本文に移動

「パク・チウォン国情院長の抜擢は朝米双方に送るメッセージ」

登録:2020-07-06 06:35 修正:2020-07-06 07:13
北朝鮮には南北関係改善の意志を 
米国には北朝鮮への前向きな態度求める
文在寅大統領とパク・チウォン国家情報院長内定者。写真は2018年4月、大統領府で開かれた南北首脳会談の元老諮問団との昼食会で、文在寅大統領がパク・チウォン当時民主平和党議員と言葉を交わしている様子=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 パク・チウォン国家情報院長候補の抜擢をめぐり、政府・与党の高位幹部の間では、南北関係改善への強い意志とともに米政府に前向きな姿勢を求めるメッセージが込められていると見られている。

 大統領府の主要な関係者は5日、記者団に対し、パク候補者を抜擢したことは完全に文在寅(ムン・ジェイン)大統領の決心であり、抜擢には多様なメッセージが込められていると説明した。同関係者は「パク候補者は様々な経路から(安保ラインに起用すべきという)推薦が入った」としたうえで、「国情院長候補として彼を念頭に置き、交通整理をしたのは、もっぱら文大統領の決定だった」と述べた。

 何よりも文大統領は、パク候補者が南北関係の改善に向けて、政府により積極的かつ能動的な態度を求めてきた点を評価したものと見られる。文化観光部長官だった2000年6月、初の南北首脳会談を実現させた彼は、いくつかのインタビューで「南北関係悪化の原因は米国が提供した」とし、「統一部長官は、米国が過度に(北朝鮮を)制裁し問題がある場合には、米国にも苦言を呈しなければならない」と述べ、積極的な「自主路線」を堅持した。実際、パク候補者は朝鮮半島の平和を定着させる過程で、韓米協力は欠かせないものの、韓国政府が米国の意志に一方的に振り回されてはならないという考えを持っている。このため、大統領府内外では「パク候補者を国情院長に抜擢したのは、『南北が積極的に関係改善に乗り出すから、米国ももう少し前向きな態度を示してほしい』というメッセージが込められている」と分析する人が多い。

 大統領府は、文大統領がパク候補を国情院長に起用することを決めた時期が、先月17日に南北関係の元老らと昼食を共にした直後だと明らかにした。昼食会でパク候補者は、脱北者団体によるビラ散布について、政府が積極的に取り締まらなかったことを指摘し「ビラ散布禁止法を必ず制定すべきだ」と強調した。

 大統領府は、パク候補者に対して約2週間の人事検証を行う過程で、機密維持に細心の注意を払った。大統領府内でも、ごく少数の関係者だけが彼の指名事実を知っていたという。普段、複数の放送に出演していたパク候補者は、指名発表の15分ほど前まで生放送番組に出演していたが、全く(指名された)そぶりを見せなかった。彼は最後の放送で、「これまでありがとうございました」という意味深長なお礼を言ったが、誰もその意味に気付かないほどだった。

ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/952319.html韓国語原文入力:2020-07-05 21:22
訳H.J

関連記事