。米国が何か「外交的過ち」を犯した韓国に関係回復を要求しており、日本は自分たちの怒りが正当であるかのように、不快な内心を隠さない雰囲気を漂わせたのだ。

2012年7月、米下院慰安婦決議5周年記念行事が開かれた=資料写真//ハンギョレ新聞社

 米国は一時期、日本軍「慰安婦」問題などの韓日の歴史をめぐる対立が噴出するたびに、自らが重視する「人権の視点」に基づいて韓国が好意的に受け入れられる意味のある介入を行っていた。日本の執拗な反対を押し切った2007年7月30日の米下院による慰安婦決議や、2013年12月26日の安倍晋三前首相の靖国神社参拝に対する「失望した」との反応が代表的だ。

 しかし米国のこうした立場は、2014年から16年にかけて「中国の台頭」に対応するために行われた日米同盟強化の過程を経て、劇的に変わることになる。この時期、安倍前首相は、2014年3月に慰安婦の動員過程の強制性と軍の介入を認めた1993年の河野談話を「継承する」という立場を明らかにしており、2015年4月には日米同盟を既存の「地域同盟」から「グローバル同盟」へと、活動範囲と地位を拡大する日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定を行った。安倍前首相と米国のオバマ元大統領は、2016年に「広島」と「真珠湾」を互いに訪問し、最後まで残っていた歴史の残滓をかなり取り除くことに成功した。日米同盟は、以前とは異なる特別な同盟に生まれ変わったのだ。

ユン・ビョンセ外交部長官と日本の岸田文雄外相が2015年12月28日、ソウルの外交部庁舎で、慰安婦問題に関する会談を終え、共同記者会見を行っている=資料写真//ハンギョレ新聞社

 それに伴い、韓日の歴史対立に対する米国の介入のあり方も変わることになる。米国は2015年初めから韓日の和解を露骨に迫り始め、2015年12月28日に「慰安婦合意」が行われた際には、「歓迎する」との声明を発表している。バイデン大統領も、副大統領だった2017年1月6日の安倍前首相との電話会談で「米国は慰安婦合意を支持し、双方がこれを着実に履行することを強く期待する」と語っている。「12・28合意」によって韓日対立は封じ込められたと考えた日米は、2016年11月に韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結し、2017年初めには在韓米軍基地へのTHAAD(サード)配備を終えるなど、韓米日三国協力を一段階引き上げた。

 米国の立場は、米国第一主義を掲げて同盟を軽視するドナルド・トランプ政権の2017年1月の発足後、多少変わった。トランプ大統領は2018年6月、2019年2月と6月に、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と3度にわたって首脳会談を行う破格の姿勢を示した。その間、文在寅(ムン・ジェイン)政権は2018年1月に慰安婦合意を無力化し、2019年秋には日本との対立局面でGSOMIA終了決定を下し、その後にこれを覆すという騒動を繰り広げた。日米は2018~2019年に中国包囲のための共同構想「インド太平洋戦略」(日本では構想と表現)を具体化し、米国、日本、オーストラリア、インドが参加する安保協議体「クアッド」の強化作業を進めている。

チョン・ギョンドゥ国防部長官(左)、米国のマーク・エスパー国防長官(中央)、日本の河野太郎防衛相が2019年11月17日、タイ・バンコクのアヴァニ・リバーサイド・ホテルで開かれた韓米日国防相会談を前に、取材陣の写真撮影に応じた後、会談会場への道を譲り合っている。会談から4日後の21日、韓国はGSOMIA終了の決定を覆す=バンコク/聯合ニュース

 新たに発足したバイデン政権は、中国牽制のために柔軟かつ緊密に機能する韓米日3国の協力を切に望んでいる。これを表すように米国務省報道官室は11日、「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」に対し「日本と韓国の間に存在する緊張は遺憾なこと」と述べつつ「日本と韓国の関係より重要なものはない」と強調しており、米議会調査局(CRS)も韓日関係と日米関係に関する報告書で、バイデン政権の最大の外交課題として韓日関係の回復を挙げた。

 米国の本格的な介入は、3月に予想されるブリンケン国務長官のアジア歴訪で開始される見通しだ。米CNNは11日、複数の国務省関係者の話として、ブリンケン長官が「NATO(北大西洋条約機構)とアジアの同盟国を3月中旬から下旬に訪問する」と報じた。韓国政府は昨年9月、菅義偉首相の就任を機に「東京平和五輪」構想を日本に伝え、関係回復を図った。しかし「韓国が譲歩案を示すべき」との日本の強硬な立場のため、これといった成果を上げられずにいる。現在のように息詰まる状況が続くなら、2015年12月(12・28合意)や2019年11月(GSOMIA終了決定の撤回)のように、日本との関係において今一度「決定的譲歩」をしなければならない状況に追い込まれる可能性がある。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/982996.html韓国語原文入力:2021-02-15 14:10
訳D.K

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