文在寅(ムン・ジェイン)大統領が30日、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)処長候補としてキム・ジヌク憲法裁判所先任研究官をを指名した。キム研究官は判事出身で、大韓弁護士協会が推薦した候補だ。
処長候補が指名されたことで、公捜処の1月発足は現実味を帯びてきた。文在寅大統領が最終候補を指名し、人事聴聞要請案を国会に提出すれば、国会は提出日から20日以内に聴聞会を終えなければならない。聴聞会を経た後、文大統領が指名者を処長に任命すれば、公捜処発足のための「8合目」は越えることになる。
その後、処長は公捜処の組織編成に入る。公捜処には次長、捜査処検事、捜査処捜査官などが必要だ。次長は処長の推薦により大統領が任命する。
公捜処の核となる捜査処検事は、7名で構成される人事委員会の推薦により大統領が任命する。人事委員会は処長、次長、処長が委嘱した1名、与党推薦委員2名、野党推薦委員2名で構成される。委員会は過半数の賛成で捜査処検事候補を選ぶことになる。捜査処検事の任期は3年だ。在任は3回まで可能で、最長9年。
公捜処の捜査対象は大統領▽国会議員▽最高裁長官および最高裁判事▽憲法裁判所長官および憲法裁判官▽大統領秘書室・国家安保室・大統領警護処・国家情報院の3級以上の公務員▽判事・検事▽警務官以上の警察官などで、規模は全体で7000人あまりに達する。捜査対象となる高位公務員の配偶者と直系尊卑属まで含めれば、規模はさらに大きくなる。最大65人の公捜処が担当するには大きすぎる。初期には、検事の不正容疑についての捜査に集中するものと見られる。
公捜処の捜査対象には「検察総長」も明示されている。法務部が捜査依頼したユン・ソクヨル検察総長の職権乱用容疑(「裁判所の政治傾向分析文書」作成指示)事件は現在、ソウル高等検察庁が担当しているが、公捜処が望むならこの事件を担当することもできる。ただしその場合は、再び公捜処の政治的中立性をめぐって問題が提起される可能性がある。
野党側の推薦委員は、候補議決の過程に対する行政訴訟に乗り出すことを明らかにした。国民の力が推薦したイ・ホン弁護士は本紙に「ソウル行政裁判所で議決無効確認の行政訴訟を起こすとともに、議決に対する執行停止の仮処分を申請する。また、改正公捜処法に対しても違憲法律審判を求める」と明かした。