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潜伏期最長14日のはずだったのに…患者との接触から17日後に感染確認

登録:2020-02-11 23:20 修正:2020-02-12 16:27
28人目の患者は3人目の患者の知人 
鎮痛剤を服用していたため、症状の推定が遅れたものと推定 
中国の専門家「潜伏機関最大24日」 
 
韓国政府「非常に例外的な事例と見られる 
十分な根拠がなく、基準の拡大は考慮せず」
今月11日午前、ソウル江南区三成洞のCOEXモールのビョルマダン図書館に新型コロナウイルス感染症の拡散を防ぐため、2月の講演や公演プログラムを暫定的に延期するという案内板が建てられている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルスの患者と最後に接触してから17日後に発病した感染者(28人目の患者)が登場し、最長14日という潜伏期基準に対する疑問の声があがっている。最近、中国でも最長24日が潜伏期だった事例研究が報告されている。しかし、韓国保健当局は「普遍化が難しい事例と見られる」とし、潜伏期基準を延長する可能性については、まだ考慮していないという立場を示した。

 11日、中央防疫対策本部の説明によると、10日に診断検査で陽性判定が出た28人目の患者(31・中国人女性)は先月20日、武漢から共に入国した3人目の患者Aさん(54・韓国人男性)の知人だ。Aさんが感染者と判明し、入院した26日の前日まで、二人はソウル江南(カンナム)のグローV美容整形外科を訪れるなど、ほぼすべての移動経路が重なる。中央防疫対策本部が発表した二人の最後の接触時点が先月25日で、28人目の患者の症状が9日まで現われなかったことを考えると、同患者の潜伏期間は17日だったわけだ。これに先立ち、Aさんの感染が確認されてから、28人目の患者は濃厚接触者に分類され、Aさんの自宅で隔離されていた。

新型コロナウイルスの現況//ハンギョレ新聞社

 中央防疫対策本部は、患者に症状が現れたのが潜伏期14日を過ぎてからだったのかどうかを確認するため、追加調査を行っている。チョン・ウンギョン本部長は「28番目の患者は、症状がないにもかかわらず陽性反応を示した、無症状感染であるかもしれないし、軽微な症状はあったものの、投薬で症状を認知できなかった可能性もある」と述べた。保健当局は28人目の患者が他の治療で鎮痛剤を飲んでいたため、発熱などの症状が抑えられた可能性があると説明した。保健所はこれを考慮し、28人目の患者の潜伏期が終わる前の8日に検査を実施した。この際、陽性と陰性の境界線上にある結果が出たため、再検査の結果、10日に陽性判定が出た。

 最近、中国でも新型コロナウイルスの潜伏期が最長24日に及ぶという研究結果が出て、潜伏期をめぐる疑問が深まっている。中国内で新型コロナウイルスの専門家とされる鐘南山博士(中国工程院元士)は、自分の論文で「新型コロナウイルスの平均潜伏期間は3日」だとしながらも、「潜伏期間が0日から最長24日にまで上る」と主張した。

 しかし、これに対してチョン本部長は「当該(中国)論文を読んでみたが、これはとても例外的な場合」だとし、「全世界で使われている潜伏期基準の14日を変更する根拠としては不十分だというのが専門家の意見」だと述べた。同論文がまだ正式な審査を経ていない草稿の形で提出された論文であるうえ、論文の著者も自ら情報収集が足りない部分があるとして、研究の限界に言及しており、これらを考慮しなければならないということだ。さらにチョン本部長は「重複露出がある可能性もあるが、露出時点をいつにするかを厳密に判断しなければならない」とし、「(この論文は)そのような精密性の面では不十分だ」と述べた。

 韓国国内の患者らを治療する医療陣で構成された「新型コロナウイルス感染症中央臨床タスクフォース(TF)」は同日のブリーフィングで、「初めの一週間は患者が軽い風邪の症状だと(思って)見過ごす場合があり、早ければ5日、遅くても7~8日後から(症状が)悪化し、(感染)2週目から本格的な症状が現れるものと見ている」と説明した。イ・ジェガプ翰林大学聖心病院教授(感染内科)は「14日の基準は、MERS(中東呼吸器症候群)やSARS(重症急性呼吸器症候群)に準じて決めたものであり、初期の研究でも最長潜伏期間は10~12.5日以内と見ている」と述べた。

 チョン本部長は「日本など一部国家では(むしろ)潜伏期を短縮して施行することもある」とし、「基準を直ちに変更する計画はなく、情報を見ながら専門家協議を進める」と述べた。これについては、世界保健機関(WHO)も慎重な態度を示している。マイケル・ライアン緊急対応チーム長は10日(現地時間)、スイスのジュネーブで開かれたブリーフィングで「一部の患者はウイルスに複数回接触する恐れがあるため、潜伏期が長く見える可能性もある」としたうえで、「今のところ、変更は考えていない」と明らかにした。

パク・スジ、パク・ダヘ記者、北京/チョン・インファン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/927884.html韓国語原文入力::2020-02-11 21:50
訳H.J

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