韓国政府が来年夏の東京五輪の開催を媒介にして、行き詰まっている韓日関係の改善に乗り出している。予定されていたソ・フン大統領府国家安保室長の日本訪問が見送られるなど、妥協案を導き出す過程でかなりの難航が予想されるが、「東京平和五輪」という大義の下で突破口が開かれる可能性もある。
キム・ジンピョ韓日議員連盟会長は12日、東京で開かれた韓日議員連盟総会で「韓日関係は過去の歴史問題による対立が経済や安保にまで飛び火するような難関を経ている」としたうえで、「日本政府が来年7月に推進する東京五輪が(関係改善の)良いきっかけになると思う。ここに来る前に空港で降り、森喜朗オリンピック準備委員長を表敬訪問した。韓国の国民は東京五輪を成功させるためには積極的に支援し、交流しなければならないと思っている」と述べた。これに先立ち、額賀福志郎日韓議員連盟会長も「大局的見地に立ち新しい日韓関係を築くよう互いに努力したい」と関係改善の必要性を力説した。
チェ・ジョンゴン外交部第1次官も同日午後、日本外務省の秋葉剛男事務次官と就任後初の電話会談を行う際、東京五輪を特別に言及し、「開催の成功を祈っている」と述べた。これに対し秋葉次官は謝意を表したと、外交部が明らかにした。政府が東京五輪開催の成功を媒介に関係改善を模索しようというメッセージを多角的に発しているということだ。
しかし、まだ日本政府は関係悪化の主な原因である強制動員被害者の判決と関連し、韓国に納得できる措置を先に取るよう求める強硬姿勢を貫いている。大統領府関係者は同日、ソ・フン室長が17日ごろ訪日するという日本メディアの報道に関し、「行くことになっていたが、取り消しになった。様々なことが合わなかった」と説明した。カン・ミンソク大統領府報道官も同日、記者団に「ソ・フン室長の訪日報道は事実でない」と述べた。
ソ室長の訪日が見送られたのは、パク・チウォン国家情報院長が最近日本を訪問した後も、関係改善のための“妥協案作り”がうまく行かなかったためと見られる。菅義偉首相は「日韓関係を健全な関係に戻すきっかけを韓国側が作らなければならない」とし、韓国政府が「現金化手続きの中止」などの措置を先に取ることで、関係改善のための突破口を開くよう求めてきた。しかし、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は11日、強制徴用問題を解決するためには、「被害者たちの意思が重要で、合意が成されるべきだが、立場の隔たりが大きく、容易ではない」という趣旨の発言をしたという。
最近、韓国ではこのような状況を打開するため、東京五輪開催の成功に向けた協力を通じて関係を改善し、それを通じて日本を包容する第2次朝鮮半島平和プロセスを稼動しなければならないという声が高まっている。韓日協力を通じて来年初めの朝鮮半島周辺情勢を友好的に導けば、来年東京で南北米日首脳が一堂に会する巨大外交イベントが開かれる可能性もある。