hankyoreh

チョン・グァフン前韓国基督教総連合会代表会長兼文在寅下野のための汎国民闘争本部総括代表が1月4日、ソウル教保ビル前で開かれた「文在寅政権の退陣を求める国民大会」で発言している/聯合ニュース

　プロテスタント教内で、サラン第一教会のチョン・グァンフン牧師を異端に規定する作業が進んでいる。

　プロテスタント界によると、プロテスタントの主要教団は9月の総会を控え、チョン・グァンフン牧師を「異端」に規定する作業を進めている。

　主要教団の一つである大韓イエス教長老会高神の異端対策委員会（異対委）は最近、チョン・グァンフン牧師を異端性のある異端擁護者と結論付けた。今回の決定は、高神（＝大韓イエス教長老会）教団が昨年の総会で、チョン牧師に対する異端論議の有無を1年間研究して、次期総会に報告するように決定したことによるものだ。

　これにより、チョン牧師の異端性を調査してきた高神異対委は「韓国基督教総連合会（韓基総）およびチョン・グァンフン代表会長の異端擁護に関する研究報告書」で、「チョン牧師個人の神学的見解と思想は明らかに正統キリスト教から逸脱している。彼が韓基総会長として決定したことと異端性のある発言・行動は確かに指弾されて当然の部分があり、チョン牧師は異端性のある異端擁護者と規定できると考える」と明らかにした。高神異対委はまた、チョン牧師が韓国基督教総連合会代表を務めていた2019年、複数の教団が異端と規定しているP氏について、聖書の聖書論を最もよく解釈した人と評価し、彼に対する異端決議を解除して、P氏を韓基総共同会長にまで任命したのも異端擁護者規定の根拠として挙げた。

昨年8月、チョン・グァンフン牧師を免職除名処理した白石大神教団の公告文//ハンギョレ新聞社

　改革主義フォーラムもチョン牧師の神学思想に対する研究結果を基に「韓国教会はチョン・グァンフン牧師の異端思想を排撃する」という声明書を発表した。改革主義フォーラムは「チョン牧師が愛国運動を口実に自分を偶像化し、自分が担任牧師を務める教会で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大規模な集団感染が発生したにもかかわらず、COVID-19陽性判定を受けた自分と信者に対して嘘の判定をしたという荒唐無稽な主張を展開したうえ、誰かが自分の教会にウイルステロを行って感染拡大を引き起こしたと主張している」と指摘した。さらに「韓国教会はこのような人たちの逸脱によって尊い礼拝を捧げることのできない霊的毀損はもちろん、宣教(伝道)に莫大な支障をきたす状況に置かれることになった」と付け加えた。

　改革主義フォーラムは声明でチョン牧師の異端の事例として、2019年6月18日、京畿道実村修養館の聖書セミナーで、「モーゼが記録したモーゼ五書だけが聖書であり、残りは聖書の解説書で2千年間隠されてきたことを『清教徒（自分を指す）』に開いたのだから、この時代のチョン・グァンフンと共に生きることに感謝せよ」と述べたことを挙げた。また2019年12月26日の講義で、自分を「聖霊の本体」と認める発言をしたことで、新天地イエス教会のイ・マンヒ教祖と類似した教条的な主張を露にし、神を冒涜した▽2019年10月22日、大統領府前の集会現場で行った夕方礼拝演説で、「大韓民国は誰を中心に回っているのか。チョン・グァンフン牧師中心に回るに決まっている。それが気に入らなくても仕方がない。私が『塗油』された者（精霊が内在している、神様から神的な権威を与えられた存在という意味）であるからだ。私は神様を補佐している。神様でもふざけると、私がひどいめに遭わせる」と発言した▽2007年の大統領選の局面では「イ・ミョンバク候補に投票しない人は私が生命の本から名前を消してやる」と発言したことなども、彼を異端に規定した根拠に挙げられた。

