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入札談合“制裁強化”の法改正案、建設業者出身の議員がブレーキかけていた

登録:2020-09-21 10:03 修正:2020-09-21 14:10
4年前の国土委会議録にそっくり記録 
入札談合の処罰強化法改正案に 
「国家的被害…死刑と同じ」 
「企業ではなく行為者への処罰を強化すべき」 
「談合は工事費が少ないのが原因」 
建設業者の“盾”になって改革を妨げ 
最終的に原案から後退した法案が通過 
業界の長老「パク議員が建設業者だった時に 
何度も入札談合に関与した」と暴露 
検察、告発事件を割り当て捜査に着手
国民の力のパク・ドクフム議員が昨年11月12日、国会議員会館で保守統合と人的刷新などに対する意見交換のために党内の重鎮議員が集まった場で、電話で話をしている/聯合ニュース

 国民の力(旧未来統合党)のパク・ドクフム議員(忠清北道報恩、沃川、永同、槐山)が、国会の国土交通委員会で建設会社の入札談合制裁を強化する内容の法案に強くブレーキをかけ、最終的に基準が緩和された法案が国会本会議を通過したことが明らかになった。国会の国土委と行政安全委員会の委員として活動していた間、被監査機関から一族の企業が3千億ウォン(約270億円)近い工事を受注したという疑惑が持たれているパク議員が、国会の法案審査の過程でも建設会社の利害を代弁し、入札不正に対する制裁を緩和するのに先頭に立ったということだ。一方、検察は大韓専門建設協会と専門建設共済組合の元機関長約50人が、業務上背任の疑いでパク議員を告発した事件をソウル中央地検調査2部(キム・ジワン部長)に割り当て捜査に着手した。

 2016年11月に開かれた国会の国土委法案審査小委員会の速記録によると、パク議員は「期間制限なし、3回以上」の課徴金処分を受けた建設会社は建設業登録を抹消するという建設産業基本法改正案について、「建設会社の被害」などを掲げ、最も強く反対した。同党のチョン・ジョンソプ議員が提出したこの改正案に対し、パク議員は期間を6年に緩和する改正案まで出した。国土交通部が「談合摘発から処分完了まで5年かかる」とし「10年以内に3回以上」という仲裁案を提示したが、パク議員は繰り返し異議を申し立て、結局期間が9年に短縮されて法案が処理された。

 法案が改正される前には、建設会社が入札談合で「3年以内に3回以上」の課徴金を賦課する処分を受けた場合に建設業登録が抹消されるとしており、談合行為が摘発されてから課徴金の賦課処分を受けるまで5年以上かかるという点を考慮すると法的効力が落ちると指摘されてきた。実際、同制度が導入された2011年以降、入札談合で3回以上摘発され、建設業登録が取り消された事例は一つもない。

 この日、パク議員は「これが三振アウトになって、例えば現代建設が引っかかって切られた場合、わが国家的に非常に大きな被害を受ける」とし「これは死刑にするのと同じだ。強盗とか傷害致死を3回、5回以上やったら死刑にするという、そういうものと同じだ」と主張した。

国民の力のパク・ドクフム議員が今月15日午前、ソウル汝矣島の国会で開かれた環境労働委員会全体会議に出席している/聯合ニュース

 当時野党だった共に民主党も、与党議員が提出した改正案に賛成した。イ・ウォヌク議員は「入札談合のためにどれほど多くの不良施工があり、どれほど多くの大韓民国の建設業界が非難されことか」と言い、「より強い規制が必要だ。悪影響のために導入すべきでないというのは常識的に理解できない」と述べた。これに対し、キム・ギョンファン国土部次官も「実際、3回以上談合をしなければ何の問題もない」とイ議員の発言を支持した。

 これに対しパク議員は、「道徳の本のように行えばみんな問題ない。そんな風におっしゃってはいけない」とし、キム次官をなじるような言い方をした。キム次官は直ちに「公正取引委員会の課徴金処分も建設工事が一番多い。こうした状況で2015年に建設業界ですら三振アウト制を強化することで自浄決議している」という趣旨で反論した。

