昨年、労働災害により死亡した労働者数の集計結果が出た。計855人だった。関連統計の作成が開始された1999年以降で死者数の減少幅は最大となり、初めて800人台を記録した。政府が事故による死者を減らすための政策を継続してきた結果だが、その数を半分に減らすという文在寅(ムン・ジェイン)政権の公約の達成にはまだ不十分という指摘も出ている。
雇用労働部のイ・ジェガプ長官は8日午前、政府世宗(セジョン)庁舎でブリーフィングを開き、「2019年の労災事故による死者は855人で、2018年より116人(11.9%)減少した」と明らかにした。2018年7月から労災保険の適用範囲が2千万ウォン(約186万円)未満の建設工事に広がり、この分野の死者数(16人)が含まれた結果となっているが、事故による死者数は史上最大の減少幅を示した。常時労働者1万人当たりの事故死者数の割合である「事故死亡万人率」も初めて0.45~0.46※に下落すると推定される。2018年の事故死亡万人率は0.51※だった。
※はパーミリアド=0.01%
労災事故による死亡がもっとも多い建設業における昨年の死者数は428人で、1年前よりも57人減少した。労働部は昨年、監督対象を拡大(約5500カ所→7961カ所)する一方、墜落防止用一体型足場の支援を増やし、安全保健公団と共に巡回点検班を立ち上げ、小規模な建設現場を毎日点検・監督した。そのほか、製造業で11人(217→206人)、その他の業種で48人(269→221人)が減少した。ただ、製造業の50人未満の事業所では9人増えた。労働部は今年、巡回点検対象を製造業に拡大して、ベルトコンベアーなどの危険な機械を多く保有する工業団地の事業所3万カ所を点検する計画だ。
労働界は政府の努力を肯定的に評価しつつ、懸念も示した。「仕事と健康」のハン・イニム事務処長は、「全体的に死亡が減少したのは歓迎すべきことだが、製造業の巡回点検を(政府目標より)大幅に拡大するなど、持続的な努力が必要だ」と語った。韓国労働組合総連盟は「政府の目標どおり2022年までに労災による死者数を半分に減らすためには、安全管理者の選任範囲を50人未満の事業所にまで拡大するとともに、重大災害企業処罰法を全面的に導入するなど、根本的な対策が必要だ」と指摘した。