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韓国法務部次官「検察総長の懲戒撤回」求め辞表…法相は次官人選後に懲戒委強行の意向

登録:2020-12-02 06:45 修正:2020-12-02 09:09
チュ・ミエ法務部長官、側近が背き「孤立無援」 
ユン・ソクヨル検察総長の懲戒委員会は4日に延期
チョン・セギュン首相とチュ・ミエ法務部長官が1日午後、政府ソウル庁舎で開かれる閣僚会議に参加するために会議場に向かっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 チュ・ミエ法務部長官に代わりユン・ソクヨル検察総長の懲戒を論議する検事懲戒委員会(懲戒委員会)の委員長を担当する予定だったコ・ギヨン法務部次官が、ユン総長の懲戒に反対し、辞表を提出した。チュ長官にユン総長の懲戒の撤回を建議したが受け入れられず、11月30日に辞意を表明したことが伝えられた。コ次官が辞任することにより、2日に予定された懲戒委員会は4日に延期された。チュ長官としては、最側近の検察首脳部だったチョ・ナムグァン最高検察庁次長検事(総長職務代行)と中核の参謀であるコ次官の反発により孤立無援状態に陥った。しかしチュ長官は、次官の後続人事を行った後、ユン総長の懲戒手続きを強行するものとみられる。

■法務部次官の辞任で2日の「ユン総長懲戒委員会」は延期

 法務部懲戒委員会の委員長は法務部長官だが、今回の件はチュ長官がユン総長の懲戒を請求した当事者であるため、チュ長官は委員会から外れ、会議も主宰できない。それにともない、コ次官がチュ長官に代わり懲戒委員長を引き継ぎ会議を進める予定だった。しかし、コ次官が辞表を出し、2日の懲戒委員会の開催は難しくなった。チュ長官が別の懲戒委員を委員長に指名し懲戒委員会を開くようにすることはできるが、法務部のナンバー2まで反発する状況において、チュ長官がそのような方法で委員長職を渡し懲戒を強行するのは、政治的に負担が重い。だが、法務部はこの日、「辞表を提出した法務部次官に対する後任人事をすみやかに実施する予定」だと明らかにした。後任次官を指名した後、懲戒委員会を開催するという意向を表わしたのだ。

 懲戒委員会に事実上自動的に委員として参加するシム・ジェチョル法務部検察局長も、除斥の議論により足を引っ張られている。懲戒委員会は、検察内部の委員4人(長官、次官、長官が指名した検事2人)と外部委員3人(長官が委嘱した弁護士、法学教授、学識経験者)により構成され、名簿は非公開対象だ。このうち長官が指名した現職検事に割り当てられた懲戒委員は、慣例的に法務部検察局長と最高検察庁部長検事が担当するが、シム局長は、ユン総長の職務停止と懲戒請求で決定的な理由となった「裁判部の政治的傾向分析文書」を内部告発した当事者だ。そのため、シム局長をユン総長の懲戒委員会から排除しなければならないという主張が出ている。ユン総長側は11月30日、シム局長の忌避申立てのために、懲戒委員会の委員名簿の公開を法務部に要請した状態だ。

 懲戒委員不参加の状況に備え、長官が指名した予備委員(検事3人)が待機することはできる。法務部次官と検察局長が懲戒委員会から抜けても、彼らがその席に代わりに就くことができるわけだ。しかし、法務部監察委員会の議決と裁判所のユン総長の職務排除の執行停止決定を通じて、ユン総長の懲戒請求の不当性が浮き彫りになりつつある状況で、検察内外の懲戒委員がユン総長への重い懲戒を議決することは容易ではないようにみえる。検察の集団反発を受けるなど状況を悪化させながらユン総長の懲戒という成果を出すことができなければ、チュ長官の責任論はさらに厳しくならざるをえない。

■チュ長官、大統領・首相と続けて面談…「辞任の議論は全くなかった」

 窮地に追い込まれたチュ長官はこの日の午前、チョン・セギュン首相に会ったのに続き、大統領府を訪れ、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と面談した。大統領との面談は、チュ長官が先に「状況報告」を理由に自ら要望したものだというのが与党関係者の証言だ。コ次官が懲戒員会の召集に反対し辞表を出すと、すぐにチュ長官が「次官を交換し状況を突破する」とし、大統領府を説得しようとしたということだ。

 チュ長官の状況報告を受けた文大統領の反応は分からないが、大統領府は困惑している雰囲気が明らかだ。「(法務部長官と検察総長双方の)同時辞任論」まで出てくる差し迫った状況だが、だからといってチュ長官が一人で孤立した後に退く状況もまた放置しておくわけにはいかないからだ。大統領府高官も、「10分程度の大統領との面談が行われたが、その席でチュ長官とユン・ソクヨル検察総長の同時辞任を論議したのではない」と強調した。大統領府のある関係者は、「ユン総長に対する懲戒が失敗すれば、検察改革が水の泡になりうるとみている。今週が検察改革の最後の決戦の場となる」と伝えた。

 しかし、チュ長官を全面的に支援するには難しい状況だ。「ユン総長懲戒」という毒杯を持たなければならない法務部次官には、絶対多数の検察の高位幹部が背を向けている状況であるため外部からの人材起用が有力だ。そうしたなかで4日に懲戒委員会が開かれても、ユン総長の懲戒が成功するかどうかは、見通しは定かではない。与党関係者は、「2日の懲戒委員会が延期されたのは、外部委員が参加できない可能性があり、開議の定足数を満たせない可能性があるという理由もあったという。チュ長官が(ユン総長の懲戒議決を)信じて任せられるような検事がいないと聞いている」と述べた。

 この日、文大統領とチュ長官の面談に先立ち、チョン首相もチュ長官と別途面談したという。首相室関係者は、「すでに同時辞任論が報道されたので、直接会って話してみようという趣旨で、チョン首相がチュ長官を呼び、同席者なしで会った」とし、「(辞任問題について)直接の言及はしなかったが、目つきだけを見ても意志は伝わったのではないか」と述べた。しかしチュ長官はこの日、「首相にも状況を報告し、大統領への報告と首相との面談の際に、一部の記事で報道されたような辞任に関する話し合いは全くなかったことをお知らせする」とし、辞任する意向が全くないことを繰り返し確認した。

キム・テギュ、イ・ワン、キム・ウォンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/972393.html韓国語原文入力:2020-12-02 02:45
訳M.S

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