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保守の手借りて進歩的変化起こすか…注目される「キム・ジョンイン効果」

登録:2020-06-03 02:43 修正:2020-06-03 11:29
明快なメッセージ、柔軟な態度、長所発揮 
非常対策委員長就任後、破格の行動に期待感 
「革新より進取の気性で」…政策対決を予告 
「院外指導部」のため内部反発突破は多難
未来統合党のキム・ジョンイン非常対策委員長が2日午後、国会を訪問したカン・ギジョン大統領府政務首席から文在寅大統領の贈った就任祝いの蘭を受け取り、言葉を交わしている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「社会的弱者を守る政党」「革新よりも進取の気性に富む政党」を掲げた未来統合党のキム・ジョンイン非常対策委員長の行動が政界に波紋を広げている。「民生」と「改革」を主導してきた共に民主党は、政策協力への期待とともに、議題設定の主導権が統合党に渡ることを懸念し、緊張が高まっている。「右」に縮こまっていた統合党が保守刷新を成し遂げ、本格的な「中原競争」に乗り出す力量を備えることになるのか、第21代国会が韓国政治の水準を高める政策対決のプラットフォームになれるのか、注目される。

 キム委員長は2日、カン・ギジョン大統領府政務首席と会談した席で「コロナ事態による経済危機からの回復、民生安定などについて積極的に協力する。(政府が国会に提出する予定の)第3次補正予算案も、財源がどのように組まれているかなどを検討した後、積極的に協力する予定」と述べた。キム委員長は3日には就任あいさつを兼ねて共に民主党のイ・ヘチャン代表を訪ね、院内構成交渉や補正予算案などについて幅広く意見を交換する予定だ。キム委員長特有の簡潔なメッセージと柔軟な態度は、統合党の総選挙惨敗の原因として「自己革新のない保守の傲慢」を挙げたところから始まった。雇用、福祉、介護、教育、不平等などの政策課題において、保守の価値観を超えた破格の姿勢を示さなければならないということだ。キム委員長は先月27日、統合党の全国の組織委員長を対象にした特別講演で、「革新、保守という言葉を使うな。中道とも言うな。政党は、国民が最も敏感に感じる不平等と非民主をうまく解決できる集団だということを示しさえすればいい」とも述べている。統合党のある2選議員は「朴正煕(パク・チョンヒ)政権で国民健康保険、盧泰愚(ノ・テウ)政権で国民年金、朴槿恵(パク・クネ)政権で基礎年金を導入するなど、保守政党が韓国の福祉国家の枠組みを作ってきた。コロナ禍で苦しむ国民を支えるため、セーフティーネットの強化や革新的な福祉モデルの構築を準備するつもり」と話した。

キム・ジョンイン未来統合党非常対策委員長発言集//ハンギョレ新聞社

 与党はひとまず期待混じりの視線を送っている。民主党のある重鎮議員は「福祉の問題はキム委員長と民主党の見解が重なるため、関連する議論がより迅速になり得る。与野党が政争ではなく政策競争をすれば、国会に対する国民の信頼も回復できる」と述べた。もちろん国民生活、普遍的福祉など、民主党がほぼ独占している主要議題の主導権が奪われかねないという懸念も少なくない。かつてキム・ジョンイン非常対策委を経験している多数の与党議員は「キム委員長は絶対に引きずられるタイプではない。先制的な議題設定で課題を先取りし、民主党がそれを受け入れるかたちにするだろう」と見通した。民生党のパク・チウォン前議員は、保守陣営にいる時は強烈な進歩的メッセージを投げかけるキム委員長の特徴を指摘しつつ、「民主党がこのペースに巻き込まれると大変厳しくなるだろう」と述べている。しかし、民主党が主導権競争から一歩退けば、むしろ成果を出せるという声も大きい。民主党のある議員は「どの党が実績を積むかは重要ではない。もともと経済民主化や福祉法案は保守党が主導した方が、反対意見の突破がより簡単になる」と説明した。

 ただ、「院外」が多数を占める「キム・ジョンイン非常対策委」が統合党内部の反発の流れを突破するのは容易ではないという指摘が出ている。統合党のある議員は「『お手並み拝見』という気持ちでキム・ジョンイン体制を見守る議員たちが党内に相当数いる。具体的な成果が出なければ、キム・ジョンイン非常対策委は一瞬にして崩壊する可能性がある」と述べた。「自強」を掲げるチャン・ジェウォン議員は2日、キム委員長が「保守」「自由右派」をこれ以上強調しないようにと述べたことについて「保守の大切な価値さえ否定し、『保守』という単語に八つ当たりすべきではない」と牽制した。キム委員長がこの日、統合党議員総会で「多少不満があっても、あまり文句を言わないで協力してほしい」と述べたのも、脆弱な党内基盤を念頭に置いた発言とみられる。

 キム委員長が率いる統合党と与野党協力のモデルを構築するには、野党に大義名分を与える与党の交渉技術が重要となるという声も出ている。「トモア」のユン・テゴン政治分析室長は「本人が投げかけた議題を必ず現実化するキム委員長のスタイルを考えると、統合党の変化の幅はかなり大きくなると期待される。政府が持ってきた法案を早く処理することが国会本来の役割ではないという点で、与野党協力の大義名分を作らねばならない与党の役割の方がむしろ大きくなった」と指摘した。

ノ・ヒョヌン、イ・ジヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/947595.html韓国語原文入力:2020-06-02 18:48
訳D.K

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