　改革主義フォーラムはまた、実村修養館の説教で「キリスト教徒が宣教カードを作らないと（天国に）行けない。生命の本から名前を私が消してやろう。私は来年4月15日までお金が必要だ。100億ウォン（約8億9千万円）が必要だが、私はそれで韓基総代表会長になったわけ」だと述べことや、2019年3月に韓基総代表会長に当選した直後、異端と決議されたP牧師を韓基総に迎え入れてから、約5億ウォン（約4500万円）の資金がチョン牧師側に送金されたことが確認され、情況上、異端解除に対する賄賂ではないかという論争が生じ、背任収賄の疑いで検察に送致された事例なども（異端に規定した根拠として）挙げた。

　韓国基督教牧師協議会代表会長のチ・ヒョンウン牧師も今月20日、「キリスト教放送」（CBS）の『時事ジョッキー・チョン・グァニョンです』に出演し、「主要教団でチョン牧師に対する異端判定を強く進めなければならない」とし、「キリスト教の福音は他の理念や何らかの政治体制の道具になってはならないのに、チョン牧師の行動がイエス・キリストの福音を政治体制やある理念の道具に転落させてしまったため、異端判定の重要な基準になり得る」と述べた。

　チョン牧師に対して主要教団が異端と決めるための論議は、昨年、チョン牧師が韓基総会長の資格でP牧師の異端を解除し、韓基総共同会長に任命した後に本格的に提起された。昨年8月30日、チョン牧師が属したイエス教長老会白石大神教団は、チョン牧師を免職および除名処分にした。また、プロテスタント主要8教団の異端対策委員長協議会に対し、チョン牧師を「異端擁護者」とすべきことを要請したのに続き、今年2月「チョン牧師の言動が、韓国教会の信頼と前途に否定的な影響を与えており、韓国教会の牧師と聖徒らはチョン牧師から信仰的に悪影響を受けないよう注意してほしい」と注意を求めた。

今年2月にプロテスタント主要8校団異端似非対策委員長協議会が「チョン・グァンフン牧師から悪影響を受けるな」という内容で書いた「韓国教会に捧げる文」//ハンギョレ新聞社

　しかし、主要教団がチョン牧師を「異端」と規定したことに対して、保守的な牧師たちと長老たちの反発が少なくないという。高神教団事務総長のイ・ヨンハン牧師は「教団で公的に異端とされれば、信者がチョン牧師主導の集会に公的に参加しないことになるので、保守的な団体などから（反発の）電話がきている」と伝えた。信仰的に異端性が認められるにもかかわらず、極右派のチョン牧師を庇護し続けているのだ。

　チョン牧師もこれを狙ったかのように、同日、保守団体の「母親部隊」のチュ・オクスン代表のユーチューブチャンネル「チュ・オクスンTV母親放送」との電話インタビューで「文在寅(ムン・ジェイン)大統領と主体思想派が目指す目的地は大韓民国を社会主義の国にすること」だと主張し、また他のインタビューでも教団の動きと関連し、「文在寅政権を助けること」だとし、極右の結集を訴える発言を続けている。

　このため、保守側の反発を意識した教団が、9月の総会でチョン牧師に対する異端論議を保留する動きも現れている。イエス教長老会統合異端対策委員長のイ・スブ牧師は「政治と教理神学は別もので、神学的に教理的に問題があるのかさらなる議論が必要なため、9月の総会ではいったん決議を留保する」とし、「留保するからといって全牧師の発言に同意するという意味ではない」と曖昧な態度を取った。

新型コロナウイルス感染症検査で陽性判定を受けたサラン第一教会のチョン・グァンフン牧師が今月17日午後、ソウル城北区のサラン第一教会の社宅を出て、城北保健所の車両に乗り込んでいる/聯合ニュース

　ある教界関係者は「今回、主要教団でチョン牧師を異端に規定し、明確に線を引いて韓国（プロテスタント）教会がこれ以上チョン牧師のせいで罵倒されてはならないということで教界の意見が一致しているにもかかわらず、保守派が崩れることを懸念して踏み切れなかったり、反発する人も少なくない」とし、「チョン牧師が韓国基督教総代表会長を辞任し、韓基総が有名無実になったにもかかわらず、まだ韓基総の法人はそのままだから、チョン代表を会長にした元老牧師らはチョン牧師が異端に規定され、再収監されることに備えて第2のチョン牧師探しに乗り出しているようだ」と伝えた

　一方、サラン第一教会のある副牧師はこうした異端規定に対する釈明を求める質問に「よく分からない」と答えた。