来週、日本の天皇即位式(即位の礼)に出席するため来日する李洛淵(イ・ナギョン)首相が、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「親書」を持って日本の安倍晋三首相と会う「特使」の役割を務め、韓日対立の解決の突破口が開かれるかが注目されている。
24日午前の安倍首相と李首相の会談は、7月の日本の報復的輸出規制措置により韓日関係が国交正常化以来最悪の危機に陥った後、両国の最高位級会談となるが、この席で韓日関係の改善と対話の意志を込めた文大統領の親書または口頭でのメッセージが届けられるものと予想される。首相室関係者は「首相が直接行ってメッセージを伝達することは、両国関係を改善しようという意志を示すもの」だとし、「そのような意味で今回の会談は重要だ」と説明した。
しかし、強制動員の解決法、日本の輸出規制、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)などをめぐる双方の意見の隔たりが依然として大きい状況で、今回の訪問で冷え込んだ韓日関係がすぐに解氷の瞬間を迎える可能性は低い。これ以上の対立の悪化を防ぐ転機をつくり、解決に向かって進む土台を築くのが目標値になるものとみられる。
今回の首相会談を契機に、韓日両国が対立の核心である強制動員賠償問題の解決策をめぐる接点探しを本格的に進展させることができるかが、対話を通じた対立解決の重要な糸口だ。
李洛淵首相は18日、共同通信とのインタビューで「文大統領は徴用(強制動員)被害者らが受け入れ可能で、韓国国民に説明できる対策を模索している」と明らかにした。ナム・グァンピョ駐日大使もこの日、日本経済新聞のとインタビューで「(強制動員問題の)解決に向けたすべての方法に関して開かれた姿勢であり、日本側の提案によりよいアイデアがあれば協議も可能だ」と話した。韓国が提案した「1+1解決策」(韓日企業の自発的拠出による被害賠償)だけに限らず議論できるという意味に読み取れる。
昨年10月、韓国の最高裁(大法院)で日本企業が強制動員被害者に賠償するよう判決を下したことについて、日本は「国際法違反」だとし、韓国政府が解決すべき事案だと主張している。韓国政府は6月19日、「1+1解決策」を提案したが、日本は直ちに拒否した。
外交部当局者は「強制動員の解決策と関連し、李首相が新しい提案を持っていくのではないだろう」とし、「『1+1解決策』の中で相手の考えを聞き続けて確認しながら、被害者たちと両国国民が受け入れ可能な対策を探るために努力しているが、間隙はまだかなり大きい」と話した。李洛淵首相の今回の訪日には「日本専門家」であるチョ・セヨン外交部1次官が随行するが、チョ次官が日本の外務省の幹部らに万遍なく会い、韓国の立場を説明して、強制動員や輸出規制などを解決する包括的な議論をするだろうという観測もある。
国家安保戦略研究院のキム・スクヒョン対外戦略研究室長は「李首相の訪日を機に、両国の対立の中心である強制動員の解決に関する議論が本格的に進められるだろう」として、政府が強制動員被害者たちの意見を集約して解決策を用意することを前提に、日本企業の資産売却(現金化)を見合わせつつ、日本と適正な水準で合意を成し遂げる案が推進されるものと見通した。
議論が順調に進み、強制動員の解決策と日本の対韓国輸出規制の撤回などに対する共感が得られるなら、年末に韓日首脳の首脳会談につながる可能性もある。キム・スクヒョン研究室長は「12月末、中国で開かれる韓日中首脳会議で韓日首脳会談を開き、両国の関係改善を公式化したり、文大統領の訪日または安倍首相の訪韓が実現することもありうる」と話した。11月、ASEAN+3首脳会議やアジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議などで、韓日首脳外交が復活する可能性もある。首相室関係者は「大統領のメッセージが伝えられた後に両首脳が多国間会議に出席するなら、すべての可能性が開かれている」と話した。