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[記者手帳]爛々たるまなざしのグレタ・トゥンベリは「炭鉱のカナリア」のようだった

登録:2020-10-24 05:55 修正:2020-10-24 10:40
グレタ・トゥンベリさんが今月16日、ハンギョレの記者とテレビ電話インタビューを行っている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 「気候危機問題が注目されてはいるが、もうこの問題にうんざりしている雰囲気も感じられます。グレタさんがノーベル平和賞を受賞することになれば、もう一度人々が気候危機の問題を深刻に認識するきっかけになるのではないかと期待しています」

 今月9日、気候変動に悩む人々の耳目を集めたのは、同日午後6時ごろ(韓国時間)に発表されるノーベル平和賞受賞者だった。同日、青少年気候行動の非青少年活動家であるキム・ボリムさん(27)は、17歳のスウェーデンの環境運動家、グレタ・トゥンベリさんがこの賞を受賞することを願っているとして、このように語りました。私も週末を控えた金曜日の夜に新しい記事を書くために残業してもいいから、トゥンベリさんに受賞してほしいと思っていました。「国連世界食糧計画(WFP)」が受賞者に決まり、私は残業を免れましたが、キムさんの言ったようにトゥンベリさんがこの賞を受賞していれば、気候危機問題に対する人々の関心と認識が再び高まるきっかけになったのではないかと思います。

 こんにちは。社会政策部気候変動チームのチェ・ウリです。私はノーベル平和賞発表一週間後の16日午後6時(韓国時間)、グレタ・トゥンベリさんにテレビ電話でインタビューを行いました。外交部担当の英語が堪能なキム・ジウン記者も一緒でした。

 グレタ・トゥンベリさんのツイッターとインスタグラムのフォロワー数は1500万人に達します。ハンギョレが世界的セレブである彼女にインタビューを要請したのは今年4月でした。気候変動チームへの異動が決まってから、真っ先に行ったのが、彼女に英語でメールを送ったことでした。気候危機をめぐる議論の中心となっている彼女に、気候危機の問題がどれほど深刻なのかを聞きたかったのです。彼女のメールアドレスを調べた結果、世界の気候変動分野のコミュニケーション専門家ネットワーク「気候メディアハブ」を通じて彼女のメディアチーム担当者にメールを送ることができました。(ああ、たどたどしい英文のメールを完成した時の切実な思いが思い出されます…)

 しばらくして「スケジュールがいっぱいで、今はインタビューに応えられない」という返信が来ました。いつでもいいからぜひインタビューしたいという意思を伝えてから6カ月後、彼女から再び連絡が来ました。全世界から彼女にインタビュー要請が殺到しているそうです。にもかかわらず、彼女がハンギョレのインタビューに応じた理由は、ハンギョレに韓国国内メディアの中で唯一気候変動チームがあり、環境・エネルギー関連ニュースを活発に紹介しているためだと聞きました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が全世界に広がり、直接会うことができないのは残念でしたが、温室効果ガス排出をしないために、飛行機に乗らず、船に乗って大西洋を渡る彼女ですから、オンラインインタビューの方が合っているかもしれないと思いました。

グレタ・トゥンベリさんが今月16日、ハンギョレの記者とテレビ電話インタビューを行っている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 モニターに彼女が現れると、彼女がいつも持ち歩いている赤い水筒を誰かが渡しました。彼女がのどを潤してから、インタビューが始まりました。普段から彼女の映像を見て話がとても上手だと感じていたのですが、彼女は自分の考えを表現するのにためらいがありませんでした。まだ多くの国々が気候危機の問題を解決するための認識と政策の転換を成し遂げていないことについて、はっきりとした口調で変化を求めました。環境と経済・開発の利害が衝突する問題については、一方的な主張を展開することなく、慎重に答えました。彼女の真摯な態度と爛々たるまなざし、そして確信に満ちた声から、彼女の本気が伝わってきました。 10代というのは彼女の生物学的年齢を表すに過ぎません。「学校に行けるようになってどうですか」という個人的な質問をした時、17歳の高校生らしい明るい表情を垣間見ることもできました。

 彼女の顔が写された小さな画面が消えた後、さまざまな思いがよぎりました。記事にも書きましたが、去年よりも頬がこけた彼女を見ながら「炭鉱のカナリア」を思い出しました(彼女には神経性摂食障害があります)。炭鉱の一酸化炭素濃度が上がると先に警告音を鳴らす小さな鳥のように、17歳の環境活動家は「地球人の中で一番先に宇宙の変化を感じて警告音を鳴らしているかもしれない」と。ただし、彼女は苦しみにうまく対応しているようでした。気候危機の問題で憂鬱になっている人たちに自分の経験を語り、憂鬱にならないためには行動した方が良いという克服法を紹介しました。

//ハンギョレ新聞社

 記事を書いた日、彼女は香港の民主化デモに参加し中国に拘禁された香港人12人の釈放を求める書き込みを自分のSNSに上げました。女性の人権向上と進歩的な判決で多くの支持を受けた米国のルース・ベイダー・ギンズバーグ前最高裁判事の追悼文も上げたことがあります。彼女の世界がだんだん広くなっているのを感じます。世界で最も影響力のある人物の一人であるグレタさんが、どのような活動を続けるのか、それによって世界がまたどのように変わるのか、期待しています。

チェ・ウリ社会政策部記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/967044.html韓国語原文入力:2020-10-24 02:30
訳H.J

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