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13年前李元大統領に免罪符与えた検察・特検、誰も責任取らず

登録:2020-11-03 06:14 修正:2020-11-03 07:51

2007年ハンナラ党予備選挙当時 
検察、BBK・ダース・道谷洞の土地を捜査 
はじめは「道谷洞の土地の実際のオーナーは別にいる」と暗示したが 
李明博候補が朴槿恵候補に勝ち、大統領候補になってから 
「ダースは李候補のものという証拠はない」 
 
大統領当選後、捜査に乗り出した特検チーム 
「道谷洞の土地はイ・サンウン氏のもの」と結論 
100億ウォンのダースの裏金作りにも目をつむる 
2018年になってようやく事件の隠蔽を捜査 
公訴時効が過ぎ、誰も責任を負わず

横領や収賄容疑で懲役17年の刑を言い渡された李明博元大統領が今月2日、ソウル江南区論ヒョン洞の自宅からソウル中央地検に出頭するため移動している。李元大統領は検察に出頭した後、東部拘置所に再収監される=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 2日に李明博(イ・ミョンバク)元大統領が再び収監されたことは、遅きに失した感がある。13年前の2007年、大統領選候補の検証局面で借名財産が明るみになった時に処罰されていたなら、もう罪を償っていただろう。彼は大統領になった後、収賄罪まで犯したため、刑量が懲役17年に増えた。「遅れた正義」は彼のせいだけではない。山場のたびに免罪符を与えた検察と特別検察官(特検)の役割が大きかった。

2007年予備選挙・大統領選挙を経て豹変した検察

 2007年、ハンナラ党大統領選候補の座をめぐって李明博・朴槿恵(パク・クネ)両候補が争った時、李元大統領のBBK、ダース(DAS)、ソウル道谷洞(トゴクドン)の土地の実際のオーナーをめぐる疑惑が検察の捜査対象になった。道谷洞の土地は、李元大統領の最も重要な隠匿財産だ。現在はポスコのマンションが立ち並ぶ面積4240平方メートル(1282坪)のこの土地は、1985年に実兄のイ・サンウン氏と義弟のキム・ジェジョン氏の名義で購入された。10年後の1995年、この土地はポスコ開発に、購入価格の17倍の263億ウォン(約24億2600万円)で売却された。

 2カ月後、購入代金の一部がイ・サンウン氏とキム・ジェジョン氏が共同代表だったダースに流入した。有償増資の名目で7億9200万ウォン(約7300万円)が流れ、5年後の2000年にも、10億ウォン(約9200万円)がダース代表取締役名義の仮支給金返済の形で流入した。1987年、現代自動車のシート納品会社として設立されたダース(当時テブ機工)も李元大統領が現代建設を退任するために用意した会社という噂が流れた。道谷洞の土地の売却代金の一部がダースの資本金に流れ、ダースは2000年、BBKに190億ウォン(約17億5300万円)を投資する。道谷洞→ダース→BBKにつながる資金の流れが形成されたのだ。姻戚関係にあるイ・サンウン氏とキム・ジェジョン氏は借名財産管理人に過ぎなかった。

 検察は2007年8月13日、突然中間捜査結果を発表した。「イ・サンウン氏名義の道谷洞の土地は、第3者のものとみられる」という多少衝撃的な発表だった。一方、イ・サンウン氏が1995年に道谷洞の土地を売却した後、自身の持ち分として受け取った資金のうち、100億ウォンを金利の低い債券間接投資商品に10年以上投資しながらも、個人的な用途で使った形跡は見つかっておらず、2002年7月から2007年7月まで、毎月1千万~3千万ウォン、合計15億ウォン(約1億3900万円)を97回にわたり現金で引き出した資金について、イ・サンウン氏は生活費などと言っていたが、このうち一部はイ氏が国外にいるときに引き出された点などから、イ氏本人の金とは考えられないという説明だった。毎月数千万ウォンが現金で引き出され、実際の持ち主に渡ったはずであり、実際の持ち主が李元大統領であることを強く暗示したのだ。予備選挙を一週間後に控え、検察から一撃を受けた李明博候補陣営は「予備選挙に介入しようとする政治工作の意図があると疑わざるを得ない」と強く反発した。しかし、李元大統領は一週間後の予備選挙で朴槿恵候補に僅差で勝利した。

 2007年8月の中間捜査結果の発表で、予備選挙前に李元大統領に致命傷を加えた検察は、第17代大統領選挙2週間前の2007年12月5日に最終捜査結果を発表した。キム・ホンイル3次長検事-チェ・ジェギョン特捜1部長-キム・ギドン特捜1副部長で構成された捜査チームの陣容は変動がなかったが、捜査結果は全く違っていた。検察は道谷洞の土地と絡んでいるダースの実際のオーナーをめぐる疑惑について「李明博候補のものといえるようなはっきりした証拠がない」と発表した。道谷洞の土地の実際のオーナーが別にいるという8月の捜査結果と矛盾しているという指摘に対し、キム・ホンイル3次長は「『ダースが李候補の所有でないようだ』ではなく、『ダースが李候補の所有だという明確な証拠がない』ということ」だと反論した。主任検事のチェ・ジェギョン特捜1部長も、「疑わしくないというわけではなく、証拠が出てこない。それでそのオーナーが李明博氏とみる証拠が発見されなかったとして嫌疑なしの処分を下した」と答えた。同年12月19日、歴代最大の票差で当選した李大統領が誕生した。

特検の「完璧な免罪符」…ダースの裏金にも目をつむった

 大統合民主新党は、大統領選の二日前にハンナラ党が欠席した中、李明博特検法を可決させた。大統領当選者を相手にした史上初の特検だった。特検に任命された元高裁長官のチョン・ホヨン弁護士は、「道谷洞の土地が誰のものなのかを明らかにすることが捜査の目標だ」と述べた。そして李明博大統領の就任直前に特検チームは、道谷洞の土地も「イ・サンウン氏のもので間違いない」という結論を下した。イ氏のものではないと言っていた検察の捜査結果を完全に覆したのだ。就任を控えている李元大統領を大目に見たということだ。

 当時、特検チームはダースで100億ウォン台の裏金が作られた事実を明らかにしたが、これを発表することも、検察に移管することもしなかった。秘密資金を追跡すれば、ダースの実際のオーナーがばれることを恐れて事件を隠蔽したのだった。2018年に入ってから、事件を隠蔽したチョン・ホヨン特検チームに対する捜査が進められたが、公訴時効が過ぎたという理由などで処罰されなかった。李元大統領は結局、処罰を受けることになったが、当時、検察や特検関係者の中で責任を取った人は誰もいない。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/968261.html韓国語原文入力:2020-11-03 02:31
訳H.J

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