#1.
ソウル市とソウル観光財団は13日、映画『パラサイト 半地下の家族』(以下『パラサイト』)の撮影地を巡る観光コースを作るという計画を明らかにした。「映画専門家と行くファム(fam)ツアー」と題し、『パラサイト』の主要撮影地4カ所を紹介する探訪コースを作るという内容だ。探訪コースはソウル麻浦区阿ヒョン洞(マポグ・アヒョンドン)や鍾路区付岩洞(チョンノグ・プアムドン)などで、同作に「ウリスーパー」として登場した「豚コメスーパー」、町内の階段、紫霞門(チャハムン)トンネルの階段、銅雀区のスカイピザなどを見て回る。作品中のキテク(ソン・ガンホ)一家の住む半地下住宅周辺の風景を実際に撮影した場所だ。ソウル市の関係者は報道資料を通じて「『パラサイト』の主要撮影地は外国のファンも訪れる聖地巡礼コースになっているほどで、韓流観光そのもの」と説明した。
#2.
麻浦区も『パラサイト』撮影地を観光地にする計画だ。やはり麻浦区の孫基禎路(ソンギジョンロ)32にある「豚コメスーパー」が代表的だ。映画で主人公のキウ(チェ・ウシク)が友達と酒を飲みながら家庭教師のアルバイトを提案された場所だ。麻浦区は、豚コメスーパー周辺にフォトゾーンを作る予定だ。『パラサイト』撮影地を中心に、地域の路地を巡るツアーコースも開発する。
#3.
京畿道高陽市(コヤンシ)は12日、『パラサイト』を撮影した高陽市徳陽区梧琴洞(トギャング・オグムドン)のアクア特殊撮影スタジオのセットを復元して体験観光施設を造る計画を発表した。ポン・ジュノ監督はここで、キテクの半地下の家と路地を精巧に作りあげ、豪雨で町内が浸水する場面などを撮影した。
ポン・ジュノ監督の映画『パラサイト』がアカデミー4冠獲得でシンドロームを起こしたことで、地方自治体が先を争って「ファムツアー・コース作り」「半地下セット復元」「パラサイトの街ツアー」などのマーケティングに熱を上げている。しかしこうしたマーケティングが、肝心の映画のメッセージを隠したまま「貧困ポルノ」に転落しているのではないかという指摘が出ている。
幼い頃に半地下に住んでいたというAさん(27)はハンギョレの電話取材に対し、このような現象について「ただの貧困ポルノ。誰かにとっては振り返りたくない貧困の記憶が、誰かにとっては商品になる。地方自治体がそのようなことに積極的になって商品化するというのは理解できない」と述べた。あるネットユーザーはツイッターで「今の状況は映画のように皮肉だ。(同作で)貧しい人々が支離滅裂に一日を生きていく一方、金持ちは優雅に暴雨の後にパーティーを開くように、誰かにとってはあそこでの暮らしが現実である一方、誰かにとっては展示対象にしか見えないことがやるせない」という反応を示した。また別のネットユーザーもツイッターで「見せかけだけの机上の行政がやりそうなこと。住民がそんなイメージ消費は嫌だというのに、この思いつきは何なんだ」と批判した。正義党も12日、声明を発表し「『パラサイト』の名声は『不平等』というキーワードに対する全世界的共感から始まったもの」とし、「このような『寄生虫』撮影地の観光コース化は、貧しさの風景を商品化し展示物とするものであり、それ以上も以下でもない」と批判した。
一方、一般的なマーケティングに過ぎないという反論もある。一部のネットユーザーは「米国はハーレムなどのスラム街を観光コースにしているのに、大きな社会的反発はない」「ただ映画が好きでその場所に行くのであって、貧富の差を見て幸せだとは思わないだろう」「流れが来たからそれに乗っているだけ」と主張し、「貧困ポルノ」と見る視線は過剰反応だと指摘している。