カン・チャンイル前国会議員(69)が新しい駐日韓国大使に公式に任命されたと、外交部が8日発表した。昨年11月の内定発表から約2カ月、彼が任命状を授与されたのは、ちょうど日本軍「慰安婦」被害者に対して韓国の裁判所が日本政府の賠償責任を認めた日だ。日帝強制占領期(日本の植民地時代)の強制徴用被害者への賠償判決に続き、「慰安婦」被害者賠償問題まで重なり、新しく赴任する駐日韓国大使にとっては、さらに細く、険しい道を歩まざるを得なくなった。
カン大使は同日、慰安婦関連判決について「歴史問題をめぐり韓日間に累積された軋轢の要因がもう一つ追加され、肩の荷がさらに重くなった」とし、「韓日関係はこれ以上悪くなるのが考えられないほど、すでに最悪の状況にあり、これからは良くなるだけだと信じて、韓日関係の発展に最善を尽くしていきたい」と述べた。カン大使は14日、大統領府で任命状を受け、22日ごろ日本に向けて出国する予定だ。
済州(チェジュ)出身のカン大使は17~20代まで国会議員を4期務めており、韓日議員連盟会長を歴任した。昨年4月の第21代総選挙には出馬しなかった。駐日大使内定の発表後、過去の強硬発言が注目され、日本政府のアグレマンを得るのに問題が生じるのではなないかという懸念の声も上がったが、最近アグレマンを得たという。アグレマンは外交使節に対する駐在国の同意を指す。
日本メディアは、カン大使が2011年5月に日本が領有権を主張するロシアの南クリル諸島(千島列島)を訪問し、「北方四島はロシアの領土」だと発言しており、2019年10月には天皇に対する韓国政府の公式呼称をめぐり、「韓国では(天皇ではなく)日王と呼ぼう」と述べるなど、対日強硬発言を行った前歴に注目した。
これについて、カン大使は昨年12月、日本の記者団に千島列島について「ロシアに奪われ、占有されたという趣旨で話したが、上手く伝わらなかった」と釈明すると共に、天皇の呼称についても「大使に赴任すれば天皇と呼ばなければならない」と述べた。
外交部はまた、ホン・ソギン駐米国公使を駐ホノルル総領事に任命した。