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政府与党・大統領府、ハリス大使の発言を一斉に批判…北朝鮮個別観光実行の意志を強調

登録:2020-01-18 06:33 修正:2020-01-18 08:08
統一部「対北朝鮮政策は大韓民国の主権」 
“制裁”言及した米大使に向けて警告 
大統領府も「韓国政府が決める事案」 
 
共に民主党「内政干渉発言」 
「米大使は朝鮮総督のつもりなのか」
市民団体「平和と統一を開く人々」のメンバーが今月17日、ソウル鍾路区の駐韓米国大使館の近くの歩道で、ハリス大使が前日に外信記者懇談会で行った発言を批判する1人デモを行っている//ハンギョレ新聞社

 韓国の政府与党と大統領府が、ハリー・ハリス駐韓米国大使が“制裁という物差し”で南北協力事業を牽制した発言を一斉に批判した。大統領府は「南北協力は韓国政府が決める事案だ」と強調し、統一部は北朝鮮当局の反応さえ得られれば、“個別観光”を実行するという意志を重ねて確認した。

 イ・サンミン統一部報道官は17日、定例記者会見で「米国は数回にわたり様々なルートで対北朝鮮政策における韓国の主権を尊重するという点を明らかにしてきた」とし、「対北朝鮮政策は、大韓民国の主権に当たるという点をもう一度強調する」と述べた。統一部報道官のこのような異例の実名発言は、ハリス大使が16日、外信記者懇談会で行った発言に対する「政府の見解」を問う質疑に対する応答だった。

 ただし、イ報道官は「(ハリス)大使の発言について(直接)言及する必要はない」と述べた。論理上、ハリス大使の発言に対する反論は避けながらも、「主権を尊重する」という米政府の基本方針に基づき、ハリス大使の発言には意に介さないという考えを明らかにしたわけだ。

 大統領府関係者は同日午後、記者団に対し、ハリス大使の発言について、「大使が駐在国の大統領の発言について、マスコミに公開的に言及するのは極めて不適切だ」と直接批判した。同関係者は「南北協力は韓国政府が決める事案だ」と強調した。ただし、「米国とは常に緊密に協力し、協議している」と付け加えた。

 ハリス大使は16日の外信記者懇談会で、「韓国が制裁を触発しかねない誤解を避けるためには、南北協力のためのいかなる計画も、米国との作業部会を通じて協議した方が良いだろう」と述べたと、ロイター通信など外信が報じた。

 与党の共に民主党では、南北協力事業に“制裁という物差し”を突き付けた、内政干渉とも取れる威嚇発言だという批判の声があがった。ソル・フン共に民主党最高委員は、「内政干渉とも取れる発言は同盟関係にも役に立たない。遺憾の意を表明する」と述べており、ソン・ヨンギル共に民主党北東アジア平和協力特別委員長は、「文化放送」(MBC)に出演し、「(駐韓米国)大使は朝鮮総督のつもりなのか」と不快感をあらわにした。

 イ・サンミン統一部報道官は、ハリス大使の“制裁”発言を狙ったかのように、7回にわたり「観光は北朝鮮制裁に抵触しない」と繰り返し強調した。「(中国など)外国人は北朝鮮を観光目的で訪れている」とも述べた。韓国人だけが北朝鮮観光を制限される理由はないということだ。

 イ報道官は、個別観光を南北民間交流の拡大の機会にするという意志を強調した。彼は「(李明博政府時代の2010年)5・24措置として、北朝鮮への訪問が禁止されているのでは」という質問に対し、「歴代政府で人道支援や社会文化交流、当局会談など契機別に(訪朝)柔軟化措置が取られてきた」と答えた。「5・24措置」は個別観光を妨げるものではないということだ。さらに一歩進んで、「韓国政府は韓国国民の北朝鮮訪問が多様な形で行われ、南北民間交流の機会が拡大することを期待している」とし、「個別観光も南北民間交流拡大の側面で考えている」と述べた。

 そして、「北朝鮮の協力」を何度も呼びかけた。彼は、「北朝鮮はまだ大韓民国の国民を対象に観光関連ビザを発給したことがない」とし、「最も重要なのは、北朝鮮当局が韓国国民の個別観光を許可するかどうかだ」と述べた。

 「個別観光」をめぐるハリス大使の“牽制”と韓国政府の実行意志の間には、「韓国人の北朝鮮観光の潜在力」に対する異なる政策判断がある。ハリス大使は、「制裁態勢」に問題が生じ得ると見ている一方、政府は行き詰まっている南北関係を突破し、朝鮮半島平和プロセスを再加速する動力にできると期待している。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は政策優先順位において、外貨稼ぎと外資誘致のために観光事業の活性化を非常に高く位置付けているが、制裁と韓国政府の不参加で意味のある成果を収められなかった。2018年に訪朝外国人観光客は20万人であり、2019年にも30万人を超えなかったとされる。しかも、訪朝観光客の90%以上が中国人だ。現状では拡張性に限界がある。しかし、韓国市民たちが大挙北朝鮮観光に乗り出せば、状況は質的に変わる可能性がある。

 政府が個別観光問題を米国と協議しないという態度ではない。ただし、米国政府と意見の相違があっても、北朝鮮の協力さえ得られれば、個別観光を実行するという意志は明らかだ。訪米中のイ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長は16日(現地時間)、ワシントンの国務省庁舎で、スティーブン・ビーガン米国務省副長官兼北朝鮮政策特別代表と会談し、個別観光と関連して「十分説明をしており、今後協議していく予定」だとし、「これからが始まりだと思う」と記者団に述べた。

イ・ジェフン、イ・ワン、ソ・ソヨンジ記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/924822.html韓国語原文入力:2020-01-18 02:33
訳H.J

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