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[ニュース分析]大統領府、北朝鮮の文大統領非難・特使嘲弄受け、強硬対応に旋回

登録:2020-06-18 06:37 修正:2020-06-18 14:51
強硬な態度示した理由は? 
「キム第1副部長の発言、度が過ぎる…断固として対応 
南北首脳の信頼破綻を防ぐため」 
「特使の一方的な公開は非常識な行為」 
大統領府、「特使カード」の効用がなくなり困惑
ユン・ドハン大統領府国民疎通首席が今月17日午前、北朝鮮の南北共同連絡事務所の爆破と韓国に対する非難談話への政府の立場を発表している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 大統領府は17日、北朝鮮のキム・ヨジョン労働党中央委員会第1副部長が文在寅(ムン・ジェイン)大統領を激しく非難したことについて、厳しい口調で批判した。これまで北朝鮮が核実験やミサイル挑発などで国際社会から指弾を受けた時や暴言に近いレベルで韓国政府を非難した時も、朝鮮半島の平和の基本原則を強調するか、これといった反応を示さなかったことに比べると、今回はかなり雰囲気が異なる。

 ユン・ドハン大統領府国民疎通首席は同日、大統領府で記者会見を開き、キム第1副部長を激しく批判した。彼は「文大統領の6・15共同宣言20周年記念演説が、韓国と北朝鮮の意思疎通と協力で問題を解決するという大きな方向を提示したものだったにもかかわらず、キム第1副部長が(文大統領の演説の)趣旨を全く理解せず、非常に無礼な口調であしらったのは非常識な行為であり、これはこれまで南北首脳間で築いてきた信頼を根本的に損なうものだ」と述べた。また、「北朝鮮側のこのような道理をわきまえない言動を、我々はこれ以上我慢しない」と警告した。文在寅政府発足後、大統領府が北朝鮮に示した反応の中で最も強硬なものだ。

 これに先立ち、キム・ヨジョン第1副部長は、15日の文大統領の6・15宣言記念演説を「鉄面皮と厚かましさがにじみ出る詭弁」、「破廉恥な裏切り」などの言葉で、激しい非難を浴びせた。ユン首席は「特に北朝鮮側は礼儀をわきまえるべきだ」と繰り返し、無礼さを指摘した。事態を重く受け止めると共に、期待を裏切った北朝鮮へ失望感を滲ませている。

南北間合意事項と破棄の現況//ハンギョレ新聞社

 ユン首席の発表は国家安全保障会議(NSC)の緊急会議後に行われたという点で関心を集めている。彼はこの日午前8時30分から10時まで、チョン・ウィヨン国家安保室長主宰で国家安全保障会議常任委員会の緊急テレビ会議を開き、北朝鮮の対南談話発表と関連した内容を分析すると共に、対応策を話し合ったと述べた。ユン首席の厳しい発言は、大統領府の強硬な立場であるわけだ。

 大統領府がキム第1副部長を強く批判したのは、北朝鮮のこのような態度が続けば、南北首脳間の信頼破綻になりかねないと判断したためだ。 文大統領と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長は首脳間の信頼関係を土台にした「トップダウン」方式で南北関係を牽引してきた。3回の首脳会談を含む4回の会合も互いに対する信頼に基づいたものだった。大統領府関係者は「キム・ヨジョン第1副部長の批判は度を越しているため、明確かつ断固たる対応を取ってこそ、首脳間の信頼関係が壊れる状況を防ぐことができる」と述べた。さらに、開城(ケソン)南北共同連絡事務所の爆破と韓国政府に対する言葉の爆弾というショック療法に強く対抗しなければ、朝鮮半島平和プロセスの動力を失い、世論の支持も得られないという点も考慮したものと見られる。大統領府関係者は、「今のような北朝鮮の態度には韓国国民も納得できず、南北関係の改善に向けた世論の支持を得られないため、北朝鮮に対して互いに守るべき基本は守らなければならないと明確に表明したものだ」と述べた。

 何よりも大統領府は、北朝鮮が対北朝鮮特使の提案を公開したことに憤っている。ユン首席は「北朝鮮側は現在の状況を打開するために非公開の対北朝鮮特使派遣を提案したことを一方的に公開した」とし、「これは前例のない非常識な行為で、対北特使派遣の趣旨を意図的に歪曲した行為であり、強い遺憾の意を表する」と述べた。 さらに、「最近の北朝鮮側の一連の言動は、北朝鮮側にも全く役に立たないだけでなく、これによるすべての事態の結末については、北朝鮮側が責任を取らなければならない」と批判した。外交的無礼も問題だが、大統領府が頭を悩ませているのは、特使カードの効用がなくなったことだ。硬直した南北関係を改善できるという希望を込めて提案した対北朝鮮特使が、北朝鮮の嘲弄の種に転落したことで、再推進も難しくなった。

ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/949866.html韓国語原文入力:20-06-1802:44
訳H.J

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