「ユ・ジェス前釜山市経済副市長の監察を中断させた疑惑」と関連したチョ・グク前法務部長官(54)の逮捕状を、裁判所が27日に棄却し、検察捜査に支障が避けられなくなった。犯罪の重大性がカギだった今回の令状審査で、裁判所がチョ前長官側の手をあげた形であるためだ。120日以上にわたり様々に進行されたチョ前長官関連捜査が無理な捜査だという批判世論も一層高まると見られる。大統領府と与党全般に広がった検察捜査にも、一定のブレーキがかかると見られる。
■ “犯罪重大性”強調した検察…裁判所がブレーキ
ソウル東部地検刑事6部(部長イ・ジョンソプ)は23日、チョ前長官の逮捕状を請求し「重大な事案」であることを強調した。当時検察は「高位公職者に対する監察権がある民情首席が、監察をもみ消した。また、部署(金融委員会)の自主的人事権と監察権を侵害し、ユ前副市長を栄転させられるようにした“重大な事案”と明らかにした。刑事訴訟法上、拘束を判断する基準である、犯罪を疑うに足る相当な理由▽逃走・証拠隠滅憂慮▽犯罪の重大性▽再犯の危険性のうち、“犯罪の重大性”に重点を置いたのだ。
しかしこの日裁判所は、重大な事案という検察の主張を受け入れなかった。裁判所は「犯罪の疑惑が疎明され、罪質も良くないが、被疑者を拘束しなければならないほどの犯罪の重大性が認められるとは見がたい」と判断した。事実上「政務的判断に該当する」というチョ前長官と大統領府側の解明を受け入れたわけだ。チョ前長官は、捜査期間中一貫して、監察に関する決定は「政務的判断」に従ったものと強調した。ユ前副市長の潜伏で監察が中断された状態で、捜査依頼するか、あるいは機関通知するかは民情首席の業務上の“裁量”に含まれるというものだった。裁判所はまた、チョ前長官の夫人であるチョン・ギョンシム東洋大教授が拘束起訴された点も令状棄却の理由として挙げた。夫婦を同時に拘束しないという刑事慣例を考慮したのだ。
チョ前長官側は、捜査依頼の代わりに機関通知を選択した理由も比較的明確に説明したと見られる。これまで捜査を進めてきた検察は「調査に応じない状況で、捜査権がなく機関通知をしたというが、なぜ捜査権のある捜査機関に知らせなかったのか疑問」とし、チョ前長官側に釈明を要求してきた。拘束前被疑者尋問(令状実質審査)が開かれる前から、機関通知を決めたことと関連してチョ前長官がどこまで合理的な説明を出せるかにより拘束の可否が決定されるという分析が出ていた。
■ 検察の“無理な捜査”批判が提起される可能性
この日、逮捕状が棄却され、チョ前長官関連の検察捜査が“行きすぎ”だという批判が強くなるようになった。検察は8月末からチョ前長官一家に対する大々的な捜査を始め、10月末からは今年初めに告発された「ユ前副市長監察もみ消し疑惑」捜査を本格化させた。
検察が家族の捜査を後回しにして監察もみ消し疑惑で逮捕状を請求したことに対して、「別件捜査」との批判などが出ている状況で、この日の令状棄却により「過剰捜査」に対する指摘が一層高まると見られる。チョ前長官もこの日午前、拘束前被疑者尋問を控えて「家族全体を対象にする検察の限りない捜査に耐えに耐えた」として、検察の過度な捜査を批判した。
検察が、ユ前副市長の監察中断のために請託電話をかけた疑惑が提起されたキム・ギョンス慶尚南道知事とユン・ゴニョン大統領府国政企画状況室長、そして2人の監察もみ消し意見をチョ前長官に伝えたぺク・ウォヌ元民情秘書官らに対して、どのような決定を下すかも注目される。キム知事とユン室長の場合、職務上の関連性がなく、請託を理由に金品を受け取った事実があらわれない限り、法的責任を問いにくいというのが法曹界の分析だ。ペク元秘書官が職権乱用の共犯で起訴される可能性はあるが、越えるべき山が多い。監察中断の最終決定権者がチョ前長官という状況で、ペク元秘書官が“共犯”になるためには、ペク元秘書官は単純建議を超えて、チョ前長官を“圧迫”したり、チョ前長官と共謀して監察中断決定を下すなどの“機能的行為支配”が必要だ。ある検察出身弁護士は「機能的行為支配をするためには、ペク元秘書官がチョ前長官同等に評価されうる役割をした事実が必要になる」として「チョ前長官が自身が決定したと言っている状況では、共犯として擬律することは容易でない」と話した。監察もみ消し疑惑と関連しての司法処理対象者は、チョ前長官1人である可能性が高いという意味だ。