「MeToo」運動が職場の文化を肯定的に変えたという調査結果が出た。全国民主労働組合総連盟(民主労総)が今年1~3月、労働組合の幹部409人を対象に「MeToo」以後の会社の変化を調査した結果(重複回答)、「性的な冗談や女性を蔑視するような言動が減った」と回答した割合が52%で過半数を超えた。さらに「会社の経営陣(管理者)が性暴力予防に関心を持つようになった」(38.7%)、「セクハラ予防教育が強化された」(36.7%)、「男性労働者たちが性暴力問題に関心を持つようになった」(34.2%)、「飲み会が減ったり飲み会文化が変わった」(34.2%)の順だった。
特にこうした肯定的変化は、公企業と公務員を中心に顕著に表われたが、セクハラ・性暴力の予防と処理のための制度の領域で大きな進展があったという回答が多かった。ある公企業の労組の女性幹部のA氏は「基本的な処理手続きやセクハラ予防教育などが以前よりずっと強化され、精巧になったと思う」とし、「そうした手続きが作られ、実質的に職場に勤める職員が救済を要求する頻度も多くなった」と答えた。公企業では、労使双方や外部機関が参加する審議委員会が設けられ、セクハラ関連の苦情相談制度が普及し、被害者がより積極的に問題提起を行うことが可能になった。A氏は「セクハラに関する苦情処理機関が社内で広報・宣伝され、職員たちが機関を利用するようになり、被害者が要求する救済措置が実際に推進されることによって、以前のように『問題提起しても返ってくるのは不利益しかない』という認識はかなり薄れてきたようだ」と話した。
学校や病院、金融企業などでも部分的な変化があったが、主に労働組合が乗り出してセクハラ・性暴力問題に対応していたことが分かった。ある事務金融連盟の女性幹部のB氏は「労働組合が契約職から正社員まですべて面談し、異議を申し立てれば(処理手続きを)直ちに施行する」と説明した。全般的な意識変化によって、階層的で垂直型な組織の雰囲気が変わったりもした。ある病院労組の女性幹部のC氏は「一般職員たちも非常に意識が高くなり、注意する雰囲気が全般的」とし、「若くてきれいな看護師が来ると(飲み会に)動員したり、ラブショット(二人で腕をからめて酒杯を交わすこと)をさせたりしたが、そんな雰囲気が(今は)まったくない」と明らかにした。
ただし、性別によって職務が分離している事業場では「MeToo」以後も特に変化がないことが分かった。建設・自動車メーカーのように大多数の労働者が男性で少数の女性が事務職を担当している場合や、製菓会社のように女性が多数だが男性だけが管理職に昇進するケースだ。民主労総は「この三つの事業場の共通点は、女性が単純支援業務を遂行しようが技術者として働こうが、低い職級で低賃金で働いているということ」とし、「あからさまな性差別が存在する事業場では『MeToo』運動が大きな影響を及ぼしていないようだ」と説明した。職務・職級・賃金の面で垂直的な階層秩序を脱しにくい環境であるため、セクハラ・性暴力の被害者が自ら声を上げるのが容易でない条件があるとの説明だ。ある建設労組の男性幹部のD氏は「(女性は)ふつう契約職や秘書職が現実」とし、「同等な職員の関係というのが建設(現場)ではうまく形成されていない」と指摘した。
また、こうした事業場では、従来の女性排除の慣行を強化することに『MeToo』運動が否定的に使われる場合もあった。金属労組幹部のE氏は「女性が来ると自分が不都合だから来てはだめだ。自分たちがちょっとでも誤ったことをすれば『MeToo』するんじゃないかという意識がある」と述べた。
今回の調査でも、労組幹部の59.4%が「MeToo運動がもたらした否定的な反応は全くない」と回答したが、そうではないと答えた一部の事業所では「飲み会で女性を排除するケースが増えた」(14.6%)や「業務で女性と一緒に働かないようにするケースが増えた」(10.4%)などの回答もあらわれた。いわゆる「ペンスルール」のように飲み会や業務から女性を排除し、忌避する現象が実際に一部発生していることを示している。
今回のアンケート調査は、民主労総の13の加盟組織、380の事業場に所属する幹部組合員409人を対象に行われた。アンケート調査の結果を分析した翰林大学のシン・ギョンア教授は、「MeToo運動により職場の文化がより健康になり、女性はもちろん経営陣や男性もセクハラ予防の重要性を認識するようになったことが分かる」としながらも、「セクハラ、性暴力の処理手続きや機関の改善といった制度化は相対的に変化の速度が遅いことが分かる」と指摘した。また、職場内の性暴力を予防するために最も重要なのは「制度の革新」であるとし、セクハラ・性暴力予防・対応機関の実効性強化▽セクハラ予防教育の全面再編成▽男性の意識変化を促進するための労組教育プログラム開発▽中小規模・零細事業場の実態把握が必要だと強調した。