「少女像が展示場から撤去されることもありうるとは考えたが、展示自体を完全に中断するとは思いませんでした。作家はもちろんキュレーターとも相談しなかったというから…あきれます」(キム・ウンソン)
「日本社会がこれほどに退行しているんだなあと感じます。1970~80年代の韓国社会を見ているような気がしますね」(キム・ソギョン)
日本の代表的な国際美術祭であり8月1日に幕を上げた「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」に、平和の少女像を出品し注目を集めた夫婦彫刻家のキム・ウンソン(55)、キム・ソギョン(54)さんは4日、ハンギョレとの通話で、驚きながら虚しい心境を吐露した。前日午後に主催側が脅迫電話などテロの脅威が憂慮されるとし、電撃的に「表現の不自由展・その後」を中断したのは、それほど衝撃的なニュースだった。二人は、企画展のキュレーターである岡本有佳氏からこの日午前に展示を中断するとの公式通知を受けたという。
「極右人物や団体の脅迫電話、メールが多数来たというニュースが出回ったので、少女像の展示は簡単ではないと心配はしていました。2012年に東京都美術館で開かれたJAALA(日本のJ、アジアのA、アフリカのA、ラテンアメリカのLA)国際交流展に20センチの縮小像を展示して、わずか3日で撤去された前例があります。今回は日本屈指の国際美術展なので、2011年に初めて少女像が駐韓日本大使館前にできた当時の大きさのまま、像の影、平和の碑まで一緒に完全な作品を出品したのに、本当に苦痛だし残念です」
2012年の東京展示では、少女像の縮小模型が出品されたが、今回のトリエンナーレでは実物大の完全な形で初めて披露したので、作家の感慨は格別だった。二人はいろいろなインタビューなどで「展示を支えてくれた方々」に格別の感謝を伝えてきた。だが二人は、先月29日に日本の展示場を訪ね、二日間かけて作品を設置し、3日午前に韓国に戻るやいなや展示中止の急報を聞くことになった。
キム・ウンソン氏は「行事の芸術監督は、日本政府や名古屋市からテロの脅迫が入っているという圧迫を受け、すべての方策を考えてみるとキュレーターには話しながら、3日午後の記者会見ではキュレーターを会見場に入れないようにして展示中止を発表してしまったという」として、苦々しさを表した。またキム・ソギョン氏は「企画展の趣旨が、天皇制などに反対したために展示できず弾圧を受けた作品を選んで公式に招くということだったが、これを中止したというのでますます理解できない」とあきれて見せた。二人の作家は、「少女像が外されたことだけが問題なのでなく、日本の体制に対する批判を込めた他の日本の作家の作品まで展示からまとめて排除されたことは、権力による表現の自由侵害に直結することなので、いっそう大きな問題になるだろう」と口をそろえた。