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新型コロナウイルス遺伝子地図完成…治療薬開発の基礎固まる

登録:2020-04-10 01:35 修正:2020-04-10 08:13
基礎科学研と疾本の研究結果『セル』に掲載 
新型コロナウイルス遺伝子地図完成 
変形RNA確認…治療薬開発の標的に
Schematic presentation of the SARS-CoV-2 genome organization, the canonical subgenomic mRNAs, and the virion structure//ハンギョレ新聞社

 基礎科学研究院RNA研究団は疾病管理本部国立保健研究院との共同研究で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因である「SARSコロナウイルス-2」が宿主細胞で作るRNA転写体をすべて分析し、高解像の遺伝子地図を作ることに成功した。特にこの過程で、今まで知られていなかった数十種類のRNAと、少なくとも41カ所のRNA変異が初めて発見され、COVID-19治療薬を開発するための標的として利用できると期待される。

 同研究団のキム・ピンネリ団長とチャン・ヘシク研究委員(ソウル大学生命科学部教授)の研究チームは、SARSコロナウイルス-2が宿主細胞内で作るトランスクリプトーム(RNAの総体)の塩基配列をすべて分析し、遺伝情報が書き込まれたRNAゲノムのどこに遺伝子が位置するのかを正確に洗い出した。

 SARSコロナウイルス-2は宿主細胞に浸入してRNAゲノムを複製し、多様な下位RNAゲノムを生産して感染症を引き起こすが、既存の研究はRNAゲノム情報をもとに遺伝子の位置を予測する水準にとどまっていた。

 今回の研究では、これまで10個と予測されていた下位ゲノムが実際には9個だけだったという事実と、新しい特性を帯びうる多様な化学的変異も確認された。これは、SARSコロナウイルスの生活史と病原性を理解するのに役立ち、新たな治療戦略の開発に利用できるものと期待される。

 キム・ピンネリ団長は「新たに発見されたRNAとRNA変異は、ウイルス治療薬を開発する際に、新たに標的とするに値する候補群」と述べた。キム団長は「今回、SARSコロナウイルス-2の各トランスクリプトームの定量を正確に把握したことを基に、診断用遺伝子増幅技術(PCR)を改善できるだろう」と付け加えた。

 今回の研究は、疾本が提供した不活性ウイルスに、韓国で初めて次世代の塩基配列分析法である「ナノポア直接RNA塩基配列分析法」を用いて行われた。新しい分析法は、RNAをDNAに変換して分析する一般的な分析法とは違い、SARSコロナウイルス-2の長いRNA塩基配列を切断せずにそのまま分析することができる。

 この研究結果は9日、生命科学分野の権威ある学術誌『セル(Cell)』のオンライン版に掲載された。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/936355.html韓国語原文入力:2020-04-09 16:16
訳D.K

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