今世紀半ばの2040年以降、夏場に北極の氷が消えるという新たな気候予測シナリオが公開された。これは従来の予測より時期を繰り上げたもので、同じ時期に南極の氷も消え、地球自ら温暖化を増幅させることになるだろうという分析が出ている。人類に残された生存期限がそれだけ前倒しされたという話だ。
気象庁傘下の国立気象科学院は15日、国会気候変動フォーラムとともにソウル汝矣島(ヨイド)の国会議員会館で開催した「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次報告書の見通し」討論会でこのように明らかにした。IPCCは全世界の気候専門家らが参加した国連の専門機関で、今回の結果はIPCCの最新の気候変動シナリオ(SSP=共有社会経済パス)によるものだ。気候変動シナリオは人間活動などの各種の変動要因を考慮した未来の気候予測で、人類の温室効果ガス排出削減努力の程度によって大きく4~5つのシナリオに分かれる。
新シナリオによる予測によると、全地球の平均気温は今世紀末の2081~2100年に現在(1995~2014年)より1.9~5.2度上昇し、降水量も5~10%増加する。従来の第5次評価報告書(2014年)でIPCCが使用した代表濃度経路(RCP)シナリオによる結果は、現在(1981~2000年)と比べ2071~2100年には気温が1.3~4度上昇、降水量は2~5%増だった。新シナリオは2000~2014年を「現在」とし、社会経済状況の変化に従い二酸化炭素排出量をより大きく見積もったため、このような結果が出たというのが気象科学院の分析だ。
気温の上昇幅は陸地(2.5~6.9度)の方が海洋(1.6~4.3度)より大きかった。特に北極は陸地に比べて2倍(6.1~13.1度の上昇)大きかった。降水量は、赤道と北緯60度以上の高緯度地域で増加傾向(7~17%)が鮮明だった。海面の高さは52~91センチ上昇する見通しだ。
これによって、今世紀中に両極地域の氷の面積は大きく減る見通しだ。特に夏場の北極の氷は今世紀半ば以降ほぼ消える。人類が温室効果ガス排出低減の努力を一切しないと見た最悪のシナリオ(SSP5-8.5)によると、夏の南極の氷もなくなる。両極地域の氷がすべて溶けて消えるのだ。気象科学院のピョン・ヨンファ気候研究科長は「既存のシナリオに比べ、氷の消滅の時期が前倒しされた」と述べた。
氷は地表に到達した太陽の光の90%を反射して宇宙へ逃がし、海は逆に日光の90%を吸収する。極地方の氷が消えれば太陽の光をより多く吸収し、地球自らが温暖化を増幅する結果を招く。
この日の討論会では、朝鮮半島の釜山(プサン)と済州道から冬が完全に消えるという見通しも示された。建国大学のチェ・ヨンウン教授(地理学科)は、温室効果ガス排出削減努力を一切しない「無気候政策シナリオ(RCP8.5)」に従うと、2100年には釜山と済州島から冬が完全に消えると分析した。韓国は夏が長く、冬が短くなり、現在の国土では10%未満の亜熱帯地域が50%に増え、太白・小白山脈付近を除けば全てが亜熱帯気候に変わる。
気象科学院が今回作成した全地球気候変動シナリオは「国際気候変動シナリオ比較検証プロジェクト(CMIP6)」に基づいて作成されたもので、2022年を発行目標に定めるIPCC第6次評価報告書に収録される予定だ。気象庁はさらに、来年「東アジア高解像度気候変動シナリオ」を作成・分析する計画だ。