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「どう支給すべきか」一度や二度では済みそうにない災害支援金の設計で論争

登録:2020-09-07 02:25 修正:2020-09-07 08:29
イ・ジェミョン「疎外された方々の重さに苦悩」 
民主党「コロナ持続・財政限界を考慮」 
「公平性VS切実さ」二分 
「支給額差の導入など原則が必要」との指摘も
チョン・セギュン首相、イ・ナギョン共に民主党代表、キム・テニョン民主党院内代表、キム・サンジョ大統領府政策室長、ホン・ナムギ経済副首相らが6日、首相公館で開かれた政府・与党幹部協議会で言葉を交わしている/聯合ニュース

 共に民主党と政府が第4次補正予算案の編成過程で脆弱階層の個別支援に合意したことで、災害支援金をめぐる「選別支給」対「普遍支給」の論争はひとまず決着した。しかし、コロナ禍がいつまで続くのか不透明であり、経済難が深刻化する可能性も高いことから、災害支援金の支給対象基準と方式をめぐっては、今後も激論が避けられない見通しだ。

 災害支援金を全国民に支給すべきだという主張を崩していなかったイ・ジェミョン京畿道知事は6日、政府与党幹部協議会の直後、フェイスブックを通じて「私も政府の一員であり、党の党員として、政府与党の最終決定には誠実に従うつもりだ。これは変わることのない私の忠誠だ」とし「国の支援策が国民に迅速に行き渡るよう、最前線で執行を指揮していく」と述べた。しかしイ知事は「選別支給基準から疎外された方々が持ちこたえているその重みはどう耐えるべきなのか、その恨みと怒りはどのように受け止めていくべきなのか、今も深く苦悩せざるを得ない」とし「国民の不満と葛藤、連帯の毀損など、1次から変更された選別支給の結果は、政策決定者たちの考えより遥かに深刻で危険な可能性がある」とも警告している。イ知事は、政府与党幹部協議会前の同日未明には「文在寅(ムン・ジェイン)政権と民主党、ひいては国家と共同体に対する恨みと裏切られたという思いが、火のように広がっていくのが、私の目にははっきりと見える」とし、災害支援金の選別支給論を、非常に強硬な口調で批判してもいた。

 災害支援金の方法論は、第1次災害支援金の支給決定の際にも熱い論争を巻き起こした。普段から基本所得(ベーシックインカム)論を主張してきたイ・ジェミョン京畿道知事をはじめ、キム・ギョンス慶尚南道知事ら民主党所属の広域自治体の首長がまず普遍支給の旗を掲げ、これに4月15日の総選挙を控えた与党指導部も積極的に呼応した。中位所得以下の世帯だけに支給すべきとしていた政府が、総選挙で圧勝した与党に押され、第1次では全国民支給という結論が出た。

 8月29日の民主党大会においても、災害支援金問題をめぐっては主張が分かれた。党代表選に出馬した候補のうち、選別支給を掲げたのはイ・ナギョン議員だけで、キム・ブギョム、パク・チュミン両候補は普遍支給を主張した。新型コロナ再拡散の危機が全面化した先月からは、党内から様々な声があがっていたが、国家財政の余力、シャットダウン業種の所得保全の緊急性などを理由として、脆弱階層を中心とする選別支援に重点が置かれてきた。結局、イ・ナギョン候補が当選し、野党である「国民の力」(旧未来統合党)もイ・ナギョン新代表の意見に共感したことから、選別支給論は自然に大勢となった。

 民主党のある最高委員は「全国民に支給できたら当然けっこうなことだが、現在はそれができる状況ではない。新型コロナは来年まで続くとみられるが、全国民に支給し続けることはできない。借金を続けなければならない状況で、財政の限界を考慮した」と述べた。しかし、災害支援金の支給対象基準と支給手続きが精緻さに欠け、公平性に対する非難が大きくなれば、再び普遍支給論が台頭する可能性もある。正義党のキム・ジョンチョル先任報道担当は「災害支援金を一銭も受け取れない人と満額受け取る人がいれば、連帯意識がなくなる。妥協しなければならないのなら、全国民支給を原則とはするものの、所得に応じた支給額を決めて低所得層により多く回るようにするという方法がある。この問題はまた繰り返される可能性が高い。長期的に原則を打ち立てるべき」と述べた。

チョン・ファンボン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/960959.html?_fr=mt1韓国語原文入力:2020-09-06 18:03
訳D.K

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