防疫当局は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者を治療するため、完治者の血しょう(回復期血しょう)を治療に用いるための指針作りを始めている。回復期血しょうを用いた治療は、2015年のMERS(中東呼吸器症候群)でも用いられた方法の一つだ。防疫当局は、有効なワクチンや治療薬の開発が難しい中、有事に備えた治療手段をできる限り早く確保する計画だ。
中央防疫対策本部(防対本)のクォン・ジュヌク副本部長は31日の定例ブリーフィングで「COVID-19完治者の回復期血しょうを重症患者の治療に用いるため、関連指針の準備に取り掛かっている。2015年のMERSでもこの方法を用いており、最近中国でも治療効果があるという一部の報告もあるため、これを考慮したもの」と述べた。
この治療法は、特定の疾患から回復した人の血しょうの中に抗体が作られることを利用したもので、完治者の血しょうを他の患者に輸血して抵抗力を持たせるもの。大韓内科学会は「2015年のMERS患者のうち、回復期血しょうによる治療を受けた患者は3.8%だった。人工呼吸器治療を受けた重症患者の場合、抗ウイルス剤の投与、ECMO(体外式膜型人工肺)治療と回復期血しょうによる治療が、死亡率の低下に有意な影響があった」と分析した。
逆に、血しょう治療の効果はほとんどないという主張もある。こうした懸念はあるものの、防対本は「重症患者のための最後の手段の一つ」と判断し、関連指針を準備すると明らかにした。高齢や基礎疾患を持つ人を中心に死者が発生して死亡率が1.6%台に上がり、重症患者も出続けている状況をこのまま見過ごすことはできないという趣旨と思われる。31日現在、COVID-19の重症患者は23人、危篤患者は51人だ。
防疫当局は完治者の血液を確保し、抗体産生の有無や抗体の防御力の有無、持続期間を把握することが、今後のCOVID-19流行を管理するカギになるだろうと見ている。クォン副本部長は「完治者の同意を得て多くの検査を経た後、一定量の血液を確保する。現在、大韓輸血学会などの専門家の意見をまとめて指針を審議している」と明らかにした。