自動車部品メーカー「ダース」の実質的なオーナーという疑惑を持たれ、数百億ウォン台の収賄及び横領の疑いで裁判にかけられた李明博(イ・ミョンバク)元大統領(79)が、二審で懲役17年を言い渡され、再び法廷拘束された。一審で懲役15年を言い渡された李元大統領は、控訴審で2年重い実刑を言い渡された。
ソウル高裁刑事1部(裁判長チョン・ジュニョン)は19日、ダースの法人資金の横領や収賄など16件の容疑で起訴された李元大統領の控訴審で、賄賂容疑については懲役12年に罰金130億ウォン(約12億円)を、横領など残りの容疑については懲役5年を言い渡した。公職選挙法上、大統領在職中に犯した賄賂犯罪は分離宣告しなければならない。
李元大統領は、昨年3月に保釈されたが、同日の実刑判決で350日ぶりに再び収監された。黒のスーツ姿で法廷に姿を現した李元大統領は、判決が終わった後も3~4分間立ち上がれず、無表情で被告席に座っていた。
裁判所は「被告人とダースが請け取った賄賂の総額は94億ウオン(約8億7千万円)に達する。海外の法律事務所を利用したり、第3者を介して受け取るなど、手口が隠密かつ巧妙で、私的な利益を得るための目的が明らかになったこともある」とし、「自分の行為に責任を取るべき部分が明白にもかかわらず、反省の色が見えなかった」と指摘した。
李元大統領は、サムスンからの賄賂の総額が増え、一審よりも重い量刑を言い渡された。検察は控訴審で、李元大統領側がサムスンからダースの米訴訟に関連して提供された51億ウォン(約4億7千万円)を賄賂として受け取ったものとみて、追加起訴した。裁判所は、検察が起訴したサムスンからの賄賂119億ウォンのうち89億ウォン(約8億2千万円)を有罪と判断したが、これは一審が認めた61億ウォンより27億ウォン増えた金額だ。裁判所は「2009年末、サムスングループのイ・ゴンヒ会長の特別赦免のため、(サムスンに)ダースの訴訟費用を負担させ、大統領の特別赦免権が公正に行使されなかったという疑いを抱かせた」と指摘した。
二審裁判所はダースの資金横領額も一審が認めた247億ウォンから5億ウォン増えた252億ウォン(約23億3千万円)と判断した。一審では虚偽の給料や乗用車の購入による横領額5億ウォンの公訴時効が過ぎたとして免訴判断を下したが、二審ではこれを認めた。裁判所は同日、ダースの実際のオーナーが誰なのかは明らかにしなかったが、李元大統領の横領犯行をすべて有罪と判断することで、事実上、李元大統領の所有であることを認めた。
裁判所は職権乱用と国家情報院特殊活動費の授受(国庫損失)などは、そのほとんどを一審の判断を維持した。キム・ソンホ元国情院長やウォン・セフン元国情院長から受け取った特殊活動費4億ウォン(約3700万円)は一審同様、国庫損失罪の有罪判決を下した。ただし、ウォン元国情院長からもらった10万ドルは賄賂と見なした。
李元大統領はソウル東部拘置所に再収監された。彼の弁護士は「当然上告を勧めるつもりだ」と述べた。検察も「大統領の不正腐敗と政経癒着が明るみに出たこの事件で、法と常識に合致する最終結果が導かれるよう、最善を尽くすつもりだ」と述べた。
一方、裁判所はイ・パルソン元ウリィ金融持株会長とキム・ソナム元議員の収賄の疑いは一部だけを有罪と認め、彼らが受け取った賄賂の金額を4億1千万ウォン(約3800万円)とし、一審の23億1千万ウォン(約2億1千万円)より大幅に減らした。