新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の再拡散で裁判所にも赤信号が灯った。最近、地方裁判所の判事の感染が確認されたうえ、最高裁事務総局(法院行政処)の高官まで感染の危険にさらされる事態が起きた。
最高裁事務総局は25日、企画調整室所属審議官のA氏の妻が最近COVID-19に感染したことが確認されたと発表した。A審議官は同日午前に検査を受けた結果、午後に陰性判定が出た。A審議官と接触した最高裁事務総局のチョ・ジェヨン局長やキム・インギョム次長、ホン・ドンギ企画調整室長ら35人は同日、自宅で待機した。チョ局長とキム次長は、同日予定された国会法制司法委員会と予算決算特別委員会の会議にも出席できなかった。最高裁事務総局のある関係者は「A審議官は自宅隔離対象者で、2週間隔離される。自宅待機者のうちA審議官と密接に接触した職員は週末まで自宅待機を維持する」と伝えた。チョ局長とキム次長は26日に出勤することにした。これに先立ち、21日には全州(チョンジュ)地裁のある部長判事が、23日には司法研修院の職員がCOVID-19陽性判定を受けており、濃厚接触者に分類された高官と職員が自宅隔離されると共に、多くの関係者がCOVID-19検査を受けた。
しかし、裁判所を悩ませているのは法廷での感染拡大だ。最高裁事務総局は24日、緊急事態を除き、裁判日程を延期するよう勧告した。これを受け、一般事件の大半は裁判日程が延期された。しかし、主要事件は予定通り裁判が進められている。ソウル中央地裁は、チョン・ギョンシム東洋大学教授とキム・ギョンス慶尚南道知事、イム・ジョンホン元最高裁事務総局次長らなどの裁判は予定通り行われると発表した。ソウル中央地裁の関係者は「予定されている証人尋問を行わないと、他の証人尋問も先送りになり、裁判日程が全体的に遅れる可能性があるため、やむを得ない事件のみ裁判を続けている」と述べた。
裁判所は防疫も強化した。 ソウル裁判所総合庁舎の入り口にはサーモグラフィーカメラを設置し、法廷を出入りする人々の体温をリアルタイムで確認するとともに、庁舎内の飲食店やカフェの部外者の利用を制限した。法廷にはアクリル板が設置され、傍聴席は間隔を空けて座っている。
しかし、一部の判事は法廷でマスクをつけずに裁判を行うなど、COVID-19の感染拡大への懸念が高まっている。首都圏のある裁判所では先月末、ある判事が担当した事件の裁判にCOVID-19感染者が傍聴に訪れ、同判事を含め当日法廷にいた職員が公暇を出して検査を受けた結果、陰性判定が出た。当時、マスクをつけていなかった同判事は、業務に復帰してからも法廷でマスクをつけていない場面が目撃された。裁判長席に透明の仕切りは設置されていた。当時裁判を傍聴した人は「判事もマスクをしておらず、公判検事も着用していなかった。被告人と弁護人、証人らは皆マスクをつけていた。そうした状況で判事は法廷で咳をし、鼻をかんだりもした」と伝えた。