国民権益委員会(権益委)は、ハンギョレ記者に対するユン・ソクヨル検察総長の名誉毀損告訴事件と関連し、「職務関連性がある」とし、利害衝突の恐れがあると指摘した。各市民団体は記者会見を開き、ユン総長に対し、「(自ら告訴し、自ら捜査する)セルフ捜査」の中止を求めた。国民権益委は25日、今回の告訴事件についてのミン・ビョンドゥ共に民主党議員の質疑に書面答弁を送り、「検察総長が特定人を検察に告訴したなら、自分自身が告訴人として『捜査の対象である個人』に該当するため、職務関連性が認められる」と述べた。「公務員行動綱領」第2条は「捜査の対象である個人」を職務関連者と定めているが、告訴事件の場合、捜査対象には被告人だけでなく告訴人も含まれるというのが権益委の判断だ。
これとともに、権益委はユン総長本人が関連した事案について、特定人物を検察に告訴した場合、「公務員行動綱領に基づき、私的利害関係申告の義務があると考えられる」と明らかにした。検察庁の公務員行動綱領第2条は、検察庁に対して特定の行為を要求する個人または法人と団体を「職務関連者」と規定しているが、検察庁にハンギョレ記者を告訴して捜査を要求したユン・ソクヨル検察総長がこれに該当するという説明だ。公務員行動綱領第5条は、公務員が捜査など所管業務の職務関連者となり、「利害衝突の素地」が生じた場合、所属機関長に申告するように定めている。
これと関連し、最高検察庁は、権益委の判断が出る前にユン総長が私的利害関係を申告し、必要な措置も講じたと説明した。最高検察庁の関係者は「今月14日、公務員行動綱領責任機関である最高検察庁監察1課長に申告した」としたうえで、これに関する措置として、「総長は事件と関連して報告を受けない」と述べた。公務員行動綱領上、「利害衝突の素地」があれば所属機関長が該当公務員に対し「職務参加の一時中止、職務の再配分、転補」などの措置を取るが、今回の場合は総長が機関長であるため、自ら事件と関連して報告を受けないことを選んだという。
一方、各市民社会団体はユン総長に「セルフ捜査」の中止を求めた。民主言論市民連合や全国報道関係者労組などが立ち上げた「放送独立市民行動」は同日、ソウル瑞草区(ソチョグ)の最高検察庁前で記者会見を開き、「ユン総長は言論仲裁委員会などの手続きを踏まず、検察トップであるにもかかわらず検察に告訴し、部下の検察が直接捜査に着手した。上命下服体制で総長が怒りを露わにし名誉を傷つけられたという事案に、一体どの検事が公正な捜査ができるだろうか」と批判した。さらに、「ユン総長は直ちに告訴を取り下げるか、今回の事件を警察に移管することを求める」と述べた。報道関係者労組ハンギョレ支部のキル・ユンヒョン支部長は、「ユン総長は報道に関与した姓名不詳の人まで告訴の対象にした」とし、「これは取材源を公開しろということだ。ユン総長は今やっていることが報道と表現の自由を抑圧するのではないかを深く考えなければならない」と語った。
参与連帯も同日、権益委の判断が出た後、声明を発表し、「検察総長の告訴は事実上、捜査の指揮と言える。ユン総長は訂正報道の請求など、自分の職務と利害衝突が起きない方式の権利救済方法を探さなければならない」としたうえで、「検察総長のような権力機関の構成員が自分に対する批判や疑惑提起を直接遮断したり、処罰することは自制すべきだ」と指摘した。