5月20日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機の克服のために発足した政労使代表者会議は、約40日を経て「全国民雇用保険の導入」に向けた計画の年内樹立などに暫定的に合意し、7月1日午前に代表級会議を開き、最終合意を目指すことにした。各主体の内部議論の結果、経営側と韓国労総は暫定合意案を受け入れることにした。民主労総は、一部の傘下組織が強く反発しているが、キム・ミョンファン委員長の意志が固く、最終合意が成立する可能性が高い。
30日のハンギョレの取材結果を総合すると、政労使の暫定合意案には、年内に「全国民雇用保険」を導入するためのロードマップを策定し、勤務の特性を考慮して特殊雇用職の雇用保険加入のための政府立法を推進し▽傷病手当導入のための社会的対話を続け▽労使が雇用維持のために努力する一方、政府は雇用維持支援制度を拡充し▽経済社会労働委員会と首相室傘下の後続機関などを通じて履行点検を行っていくなどの内容が盛り込まれた。前日まで開かれた副代表級集中交渉では、韓国経営者総協会(経総)と大韓商工会議所(大韓商議)が「賃上げ自粛努力」などを合意文に盛り込むことを主張し、二大労総は特殊雇用職の雇用保険への加入について、「勤務の特性を考慮し」という文言が一部の職種を排除しうるという理由で削除するよう求めるなどで難航した。
暫定合意案をめぐり内部で議論を行った経総は、「受け入れることでまとまった」と語った。韓国労総もこの日午後の中央執行委員会を開いた後、「当初の要求案より不十分だが、原案通り受け入れることにした」と明らかにした。
しかし、民主労総では難航が続いた。民主労総は、前日の午後5時からこの日午前1時まで、そしてこの日午前7時から10時過ぎまで、リレー中央執行委を開いたが、暫定合意案の承認の是非について結論を出すことはできなかった。一部の傘下組織の中央執行委員らは、経営側と政府の責任と役割が明確でないこと、全国民の生計所得保障や雇用の維持などが具体的に反映されていないことなどを問題視し、暫定合意案の廃棄を要求したという。このため、キム・ミョンファン委員長が会議の途中、イ・ジェガプ雇用労働部長官と経社労委のムン・ソンヒョン委員長に会い、派遣・下請・間接雇用労働者などの脆弱労働者の雇用維持に関する内容が合意案に追加されるべきなどの協議を行ない、これを基に中央執行委を説得したが、歩み寄れなかったという。キム委員長は、代表級会議が開かれる前の1日早朝に中央執行委を再び招集して最終説得を行う予定だが、反対する委員らの考えを変えられるかは未知数だ。
労働側では、中央執行委で結論を下せなくても、キム委員長が最終合意案に署名する可能性が高いと見られている。この日の中央執行委の閉会発言でキム委員長は「不十分で至らぬ部分もあるが、(暫定合意案は)我々が最初に社会的対話を提案した趣旨に合わせて主な内容が作られた」とし、「これを生かしていくべきだと思う。近いうちに私の進退を含めて判断する」と述べた。ただし、キム委員長の「職権」で最終合意がなされた場合には、民主労総内部で反発と混乱が続き、合意案の履行などの後続作業が順調に進まない可能性もある。
労働部の関係者は「合意に向けた生みの苦しみと考える。内部での承認過程が終われば、速やかに代表たちが集まって合意文に署名する予定」と語った。