疾病管理庁(疾病庁)は23~24日に、専門家が参加する予防接種専門委員会を連日開催し、インフルエンザ予防接種と報告された死亡事例との因果関係は極めて低いとの判断を下した。死亡した人たちの医務記録や解剖結果を調べたところ、ワクチンによる死亡の兆候は見当たらず、一部は脳血管または心臓関係の疾患の悪化など、もともと持っていた基礎疾患の悪化で死亡したことがはっきり確認されたためだ。この結果に沿って保健当局は、インフルエンザ予防接種を中止しないことを再度明らかにした。チョン・セギュン首相は25日、中央災害安全対策本部の会議で「専門家の科学的判断を尊重し、予定通り62歳から69歳の高齢者に対する接種を明日から開始する」と述べた。
■同一製造番号も因果関係がある時のみ中止
疾病庁は、24日午後1時現在で、インフルエンザワクチン接種後に死亡した人は計48人と発表した。各死亡事例を検討した結果、26件は因果関係が極めて低いと判断された。予防接種被害調査班のキム・ジュンゴン班長(ソウル医療院小児青少年課長)は前日の疾病庁ブリーフィングで「(1次解剖で確実に因果関係がないと判断された6人を除く)20人についても『ワクチンは死に至らしめなかった』という1次結論を下した」と明かした。
疾病庁はまた、同一の製造番号のワクチンを接種して死亡したケースが出ているものの、接種中止事項には当たらないという立場だ。チョン・ウンギョン疾病庁長官は「死亡とワクチンの因果関係がないため、使用中止は検討しないことにした」とし「使用している製造番号は200個ほどで、一つの製造番号で15万人分前後のワクチンが生産される。こうした状況においては、因果関係が不明なのに重症以上の反応が報告されただけで中止するのは不適切」と述べた。死亡報告が寄せられた48人のうち、同じ製造番号のワクチンが接種されたケースは12件、計27人(1つの番号当たり2~4人)。
■今年の死亡報告は異例とは考えられない
ワクチン接種後に現れる重症異常反応はアナフィラキシーとギラン・バレー症候群だ。疾病庁は、ギラン・バレー症候群は通常、接種の2~3日後から筋力まひ症状が徐々に現れるため、主に接種後24時間以内に死亡するアナフィラキシー(急性過敏症状)の有無を検討したと発表した。最終死因究明前でもワクチンとの関連性が低いと見なしたのは、死亡した人たちから接種部位の炎症などのアナフィラキシーの兆候が見つからなかったためだ。キム・ジュンゴン班長は「普通は接種20~30分後に発生するアナフィラキシーも、緊急措置を取ればこれといった問題や後遺症なしに治療できる」と説明した。
何より疾病庁は、今年の予防接種後の死亡者規模は例年より多いとは言えないという立場だ。疾病庁は、死亡前7日以内にインフルエンザ予防接種の記録がある昨年の65歳以上の人数は1531人だったと明かした。チョン・ウンギョン長官は「これは予防接種との因果関係とは関係なく、接種後に死亡した人の数」と強調した。これは統計庁の死亡者統計と疾病庁が持つ予防接種資料を照らし合わせて分析した結果だ。時間的な前後関係だけを見てはいけないというのだ。
嘉泉大学医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学教室)は、因果関係を考えずに接種後に死亡した事件を羅列することは「論理的欠陥を内包している」とフェイスブックで指摘した。同氏は「韓国では年間30万人の死者が発生しており、10月ごろの1日当たりの平均死者数は約1000人と推定される。インフルエンザ予防接種率を約50%と仮定し、接種の時期を2カ月程度とすると、毎日全人口の約1%が予防接種を受けていることになる」とし「これは、10月の1日当たりの平均死亡件数1000件の1%に当たる値(約10件)だけ、接種後1日以内に死者として現れうるということ」と説明した。チョン長官は前日のブリーフィングで、2013年に米国予防医学会誌に掲載された研究結果を提示した。「米国では、65~74歳はワクチン接種後7日以内に10万人当たり11.3人が、75歳以上は23.2人が死亡するとみなし、監視している」とし「今年、国内で予防接種後の死亡者数が例年に比べて大きく増えたかどうかを調べる」と述べた。
■接種中止を案内していた永登浦区や浦項市も再開
疾病庁は、予防接種事業を中止せず続ける方針だ。大韓医師協会や野党など、一部は接種の一時中止を勧告または主張しているが、「中止する段階ではない」というのが疾病庁や専門家の判断だ。先に、予防接種を見合わせるよう管内の医療機関に案内していたソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)や慶尚北道浦項市(ポハンシ)も、26日から接種を再開する。永登浦区は25日、「疾病管理庁の公式調査の結果、懸念が解消されたため、接種を再開するよう管内120の医療機関に案内した」と述べた。
チョン長官は「接種者を分散するために接種日程を一部調整するか検討したが、(調整)しない方がむしろ混乱を与えないだろうというのが、多くの委員の判断だった」と説明した。これは、すでに12歳以下は70%以上、13~18歳は約50%、70歳以上は66%が接種を終えていることも考慮した結果だ。チョン長官は「現在の日程は11月中旬とされたインフルエンザ流行注意報に先立ち、抗体形成期間を考慮して決めた日程」ということも強調した。