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韓国政府、隔離地域に続き、チャーター便めぐっても“右往左往”

登録:2020-01-31 06:51 修正:2020-01-31 09:24
1日2便から1便に減らし、出発も遅れる 
中国との最終合意前に性急な発表 
隔離地域の変更に対する非難世論の高まりを受け、謝罪
新型コロナウイルス感染症の発生地で、現在“封鎖”状態にある中国湖北省武漢で、韓国人を乗せて帰国する大韓航空のチャーター機KE9883便ボーイング747旅客機が今月30日午後、仁川国際空港を離陸している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が高まり続ける中、韓国政府の対応が混乱を招いている。特に今回の感染症の発生地で、“封鎖”状態にある中国湖北省武漢に足止めされた韓国人を帰国させるため、30日出発する予定だったチャーター機の運航計画に支障が生じ、混乱がさらに広がった。

 当初、政府は30~31日、チャーター機2機を1日2便ずつ送り、武漢在住韓国人720人を帰国させる案を推進した。しかし、このような計画は、中国と協議の過程で半日以上出発が遅れ、チャーター機も1日1便に縮小された。これは、政府が中国と最終合意に達しない状態で急いで帰国の方針を発表したためとみられる。中国当局が民心を考慮し、外国政府が武漢にチャーター機を大量に送って“大脱出”する事態を避けたがっているうえ、現地在住韓国人の帰国準備状況がSNSなどを通じてリアルタイムで中継されたことが、中国に負担を与えたためという分析もある。

 武漢在住の韓国人を安全に帰国させることが目標なら、できだけ慎重かつ緻密な準備を進め、ある程度の機密維持も必要だったが、性急だったということだ。匿名希望のある中国専門家は「中国政府としてはチャーター機があまり目立たない夜や夜明けに静かに離陸する案を望むだろう」と話した。

 これまで武漢からチャーター機で自国民を帰国させた国は米国と日本だけだ。日本はこれを“成果”として宣伝している。これについては、米国と日本が中国と先に協議を始めたためだという分析もあるが、国力と外交力も作用したものと見られている。

 中国と協議する過程がこのように簡単な問題ではないにもかかわらず、政府はパク・ヌンフ保健福祉部長官を本部長とする中央事故収拾本部を中心に前日、チャーター機の運航計画を詳しく発表した。今月20日、国内で初の感染が確認されてから1週間後の27日に発足した中央事故収拾本部には、外交部が含まれていない。福祉部は「現在、中央事故収拾本部が発足してから間もなく、過渡期的な段階になるため、まだ部処の人材派遣が十分行われていない」と説明した。

 これに先立ち、帰国者たちが14日間過ごす臨時生活施設をどこにするかをめぐっても混乱が生じた。外交部は28日、記者団に事前報道参考資料を配布し、忠清南道天安(チョンアン)の郵政公務員教育院や国立中央青少年修練院に指定するとしたが、実際の場所は牙山(アサン)警察人材開発院と鎮川(ジンチョン)国家公務員人材開発院に変わった。マスコミ各社が報道資料を根拠に隔離場所を報道したことで、該当地域の市民たちの激しい反発が続いた。同日に開かれた関係長官会議では、所在地が最終決定されていない状態だった。全国の国立教育研修施設を管理する行政安全部は「(報道資料になぜ天安が明記されたのか)分からない」と述べた。これと関連し、キム・ガンリブ福祉部次官は30日午前、国会保健福祉委員会全体会議に出席し、「地域社会に大きな不満と混乱を招いたことについて、おわび申し上げる」と述べた。

 さらに、29日にはパク・ヌンフ福祉部長官が発熱などの新型コロナウイルスによるものと疑われる症状がある武漢在住韓国人もチャーター機に乗せる方針をマスコミのインタビューで明らかにしたが、同日午後、中央事故収拾本部は症状がない人だけが中国から出国できる状況だと発表した。

 新型コロナウイルス感染症のような新型伝染病による恐怖や社会の混乱を減らすためには、政府は正確かつ一貫性のある情報を伝えなければならない。ソウル大学保健大学院のキム・チャンヨプ教授は「中央政府と地方政府が互いに協力をしながらも、政府が伝えるメッセージには一貫性を持たせなければならない。特に、伝染病関連政策は安全と直結する問題であるため、政府の政策が足並みが揃わなければ、国民の反発を強めると共に、信頼度も低下する」と述べた。28日、疾病管理本部が国内4人目の感染者と接触した人数を172人と発表する直前、京畿道平沢市(ピョンテクシ)は96人という別の統計を出し、混乱を招いた。

パク・ヒョンジョン、パク・ダヘ、パク・ミンヒ、キム・ギュウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/926321.html韓国語原文入力:2020-01-31 02:40
訳H.J

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