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「一人では薬の袋も開けられないのに…」放置される障害者のコロナ感染者=韓国

登録:2020-12-18 08:57 修正:2020-12-18 10:12
「コロナ発生から1年…何の対策もない」 
障害者人権団体、人権委に陳情申立て
全国障害者差別撤廃連帯など障害者人権団体が今月17日、ソウル中区の国家人権委員会前で「新型コロナ障害者感染者の緊急救済陳情記者会見」を開いている=キム・ユンジュ記者

 「ご飯を食べられず水も飲めず、トイレにも行けなくて尿瓶(しびん)を使った。できることがなかった」

 ソウル市に住む重度障害者のAさんは、今月16日午前に新型コロナウイルス陽性判定を受けた。Aさんは病床不足のため自宅で一人で待機しなければならなかったが、一人では動けず、ひと口の水も飲めなかった。Aさんは筋肉障害があり、普段は活動支援士の補助を受けていた。ソウル市社会サービス院に問い合わせたが、障害者の新型コロナ患者のための別途の活動支援サービスはないと言われた。

 保健所から家族が活動補助をすることは許可され、12時間が経ってようやく妻の補助を受けることができた。Aさんの妻は新型コロナの陰性判定を受けたが、防護服を着てAさんの活動を補助している。5坪余りのワンルームで一緒に暮らしているため、妻もコロナに感染する危険がある。病院に入った後、活動支援を受けられるか公共病院に問い合わせたところ、「活動支援士はおらず、おむつを当てて過ごすことになるかもしれない」という回答だけが返ってきた。

 14日に新型コロナの陽性判定を受けた脳病変障害者のBさんも事情は似ていた。Bさんは居住中の捕項(ポハン)に入院可能な病床がなく安東(アンドン)に移送されたが、認知障害があり、左腕と左足が動かせず一人で歩いたりバランスを取るのが難しいにもかかわらず、適切な安全装置のない救急車に乗って2時間の距離を移動しなければならなかった。Bさんは公共病院の3人部屋で別のコロナ陽性患者の助けを借りて生活している。夫のCさんは病院関係者から「Bさんが人のいないときに廊下に出て、CCTV(監視カメラ)がなかったら大きな事故になるところだった。人手不足なので、このように統制が利かないのなら神経安定剤を投入するか手足を縛るしかない」と言われたという。

 17日、全国障害者差別撤廃連帯(全障連)など障害者人権団体は、ソウル中区(チュング)の国家人権委員会前で記者会見を開き、「障害者の新型コロナ感染者は防疫から完全に排除されている」と主張した。この日の記者会見でAさんは「私は家族の犠牲でかろうじて生活しているが、一人暮らしの障害者は完全に放置されている危険な状況だ」と話した。Cさんは「妻は一人では薬の袋も開けられないのに心配だ」と言い、「慶尚北道庁と浦項市役所などにも何度も問い合わせたが、障害者に対する対策はまったくなかった」と指摘した。

 全障連らは「Aさん、Bさんに対する緊急救済と、障害者の感染者が発生した場合の中央政府と地方自治体の支援対策を要求する」とし、保健福祉部長官、疾病管理庁長、ソウル市長権限代行、慶尚北道知事、浦項市長を被陳情人として人権委に陳情を申し立てた。彼らは「感染症の状況で適切な支援を受けることは全ての国民に与えられた正当な権利」だとし「感染病拡散の過程で障害者の生命権が危険な状況に置かれている」と強調した。

 団体らは、新型コロナ拡散初期から障害者の感染者の優先入院が可能な病床の確保、障害者の感染者の病床での生活支援者の配置、障害者がアクセス可能な生活治療室の確保などを要求している。彼らは「今年2月に、清道郡(チョンドグン)のデナム病院内の集団感染問題と大邱市(テグシ)の大規模拡散状況から、重症障害者の感染と自宅隔離の状況に備えるよう政府と地方自治体に対策を要求した」とし、「新型コロナが初めて発生してから1年がたった現在まで、政府と地方自治体は何の対策も立てていない」と指摘した。

キム・ユンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/974800.html韓国語原文入力:2020-12-18 01:02
訳C.M

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