文在寅(ムン・ジェイン)大統領は光復節のスピーチで「日帝強制動員の被害者が同意可能な円満な解決策について協議の門戸は開いてある」とし、日本政府に前向きな態度変化と積極的な対話を求めた。
文大統領は15日、東大門デザインプラザ(DDP)で行われた75周年光復節祝賀式典における祝賀スピーチで、韓日対立の最大の争点である日帝強制動員に対する賠償問題について、「最高裁(大法院)は1965年の韓日請求権協定の有効性は認めつつも、個人の『不法行為に対する賠償請求権』は消滅していないと判断した」とし、「政府は司法府の判決を尊重し、被害者が同意可能な円満な解決案を日本政府と協議してきており、今も協議の門戸は開いてある」と述べた。韓国最高裁の判決や日本政府の輸出規制政策のため、1年以上も対立の溝が深まったままの両国関係を改善しようという意思を重ねて伝えたものだ。文大統領は昨年、日本の輸出規制措置の1カ月後に開かれた74周年光復節の祝賀スピーチでは「何者にも揺らがない国」を作ろうと述べ、「分断に打ち勝ち、平和統一へと向かう近道こそが、責任ある経済大国へと向かう近道であり、日本を乗り越える道」とし「克日」の覚悟を強調している。
文大統領は、被害者中心主義と三権分立という韓国政府の原則を明確にしつつも、日本政府に対して解決策と妥協の可能性を残した。文大統領は「最高裁の判決は大韓民国の領土内で最高の法的権威と執行力を持つ」と強調した。続いて強制動員賠償訴訟を起こしたイ・チュンシクさんが日本の輸出規制措置当時、「私のせいで大韓民国が損害を被るのではないか」と述べたことを挙げ、「我々は、一個人の尊厳を守ることが、決して国の損害にはならないという事実を確認する」と述べた。そして「一人の人間の人権を尊重する日本と韓国の共同の努力が、両国国民の友好と将来の協力の橋になると信じる」と述べた。歴史的事実を認めるとともに、人道主義的観点から日本政府が前向きで積極的な態度を示すべきと求めたものだ。文大統領は前日にも「日本軍慰安婦被害者メモリアルデー」記念式で映像を通じて祝辞を述べ「ハルモニ(おばあさん)たちがもう十分とおっしゃる時まで、ハルモニたちが受け入れられる解決策を探るつもりだ」と「被害者中心主義の解決策」を強調している。
ただし文大統領は「三権分立に基づいた民主主義、人類の普遍的な価値と国際法の原則を守っていくために日本と努力する」とし、あくまで原則は守ったうえで、韓国最高裁の判決は国際条約の信頼を損なったとする日本政府との妥協が可能であることを示した。韓国最高裁は2018年10月30日、4人の徴用被害者が日本製鉄に対して起こした慰謝料など損害賠償を求める再上告審において、1人当たり1億ウォン(約899万円)の賠償を言い渡した。しかし、日本の安倍晋三政権は、1965年の韓日請求権協定ですべての賠償は解決済みと主張し、反発した。安倍首相は昨年7月、一方的な輸出規制措置を発動し、韓日関係は冷え込んでいる。