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裁判所、15年間未登録の在留中国同胞善処…「国民の一員になるよう配慮すべき」

登録:2020-02-11 00:57 修正:2020-02-11 08:03
中国同胞Aさん 
ビザなしで「国内居所申告証」偽造し 
韓国で15年間日雇い生活 
公文書偽造や出入国管理法違反などの容疑で起訴 
裁判所「何の害悪ももたらしていない」宣告猶予…検察は控訴
ソウル東部地方裁判所=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 日雇いなどをしながら、ビザなしで15年にわたって韓国に未登録で滞在していた中国同胞に対し、裁判所が「配慮が必要」として宣告を猶予した。20年ほど韓国に居住し、生計維持のため誠実に生業に従事してきた中国同胞の状況を考慮した異例の判決という分析が出ている。

 ソウル東部地裁刑事2単独のイ・ヒョンジュ判事が、公文書偽造と偽造公文書行使、出入国管理法違反の疑いで起訴された中国同胞Aさん(57)に対し、先月29日に刑の宣告を猶予する判決を下したことが10日に明らかになった。宣告猶予は軽微な犯罪を犯した者に対して一定期間、刑の宣告を先送りし、猶予の日から2年が経つと宣告を免除する免訴処分を受けたと見なすもの。

 判決文によると、技術研修ビザ(D-3-1)を取得して2000年7月に入国したAさんは、2004年に滞在期間が満了したにもかかわらず、ビザの延長許可を受けずに2018年まで国内の建設現場などで日当13万ウォン(約1万2000円)の日雇いで働いていた。この過程でイさんは2011年7月に実兄の「外国国籍同胞国内居所申告証」に自分の写真を貼ってコピーする方法で偽造し、就職に利用した。検察は、Aさんのこのような行為が公文書偽造などに当たるとして、Aさんを起訴した。

 しかし裁判所は「Aさんが国民の一員になるのに支障がないよう配慮すべき」とし、懲役4カ月の刑の宣告を猶予した。裁判所は判決文で「Aさんが犯した罪は生計維持のためのもので、特に何の害悪ももたらしたていないため非難の可能性がないうえ、20年ほど国内に滞在し、誠実に生業に従事してきたものと認められる」と述べた。さらに「Aさんが滞在し続けたり、再び韓国を訪れたり、ひいては国民の一員になるのに支障がないよう配慮する必要がある」とし、宣告猶予の理由を明らかにした。ただし裁判所は、出入国管理事務所特別司法警察官の尋問で明らかになっているように、未登録滞在者の合法化のための様々な政策があり、合法的に滞在する機会が十分にあったという事実をAさんが認知していたことを考慮して、無罪は宣告しなかった。検察は判決を不服として控訴した。

 Aさんは裁判の過程で「離婚後、失意の中にあった」とし「自己申告すれば韓国に再び入国できなくなるかもしれないと心配した」と述べたという。

 このような判決に対し、ウォンゴク法律事務所のチェ・ジョンギュ弁護士は「公文書偽造は宣告猶予の適用事例が少ない重犯罪だが、移住民の具体的な事情を考慮して量刑事由に反映したのは評価し得る判決と考えられる。ただし出入国管理所の強制退去措置は裁判所の判決とは関係なく行われる可能性があるため、追放の可能性は残っており、最後まで見守らなければならない」と述べた。

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/927646.html韓国語原文入力:2020-02-10 15:26
訳D.K

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