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「温暖化による大気の安定化が春の粒子状物質の悪化の主犯」

登録:2020-09-04 06:30 修正:2020-09-04 08:08
光州科学技術院、60年間の北東アジアの気候を分析 
対流現象と風速、持続的な減少傾向
昨年10月、高濃度の粒子状物質に包まれたソウル市=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 春の高濃度の粒子状物質(PM2.5など)の発生は、気候変動により大気の安定度が増加したためだという研究結果が出た。

 光州科学技術院(GIST)地球環境工学部のユン・ジンホ教授の研究チームは3日、「北東アジア地域の地上の風速が持続的に減少し、大気の安定度が増加しており、大気の質が悪化する可能性が高い」と明らかにした。研究チームが過去60年間の北東アジア地域の2~5月の気象状況の資料を、最新の気候分析手法である結合大循環モデル(CMIP5、大気・海洋・地面・生物圏など多様な変数を考慮した中長期の気候予測モデル)に代入した結果、風速は1960年に比べ2020年は秒速0.4メートル減少し、大気安定度は-0.2℃/Paから0.8℃/Paの水準に増加した。

 研究チームは、過去60年間の地球温暖化により、地表より高い層の気温がより早く上昇し、大気が少しずつ安定化されたと説明した。熱い空気が上がり冷たい空気が下る対流現象が起きなければならないが、すでに熱い空気が高いエリアに位置しており、対流現象があまり起きず、風速も落ち、空気の動きが減ったという説明だ。

 このような条件は、冬の終わりから春の北東アジア地域にしばしば発生したが、その結果、中国から渡ってきた粒子状物質と国内で作られた粒子状物質が、朝鮮半島上空に長く留まることになる結果につながった。

 ユン教授は「政府の継続的な大気汚染低減の努力にもかかわらず、粒子状物質の高濃度の事例が相変わらず報告されているが、長期的な大気の停滞現象が原因として作用したものだと見られる。今後、高濃度の粒子状物質は頻繁に発生するだろう」と述べた。今回の研究は、米国の国立海洋大気庁、中国の西北生態背景資源研究院、ソウル大学次世代融合技術研究院などと合同で行われた。

キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/honam/960583.html韓国語原文入力:2020-09-04 02:32
訳M.S

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