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集団遺棄事件の前歴ある宗教団体「永生教」、関連施設で集団感染発生

登録:2021-02-11 09:30 修正:2021-02-13 08:17
神を自称するチョ・ヒソン教主が設立し布教 
信者殺害事件と詐欺容疑で服役中に死亡 
社会的騒動により主流教団から「異端」指定 
永生教「集団感染騒動を陳謝、防疫に協力」
ユーチューブ「勝利チャンネル」 よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 富川市(プチョンシ)は10日、京畿道富川市槐安洞(クェアンドン)の「勝利祭壇」と梧亭区(オジョンドン)の「梧亭能力学習塾」で新型コロナウイルスの集団感染が発生し、信者と生徒273人を全数調査した結果、勝利祭壇で20人、塾で33人など、合わせて53人が陽性判定を受けたと明らかにした。

 防疫当局は3日、発熱症状を示した勝利祭壇の信者1人が学習塾で講師として働いていたことを把握し、疫学調査を進めている。信者が勝利祭壇の男子寮で集団生活をしており、感染が早く拡散したと伝えられている。

 富川市のチャン・ドクチョン市長はSNSに「永生教の勝利祭壇の教徒22人が寮で集団生活を行っており、感染者の塾講師が勤める『梧亭能力学習塾』でも集団感染が発生した」とし、「勝利祭壇139人と学習塾134人の検査はほぼ終わり、塾の感染者が別の塾2カ所に通っており、その学習塾に対しても全数検査を行っている」と明らかにした。

永生教のチョ・ヒソン教主。ユーチューブ「勝利チャンネル」 よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 京畿道富川市槐安洞に位置する「永生教神の聖会勝利祭壇」(以下、永生教)は、何回も社会的な物議を引き起こした宗教団体で、プロテスタント主流教団が異端に規定した所だ。

 永生教は、2004年に収監中に死亡したチョ・ヒソン教主が設立した団体だ。チョ・ヒソン教主は自らを「神」「救世主」「勝利者」「鄭道令(チョン・ドリョン、韓国の民話に出てくる新王朝を建てるとされる人物)」などと称し、自分を信じればすべての病気を治すことができ、永遠の命を得られると主張した。

 永生教は2003年の集団遺棄事件で世間に広く知られた。永生教の信者15人の失踪事件を捜査していた警察が、永生教の密室庭園(素砂(ソサ)恩恵院)に秘かに埋められた遺骨をみつけた。永生教のチョ・ヒソン教主は、労働力搾取、詐欺、監禁などの容疑で拘束され、6年の刑を受けていたところ、2003年に信者殺害の疑いで再拘束され、2004年に信者2人とともに死刑判決を受けた。彼は2004年8月に獄中で心臓麻痺により死亡した。

ユーチューブ「勝利チャンネル」 よりキャプチャー。「写真の中飛び出たチョ・ヒソン総裁、生きていらっしゃる?」と書かれている//ハンギョレ新聞社

 永生教のホームページでは、チョ・ヒソン教主の生涯が詳しく紹介されている。これによると、チョ・ヒソン教主は聖書で復活し天国に行くということをみつけ、金浦邑(キンポウプ)の長老教会に通いはじめ、朝鮮戦争の際に人民軍に反共捕虜として捕まり。李承晩(イ・スンマン)大統領の釈放措置により最初に釈放された。その恩恵により神の実存を悟り、大韓神学大学に入学し聖書を本格的に勉強したと主張する。

 ホームページはさらに、軍将校として服務し、7つの中学・高校といくつかの教会を建て、肺病と耳の病気で苦労したなか、天父教のパク・テソン長老に出会い、病気が治ったと伝える。その後伝道館に通い、30日間の禁食祈祷と重労働をして努力した末の1980年10月15日、自身の中の悪魔を完全に殺すことになり、勝利者として人類救援の歴史を始めたと主張する。

 永生教は、チョ・ヒソン教主が人類を救援するために神が直接人間の肉身を身につけ下りてきた者であり、罪に完全に打ち勝ち、神様(仏様)になり永遠の命を成し遂げ、勝利祭壇を建て、人々を救援する救世主の使命を行ない、神の意志を受け継ぐ者として再び還元したという主張を繰り広げる。

永生教は写真の右側に写るぼやけているものを「イスル聖神」だと主張し、写真を公開している。永生教のホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 永生教はまた、勝利祭壇で礼拝を行う時や集会中に、信者に光のような「イスル聖神」が降りてくると主張し、関連する写真を公開したりした。今も永生教のウェブサイトにはイスル聖神の写真が公開されている。彼らは、イスル聖神を受けると病気が治り、大便から体内の腐り汚れた血が排出され、血がきれいになり、身体が若返る現象が起きると主張する。信者の一部は今もチョ・ヒソン教主が生きていると主張する。

 永生教は、世界から共産主義をなくす▽大韓民国が夏梅雨に負けないようにする▽大韓民国に台風が来ないようにする▽大韓民国がずっと豊作になるようにする▽大韓民国に戦争が起きないようにする、というチョ・ヒソン教主の5大公約を公表している。

 一方、永生教は10日、ウェブサイトを通じて「本祭壇の寮で集団感染が発生し、国民の皆様と防疫に苦労する多くの方々にご心配をおかけすることになった点は、大変申し訳なく、謝罪の気持ちを禁じえない」とし、「信者会では、防疫当局の自宅隔離および感染拡大防止の措置に積極的に協力し、早いうちに、これ以上ウイルスが拡散しないよう積極的に努力する」と明らかにした。

チョ・ヒョン宗教専門記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/religious/982611.html韓国語原文入力:2021-02-10 17:17
訳M.S

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