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キム・サムファン牧師/ミョンソン教会ホームページより//ハンギョレ新聞社

　大韓イエス教長老会統合教団(統合PCK教団)が、巨大教会であるミョンソン教会の担任牧師職の父子世襲を事実上認めた。教団が作った「世襲禁止法」とこれに基づく総会裁判局の判決を自ら無力化したという批判が出ている。

　統合PCK教団は第104回定期総会最終日の26日、慶尚北道浦項(ポハン)にある喜びの教会で「ミョンソン教会収拾案」を可決した。総会は24日、ミョンソン教会世襲問題の収拾に向け、7人からなるミョンソン教会収拾全権委員会を結成したが、収拾全権委員会が出した収拾案がこの日の総会において、「総代」1204人中920人(76.4%)の賛成で可決されたのだ。

　「ミョンソン教会収拾案」の要点は、キム・サムファン牧師(73)の息子キム・ハナ牧師(45)がミョンソン教会委任牧師職を担うことを認めることだ。ただ、世襲の無効を宣言した総会裁判局の8月の再審判決を一部受け入れ、2020年まではソウル東南老会(教区の牧師と長老総代からなる会合)から派遣される臨時堂会長(堂会は牧師と長老からなる最高機関)が教会運営の責任を負うこととし、2021年1月1日にキム・ハナ牧師を委任牧師として招聘するまでの猶予期間を設けた。このような合意が法を超越して成立したため、収拾案には誰も教会法と国家法に基づいて告訴、告発、訴訟提起など一切の異議申し立てができないという内容も含まれた。

ミョンソン教会収拾全権委員会が出した収拾案。26日に開かれた第104回定期総会で「総代」1204人中920人(76.4%)が賛成して収拾案が可決された=ミョンソン教会正常化委員会提供//ハンギョレ新聞社

　統合PCK教団の今回の決定は、2013年に教団憲法で教会世襲を禁止したのに続き、総会裁判局(カン・フングク裁判局長)が先月5日に下したミョンソン教会担任牧師職の違法世襲無効判決を、自ら覆すかたちとなった。また、統合PCK教団長と韓国キリスト教教会協議会会長、世界教会協議会総会の代表大会長を務めた「韓国プロテスタントの顔」であるキム・サムファン牧師の父子世襲を公式に認めることにより、教団が教会の私有化を助長したという批判も受けることになった。教会改革実践連帯のキム・ジョンテ牧師は、「教団法を変えない状態のまま、総会が法を超越した決議によって世襲問題を解決してしまった」とし、「教会は教会の外に仕えるために作られたもので、社会全体の共同財産だ。その世襲は教会の本質そのものから外れる行為だ」と述べた。教会の重鎮、ソン・ボンホ教授(高神大学碩座教授)も「5年という期間は前任者(キム・サムファン牧師)の影響力が消えていくのに十分ではない。したがって実質的に世襲を可能にしたもの」とし、「教団自ら教会の法を無力化した」と批判した。教会改革平信徒行動連帯のチョン・サンギュ実行委員も「結局、その場しのぎの方法によって世襲の道を開いた」とし、「牧師たちが、教会が追求すべき献身、愛に関心を持たず、個人の福祉、営利のみを追求しているようで残念だ」と指摘した。

　信者たちも見るに堪えないといった反応だ。ミョンソン教会正常化委員会はこの日、立場を表明し「法的根拠もない収拾案は存在自体が矛盾しており、今後教団の混乱のみをもたらすだろう」とし、「収拾案は教会法と国の法に基づいた異議を唱えることができないという但し書きがついているが、これは一般信者にとっては無用の長物であり、できるだけ早いうちに一般社会の法に基づき異議を唱える予定」と明かした。26年間ミョンソン教会に通っているというミョンソン教会正常化委員会のチョ・ビョンギル総務は「多くの信徒たちが、ミョンソン教会はこれ以上教会として認められないという立場」と語った。

　ソウル市江東区明逸洞(カンドング・ミョンイルドン)にあるミョンソン教会は1980年にキム・サムファン牧師が設立した教会で、登録信者が10万人にのぼる巨大教会だ。2015年のキム・サムファン牧師の定年退任後、担任牧師を新たに見つけるとしていたが、2017年11月からキム・ハナ牧師がミョンソン教会担任牧師に就任していた。しかし、「ソウル東南老会の正常化を目指す非常対策委員会」は、「当時、ミョンソン教会側の老会員だけが残ってキム・ハナ牧師の招聘案を処理したのは違法であり無効」として、総会裁判局に訴訟を起こしていた。