 するとまたパク議員は、「やたら処罰、処罰だけを考えるのではなく、根本的な原因を考えなければ…結局、工事金額が少ないので談合をするのだ」とし「討論会、公聴会を経て…今すぐ急がれる件ではないじゃないか」と時間調整を打ち出した。業界では官給工事の場合、手形決済なしに現金で工事費が支払われ、マージン率も一般建設公社(マンション5%)に比べて高い方(15%)だと知られている。

 同日、「国家産業に及ぼす影響が大きく懸念される」「工事費を多く出せば談合はしない」という自分の主張が会議で受け入れられなかったため、パク議員は「企業ではなく、行為者に対する処罰を強化しよう」と述べ、事業主でない職員に対する処罰強化を要求した。彼は「行為者処罰を強化すれば、社長が(談合を)させてもしない」とし、「しきりに罰則を強化して企業を締め付ける圧迫を与えるより、むしろこの方がもっと効果的だ」と述べた。

 結局、パク議員の持続的な問題提起に対し、国土部はチョン・ジョンソプ議員案から後退した「10年以内に3回摘発」という仲裁案を出した。見るに見かねたチョン議員は「国会に来てみたら、改革案を国会で全部揉みしだいてうやむやにしてしまって…これだから私は10年案も受け入れないと言っているのだ。根絶しなきゃならないのに、なぜこれを擁護するのか」と、パク議員に直接攻撃した。行為者の処罰を強化しようというパク議員の主張に対しては「行為者にだけ責任を負わせて会社にはダメージ(被害)が少なくなるなら、誰かがまた自ら責任を負ってそのようなこと(談合)をするのではないか」と問い返した。

 パク議員のこのような善戦(?)のおかげで、チョン議員の改正案は「9年以内に3回摘発」で法案小委を通過した後、2017年3月に本会議で最終可決された。そのような中、当時当改正案に満足しなかったパク議員は、法案小委から10日後の11月18日、再び6年に制裁を緩和した改正案を直接発議した。制裁期間を10年から6年に短縮した場合、3回も入札談合をした建設会社が「三振アウト」になる確率はさらに落ちるという点から、改革法案を無力化しようとする改正案を出したということだ。

 入札談合「三振法」の導入を必死に阻止したパク議員に対し、パク議員をよく知る建設業界のある古株の関係者は「パク議員自身が建設業者時代から数十回にわたって入札談合に関与したからだ」と暴露した。結局、自分のための立法活動だったということだ。19日、ハンギョレの取材に応じた大韓専門建設協会のK元会長は「パク議員がウォンハ建設などを設立する1990年代半ば、80~150社を集めて共同管理しながら、集団で各区役所の官給工事入札に参加する不法入札組職が8つほどあった」とし「当時、最大の組職である『Hボンド』の代表のL氏(地元の先輩)の下で行動隊長の役割をしたのがパク・ドクフムだった」と主張した。また「パク・ドクフムは1996年のソウル市上下水道公社の入札当時、L氏の影響力下にあった7社の業者とともに不法談合を行い、165億ウォンの工事を受注したことで基盤を固めた」とし「もともと125億ウォンでS土建に落札された工事が、L氏とパク・ドクフムが関与した操作を通じてパク・ドクフムに受注された」と主張した。また、「彼が専門建設協会長だった2008年にも、ソウル市滋養取水場移転工事(2工区)の入札に協会役員らを中心に参加業者を選定し、208億ウォンの工事を不法に落札した」とし「三振アウト制をあんなに反対した理由は、パク・ドクフム本人が不正入札で会社を興したからだ」と指摘した。パク議員を「建設業界のがん的存在」と表現したK元会長は、今月10日にパク議員を業務上背任などの疑いで検察に告発した。

 これと関連し、ハンギョレはパク議員側の立場を聞くため何度も電話をかけ、ショートメッセージを残したが、連絡が取れなかった。

チェ・ユンテ、オ・スンフン、キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/962922.html韓国語原文入力:2020-09-21 07:23
訳C.M

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