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距離措置引き上げを先送り、また「場所別」防疫…追いつけない複雑な防疫守則=韓国

登録:2020-12-23 10:29 修正:2020-12-24 08:02
[年末年始の特別防疫強化対策] 

全国一本化した高強度防疫が急がれるが 
地域・施設・場所別に差をつけた防疫守則 
専門家「ピンセット防疫、多くなりすぎ 
全般的な危険度を下げる方が適切」 
政府は「"週末に引き上げるかどうか決定」と慎重
22日朝、東海岸の日の出の名所である江原道江陵市の海辺で観光客が日の出を見ている。中央災害安全対策本部は12月24日から来年1月3日まで適用する「年末年始特別防疫強化対策」をこの日発表。日の出日の入りを見るために人々が集まる正東津や浦項の虎尾岬など観光名所も閉鎖される予定だ=江陵/聯合ニュース

 新型コロナウイルスの第3次流行を抑制するための政府の防疫対応が生ぬるいという批判が高まっているが、政府は社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)のレベル3への引き上げに関する決定を今週末に再び先送りした。代わりに、5人以上の私的な集まりの取り消しを勧告し、宿泊施設の予約を半分に制限するというもう一つの「ピンセット防疫」対策を打ち出した。今回の対策は、年末年始に感染の危険性が高い場所に対する防疫強化が中心だ。しかし、全国的に一本化して強力な措置を取らなければならない局面で、地域と施設・場所別に制限的な防疫守則を出すだけでは、日常のあちこちで広がっている拡散傾向を抑制するのは難しいという指摘が出ている。

 22日に中央災害安全対策本部(中対本)が発表した年末年始特別防疫強化対策は、各種の集まりや旅行、パーティーを自粛し、さらなる伝播を食い止めるというものだ。特に5人以上の集まりの制限は人と人との間の接触量を減らすことによって患者数を減らす強力な処置と評価されている。しかし、非首都圏では勧告水準にとどまり、地域間のレベルの格差をつけることで風船効果が現れるのではないかという懸念が依然としてある。翰林大学医学部のイ・ジェガプ教授(感染内科)は「韓国が米国のように広い国ではないにもかかわらず防疫措置の強度を地域によって差をつけるのは理解に苦しむ」とし「特に、非首都圏では勧告にとどまる食堂以外の場所(での集まりの制限)はきちんと守られないだろう」と指摘した。もともと一週間の新規感染者の一日平均人数が800~1000人を超える場合に断行することにしていた距離措置レベル3は、全国的に一本化して適用しなければならない。同日0時現在で新型コロナの新規感染者は869人だった。一週間(12月16~22日)の一日平均感染者数は986人で、レベル3の検討基準を満たしている。

 これに対して中央事故収拾本部(中収本)のソン・ヨンネ戦略企画班長は、この日の定例ブリーフィングで「全国単位で5人以上の集まりを一律で禁止することは不可能だとみた」とし「非常にさまざまな環境の中で多くの不便と矛盾が生じる恐れがあるため」と話した。ただし、中対本は食堂はマスクをつけることができない場所であることを考慮し、非首都圏でも食堂での5人以上の集まりは禁止する行政命令を下した。

 集団感染がすでに発生した特定の施設・場所を中心に適用される「ピンセット防疫」では限界があるという指摘が出ている。これに先立ち、中対本はレベル2.5の引き上げ要求が強かった先月末にも、段階の引き上げの代わりにサウナ、団地内のスポーツジム、激しい団体室内スポーツ施設(GX)、音楽教室の運営を中止し、10人以上の私的な集まりの中止を強力に勧告する「レベル2+α」のピンセット対策(1~7日)を施行した。これと同様に、今度はレベル2.5の従来の措置に、宿泊施設の予約を50%に制限、パーティールームでの集合禁止、スキー場など冬のスポーツ施設での集合禁止、正東津(チョンドンジン)など主な観光名所の閉鎖などを追加した。高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「ピンセット防疫はそれ自体で(広範囲な社会・経済的被害を抑え、必要な防疫だけを強化する)意味合いがあったが、今はあまりにも多くなった」とし「現在感染者が発生する場所は特定の危険施設ではなく、日常生活が行われるほぼすべての施設であるため、全般的な地域社会の危険度を下げるための措置をとる方が適切だ」と話した。複雑な防疫守則が増えれば国民が追いつくのも難しくなり、むしろ参加を促すことが難くなるという懸念も上がっている。

 政府はレベル3の引き上げには依然として慎重な態度だ。ソン・ヨンネ戦略企画班長は「今週まで患者の推移を見て、週末に首都圏のレベル2.5・全国のレベル2の措置を延長するか、上方修正するなどの調整を行う予定」と明らかにした。このような慎重さの背景には、拡散傾向が近いうちにある程度沈静化する局面に入るだろうという判断があるものとみられる。チョン・セギュン首相は前日、「感染者数がすぐには減っていないが、携帯電話や交通移動量、カードの売上げが減少傾向にあり、積極的な診断検査で60歳以上感染確認者の割合も徐々に減少している肯定的なシグナルもある」とし、「距離措置の段階調整は緻密に準備しつつも、最後のカードにしなければならない」と述べた。

 しかし、チェ・ウォンソク教授は「感染の危険性が大きい業種を引き続き運営することにしながらも、行くなという信号を出すのは適切ではない。被害が累積した分野に対する確実な支援対策を提示し、距離措置は強力に推し進めて行けば、拡散傾向を抑えられるだろう」と指摘した。イ・ジェガプ教授も「政府がレベル3に引き上げなければならない状況をもたらしたことについてきちんと謝罪し、防疫に向けて国民の協力を求めなければならない」と話した。

チェ・ハヤン、ソン・ダムン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/975455.html韓国語原文入力:2020-12-23 02:48
訳C.M

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