日本を訪問中のラファエル・マリアーノ・グロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長が、福島第1原発(以下、福島原発)の汚染水の海洋放出案について「技術的観点から見て国際慣行に合致する」と述べた。ラファエル事務局長の発言は事実上、日本政府案を支持する発言と受け止められる。
グロッシ事務局長は26日、福島原発の視察の後、記者団に対して日本政府が計画する汚染水浄化後の太平洋放出案について「世界の原発で非常事態だけでなく日常的にも行なわれている」と述べたと、共同通信など日本のメディアが伝えた。グロッシ事務局長は25日には安倍晋三首相と茂木敏充外相に会い、28日に日本を発つ予定だ。
2011年に放射性物質漏出事故が起きた福島原発では、今でも爆発事故が起きた原子炉建屋に雨水や地下水が流入し、汚染水が生成されている。福島原発の運営会社である東京電力は、この汚染水を多核種除去装置(ALPS)と呼ばれる装置を通じて、水と同様の性質のトリチウムを除く放射性物質を除去している。東京電力は、汚染水を原発敷地内に作ったタンクに現在118万トンほど保管しているが、2022年夏にはタンクがいっぱいになるため処理方法をまもなく決めるべきだと主張している。経済産業省内に設置された汚染水処理対策を議論する専門家小委員会(小委)は最近、福島原発の汚染水を処理する実行可能な方法として、海洋放流や蒸発させ大気に放出などの案を提示していたが、これを通じて事実上太平洋への放出の方向に雰囲気がまとまりつつある。
グロッシ事務局長は汚染水処理方法に関し「決めるのは日本政府」と強調し、海洋放出案への直接的な支持は言及を避けた。だが、日本の専門家小委員会報告書に対し「IAEAは日本政府がこの問題に関する決定に近づいている点を歓迎する」とし、「決定が下されればIAEAは実行を手助けする準備ができている。例えば放射能(汚染度)のモニタリングをすることも可能だ」と述べた。「これはどのような方法で水を放出しても国際的な基準と合致するとして、日本や他の国の大衆を安心させるのに役立つだろう」と述べた。
日本政府は最近、汚染水の海洋放出を推進するための世論戦を強化している。汚染水はALPSの浄化を経たとし、「処理水」と呼ばれている。しかし、2018年の福島原発の汚染水のうちALPSの浄化作業が終わった89万トン(計95万トン)を調査してみると、80%を超える75万トンが依然として排出基準値を超える放射性物質を含んでいた事実が明らかになっている。日本政府はこれに対し再浄化作業を行うと主張しているが、再浄化に対する具体的な計画はまだない。