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「遅刻ストレス」階段を駆け上がって死亡…裁判所「業務上の災害」

登録:2020-09-21 03:25 修正:2020-09-21 08:42
産婦人科の看護助務士死亡事件 
ソウル高裁「上司の叱責に対する心配と 
蓄積したストレスで持病が発現」
資料写真//ハンギョレ新聞社

 遅刻を恐れてエレベーターを使わず階段を駆け上がって死亡した看護助務士(日本の准看護師に相当)について、業務上の災害を認める裁判所の判断が出た。

 ソウル高裁行政8部(キム・ユジン裁判長)は20日、ソウル市内のある病院の産婦人科の看護助務士だったAさんの遺族が勤労福祉公団を相手取り、遺族給与などの支給を求めていた訴訟で、原告勝訴の判決を下したと発表した。

 Aさんが勤務していた病院の公式な出勤時間は午前9時だったが、実質的には8時30分までに出勤することとなっていた。2016年12月午前8時40分頃に病院の建物に到着したAさんは、エレベーターに乗らず、階段で急いで職場のある3階まで駆け上がった。何とか3階のデスク前に到着したAさんは、待機患者が座る椅子にかばんを置いた途端に倒れ、病院に運ばれたものの、心臓マヒで死亡した。

 遺族は、心臓疾患を患っていたAさんに、遅刻に対する重圧から階段を駆け上がる過程で肉体的・精神的な負担がかかり死亡したとして、勤労福祉公団に遺族給与などを請求したものの、受け入れられなかったため、行政訴訟を起こした。一審は「階段を駆け上がる行為による身体的負担、遅刻に対する精神的負担の程度は、日常生活でよく見られる水準」とし「病院が出勤時刻を30分繰り上げた慣行も、Aさんが死亡するはるか以前から始まっており、予測できぬ突然の変化ではない」と勤労福祉公団側を支持した。

 しかし控訴審では「Aさんが持病のみが原因で死亡したとは考えにくい」とし「過重な業務でたまったストレスが持病の発現に影響を及ぼした可能性が十分ある」として、一審の判断を覆した。続いて「遅刻して午前8時30分の朝の朝礼に参加しなかった時は、上司から叱責を受けていた」とし「内向的で消極的な性格のAさんにとっては、大きなストレスとして作用したはず」と強調した。そして、「Aさんは上司の叱責を懸念するあまり、少しでも早く3階に到着するために急いで階段を駆け上がった行為も、死亡に相当な影響を及ぼしたと判断される」と述べた。

チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/962851.html韓国語原文入力:2020-09-20 12:11
訳D.K

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